2016年01月08日
「早いもので」
〜齊藤あかねの神山ものさす塾2ヶ月目〜
早いもので、神山に住み、研修期間の2か月が過ぎました。
生活には慣れ、さらにこれからの時間をどのように考えて動いていくか、今は模索する期間だととらえています。
私が参加している「ものさす塾」では、コーダーとしてのコーディングスキルやWeb全般の基礎知識を日々学んでおりますが、通常の技術的な授業以外にもおこなっていることがあります。
まず、地域コーディネートの授業について。体験を通じて、神山の文化や仕事に触れていきます。
森づくりがテーマの日は、木の伐採を見学。木を倒す方向、切込みの入れ方、チェーンソーの使い方、林業の歴史といった解説を聞き、実際には木を牽引するためのワイヤーを巻く、木の枝を、なたやノコギリで解体していく、といった作業をおこないました。
この他、地元のお母さん達のご指導のもと、神山塾の方達とそば打ち体験もさせていただきました。
普段はパソコンと対峙して個々のスキルを磨いていますが、自然とコミュニケーションをよく取る所や、最後には明るい空気に繋がるところが「ものさす塾」メンバーの良いところです。
最近では、そのコミュニケーション能力が発揮された授業がありました。
クライアント、ディレクター、エンジニアという3役に分かれた、ロールプレイングの授業です。
クライアントの意向を予め講師が聞き、その後ディレクター役がクライアント役から、どのようなサイトを発注したいのか聞き取ります。ディレクター役はその案件をエンジニア役と共有し、最後にエンジニア役がどのようなサイトを作成するか、発表します。最終的に、講師が聞いた意向とポイントがあっているのか確認をしました。
伝える、聞き取る、理解する、共有する、人と人がスムーズに繋がっていく為にどんな情報が必要か現場のフローを学び、また、セールス部、マーケティング部といった他部署からも、コーディング制作サービスについての概要やWeb業界の動向についての講義があり、技術だけではなく実際の仕事の流れを意識した授業も増えています。
会社の業務内容をお話しする機会があると、普段生活している中でも、パソコンに詳しい人、と思われるのでしょうか。
町で知り合ったご夫婦から、パソコンの設定を見て欲しいと連絡をいただきました。
お宅にうかがって、設定を確認し、ミカン狩りもお手伝い。
帰りに、お礼に野菜をどうぞ、と言われご自宅目の前の畑へ。
素人目にもわかるくらい、私はニンジンです!かぶです!ブロッコリーです!と、主張しているように見える、立派な野菜がならんでいました。
収穫してそのままいただいた時、そのありがたさと贅沢さに感激しました。
ご夫婦は、野菜のみならずお米も蕎麦も自家製で、ほぼ自給自足で生活されているそうです。
生ゴミや雑草は、無駄なく肥料に。
農薬は使わず、自ら作り、収穫した野菜で何を作るか考えることが楽しみだとおっしゃっていました。
暖房も薪ストーブ。
あるもの、つくるもので過ごす
そのシンプルな暮らしが、とても素敵だと思いました。
里山での不自由さ不便さがあり、自分でしなくてはいけないことが多いけれど、それが醍醐味、という方々。
遠くからやってきた人にも、町の人々が温かく寛容である、と移住者の方々にも聞きました。
確かにこの2ヶ月だけでも生活を振り返ってみると。
合宿所を離れ、引越し先の空き家だった古い家を、あるもので快適に過ごす時のワクワク感。
野菜をいただくこと、コタツやストーブを貸していただけること。
隣のお父さんが、畑を整備してコンポスト(生ごみを処理して堆肥を作るのに使われる方法)を設置して下さったこと。
たくさんの人と、美味しい食事を共有したこと。
徳島出身の方が多い「ものさす塾」の方からの差し入れや、生活の相談にのっていただけること。
わからない部分や、困っていることには惜しみなく、何かを提供していただき、毎日、感謝ばかりです。
今までの暮らしより不自由さはあるものの、
だからこそ、本当に必要なものがわかり、人と関わる中でその必要なものが、人から人へ循環していると感じました。
気づけばほとんど買い物をしていません。
必要なものはちゃんとあり、どれにもありがたみを感じるからです。
そして、喜んで受け取らせていただきます。
天気の良い日にふらりと散歩に出かけても、すれ違う方と
「こんにちは」
「今日はあったかいなあ~。」
「はい。気持ちいいので散歩です」
「気つけていってらっしゃい。」
そんなやりとりをします。何気ないやりとりが、安心感とそこから先の繋がりに広がっていくと思えます。
出来ることは自分で、不足する部分は支えあって、無駄なくシンプルに循環する。
頭で考え選ぶことより、人間の本質で過ごすところに豊かさを感じています。
※この記事を書き上げたとき、抱きしめられるほど沢山の椎茸を近くの方が届けて下さいました。