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May,2016
道場 亮子
投稿者:道場 亮子
(Webディレクター)

2016年05月13日

代々木駅前で昭和にタイムスリップ
~裏・代々木散策マップ~

裏・代々木散策マップ

道場 亮子
投稿者:道場 亮子(Webディレクター)

みなさんは代々木駅前に佇む半廃墟と化したビルをご存知だろうか。
大都会東京に今も存在しているあたかも昭和にタイムスリップしたかのような、現代から取り残されたビル「代々木会館」と、それをとりまくかのような昭和の面影を残す店たち。
今回の裏・代々木散策マップでは、そんな平成の世から取り残されたような、知る人ぞ知る代々木駅前のスポットをご紹介しよう。
 

代々木の九龍城と噂される代々木会館に潜入


半廃墟と化した代々木会館

これが代々木会館だ。ご覧のとおり、上階は窓が無くなっており、看板や壁も錆が目立つ。
看板のみが取り残され、営業していない店がほとんどだ。
不動産屋の情報によると、1969年築と記載されている。そうなると築47年という計算になるが、どう見てももっと経っていそうな見た目である。ネット上の噂話によると昭和20年~30年頃という見方が多いようだ。
また、その見た目から代々木の九龍城と呼ばれ、実は廃墟マニアの間で人気がある。
かつては近所で人気のある定食屋「志のぶ」や予約がなかなか取れないと評判の「煮込みや なりた」も入居していたらしい。
また、1974年放送の「傷だらけの天使」というドラマのロケ地にも使われており、主人公が屋上のペントハウスに住んでいる設定だったため、エンジェルビルなんて呼ばれていたこともあったそうな。


夜の代々木会館の様子。立ち食い寿司屋ときぬちゃん食堂が営業し、活気づいている。山田金物店の看板のまま立ち食い寿司屋が入るなど、混沌とした様子が妙。

それでは、早速潜入してみよう。
代々木会館で現在営業をしている店は、中国関係図書の輸入転売を営む「東豊書店」と「きぬちゃん食堂」と激安らしい立ち食い寿司屋のみである。
夜は1階部分が活気があり、上階の廃墟感とのコントラストが際立つ


この写真だけをみて現在の東京の写真だと思う人はいるのだろうか

2階飲食店街と大きく書かれた看板が入り口にある階段を登る。
階段の踊り場にはかつて栄えたであろう店たちの看板が寂れた様子で並んでいる。いたるところに落書きもされており、実に退廃的な雰囲気だ。
ちょっと挫けそうになる心を奮い立たせ、いざ3階の「東豊書店」へ向かう。

3階の手前の踊り場から在庫らしき本がぎっしりと並んでいる。
書店の主人がいらっしゃったので声をかけてみたところ、書物に関する話ならするが、ビルに関する話はしたくないとのこと。これまでもこのビルに興味のある人間が多く訪れ、そのたびに店主を困らせたのだろう。

なお、4階から上は老朽化が進んでいて危険なため立ち入り禁止とのことで、それより上階の調査はできなかった。
窓が無いまま放置されていることを考えると、いったい中はどんな風になっているのか、想像するとちょっと恐ろしい。
 

代々木駅前の「ザ・昭和」なとんかつ屋さん


代々木駅前の代々木庵を臨む

代々木会館のこれ以上の調査は望めないため、こちらも年季の入った隣のビルにあるとんかつ屋「代々木庵」に潜入してみた。
かつては同じビルにそば屋の「代々木庵」も入っていたが、現在では閉店してしまっている。また、地下に居酒屋の「代々木庵」も入っていて、こちらはとんかつ屋さんの兄弟の方がやっているそうだ。どの店も同じ名前で営業しているのが面白い。

とんかつ屋へ上がる階段前のガラスケースに飾られたサンプルや、窓に並ぶ赤提灯がなんともいえない昭和の雰囲気を醸し出している。


赤提灯の並ぶ窓が味がある


昔懐かしい食品サンプル

店内に入ると、向かいの一面が広い厨房となっており、男女3人がテキパキと手際良く動いている。従業員の方に話を聞いてみると、長い間一緒に働いてきたため、今では家族のような関係だそうで、3人のすばらしい連携プレーが印象的であった。


広い厨房がめずらしい。使い勝手はよさそうだ。

壁にはぎっしりと短冊メニューが貼ってあり、昭和の懐かしい飲み屋さんといった雰囲気だ。赤ウインナー揚げやちくわチーズなど、庶民的でビールのあてにもってこいのメニューが並んでいる。見ていると、ついつい昼からつまみにビールを飲みたくなってくる。


壁一面の短冊メニュー。おふくろの味が並んでいる。

なんて思っていると、昼からつまみにビールを飲んでいるスーツ姿の男性を発見。
どういういきさつがあるのかは謎だが、昼からビールのサラリーマンがやけに似合う店である。


ビールにつまみ、うらやましい。しかも二本も。

さて、それでは肝心のとんかつ定食を食す。
定食の内容は、とんかつに太目の千切りキャベツ、ご飯に漬け物に味噌汁だ。
700円という金額にしては大きなカツで、肉が厚すぎず薄すぎず、バランスがとれている。安い定食屋の味ではなく、ちゃんとしたとんかつ屋の味がする。


大きめのとんかつに太めのキャベツ、ご飯に味噌汁に漬け物というラインナップだ

ご飯もふっくらしていて炊き加減もちょうどいい。また、とんかつで油っぽくなった口をリフレッシュしてくれるさっぱりとした漬け物の存在が嬉しい。
全体的にこれといって特徴があるわけではないのだけれども、ホッとする味わいである。ふととんかつが食べたいなと思ったときに思い出して寄りたくなる店だ。


ポーズがさまになっていてチャーミングなお母さん

お店のお母さんによると、1964年の東京オリンピックの頃から営業されているそうで、創業してから50年は経っているとのこと。
モノサスの社員にもこの店の雰囲気が好きだというファンがいるので、代々木の貴重な昭和の面影を残すスポットして、これからも頑張って欲しいと思う。

これにて今回の代々木駅前昭和散策は終了。
次回もまた代々木界隈のディープな店や、ユニークなお店をご紹介したいと思う。

とんかつ 代々木庵

東京都渋谷区代々木1-34-5渡辺ビル2F
TEL:03-3379-5094
営業時間:11:00~21:30
定休日:日曜日・祝日

この投稿を書いた人

道場 亮子

道場 亮子(みちば りょうこ)Webディレクター

クリエイティブ部の運用チームでディレクターをやってます。元探偵というちょっと変わった経歴を持っています。趣味は登山とスノーボードで、モノサス登山部の部長をやらせてもらってます。現在の目標は海外進出です!

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