2016年05月19日
BtoB企業のWeb担当者のホンネ
サイトリニューアルの障壁とは?
-コーポレートサイト運用実態レポートより-
マーケティング部BtoBチームリーダーの坂本です。
私たちのチームでは、BtoB企業のWeb担当者へ取材をしてレポートにまとめる取り組みを行っています。きっかけは、コーポレートサイトのリニューアルを担当される方から「他社ではどんな対応をしているんでしょうか」とよく尋ねられることでした。
BtoB企業のコーポレートサイトはどんな風に運用されているのか。
運用担当者はどんなことに悩んでいるのか。
これらは私たちWeb制作会社にとっても、知っておきたい情報です。
そこで2012年から、Webサイト運用にかかわる部門の担当者にお会いして取材を行い、その結果をレポートにまとめる取り組みを始めました。これまでにご協力いただいた企業は500社以上、取材結果は「コーポレートサイト運用実態レポート」と題した冊子にまとめ、取材先企業の方々にお役立てていただいています。
(最新版レポートの目次は、こちらからご覧いただけます)
今日はこのレポートから、「コーポレートサイトのリニューアルで大変だったこと」に焦点をあててご紹介したいと思います。
リニューアル時の障壁は「素材の手配」と「社内調整」
コーポレートサイトをリニューアルする際に、障壁となるのはどんなことでしょうか。
結果は以下のグラフの通り。(回答者数134人)
群を抜いて多かったのが
「素材の手配が大変だった」「部門間の意見調整に時間がかかった」の2つ。
ページに載せる原稿や写真は、各部門に依頼して取りまとめる必要があります。製品写真一つとっても、既存サイトのものを流用するのか、新たに撮り直したほうがいいのか、判断するには担当部門との確認が必要です。
また、開発・製造・販売・広報など、多岐にわたる部署を抱えるBtoB企業では、部署ごとに重視するポイントも異なるため、サイトの方向性を確認するだけでも一苦労のようです。
悩みは尽きない、担当者たちのホンネ
自由回答のコメントからも、担当者の方々の悩みが伺えます。
- 意見の吸い上げや調整が大変だった。きちんとプロジェクト化して進めるべきだった。
- 新たにコンテンツを拡充したかったが、調整できずに実現できなかった。
- 社内の人間でキャッチコピーも考えたので、負荷が大きかった。
- 各部門でコンテンツのボリュームや質に違いがあり、バランスを取るのが難しかった。
- とにかく原稿の取りまとめが大変だった。
- 社内の納得感があまりなかった。その結果、公開後に社内から色々な要望がきた。
ここでも中心になるのは、様々な場面での部門間の調整(社内調整)に関わることです。
「社内調整」と一言でいっても、その内容は多岐に渡ります。
既存サイトで使われている写真素材やデータの収集、各コンテンツのテキスト整理をはじめ、新規コンテンツのための各部署への原稿依頼と回収、文章の修正作業。
加えて、新規の撮影が発生する場合は、人・モノ(商材)・撮影場所の検討など、各部署とのスケジュール調整もしなければならないでしょう。
このように、多くのWeb担当者が社内調整に苦労している姿が浮かび上がってきました。
「社内調整の達人たち」の声
何とも悩ましい「社内調整」、一体どうすれば上手くいくのでしょうか?
取材をとおして出会った、社内調整の達人の声からヒントを探ってみたいと思います。
1. 根回しのAさん。円満な関係でトラブル知らず!
「普段からの関係性がすべてです。」明るい笑顔で語るAさん。
他部署の方と積極的にコミュニケーションを取るように、普段から意識して行動しているAさん。日頃から相手のお願いを聞いたり、ニーズをヒアリングしたり…その積み重ねで部署の垣根をなくし、結果、Webへの協力体制もバッチリ。
「リニューアルのときだけ“お願い”してもダメですよね。」
Aさんの笑顔の裏には、日々のコツコツとした積み重ねがありました。
2. 正面突破のBさん。熱い思いをぶつけて現場を動かす!
「なんで自分の仕事以外のことをしなきゃいけないの。」
営業現場から返されるこの言葉に、真摯に向き合って乗り越えたBさん。
そもそもWebは何のためにあるのか、なぜリニューアルが必要なのか。Webを顧客獲得のためのツールとして活用するという目的を、ちゃんと理解してもらえるまで、根気づよく説明を繰り返して、現場の声が豊富に反映されたサイトリニューアルを実現。
“Webサイト=もう一人の営業マン”として、社内での存在感も急上昇しているそうです。
3. 批判も大歓迎のCさん。むしろWebへの無関心こそが最大の敵!
「検索結果にうちの製品が全然出てこないじゃないか!」
営業部門からの批判の声。実際の原因は、営業サイドから充分な素材を提供してもらえていないことでしたが、Cさんはそこを指摘せずにグッと我慢。
「こちらも施策を施しますが、せっかく見に来てもらっても情報が少ないともったいないですよね。」と相手の批判を前向きな方向にうまくスライドして、営業からの協力を引き出し、内容の濃い製品ページが完成したそうです。
Cさんいわく「批判されるのもWebに関心がある証拠なのでありがたいです」とのこと。
アプローチの方法に違いはあれど3人の達人に共通するのは、「良いWebサイトにしたい」という熱意。その目的にむかって、さまざまな手法で問題解決へ向かう姿が、自然と周囲を動かしているようです。
とは言え、社内の事情は千差万別。
どうすれば上手く社内を巻き込んで、リニューアルを成功させることが出来るのか。
Web担当者の方々の悩み、闘いは終わりません!
(そして我々は、その助けとなるべく全力でお手伝いしたいと思っています!)