2016年05月23日
一歩でも深くつかみたい。
考えつづけるデザイナー、上森 拓
仕事熱心で、学ぶ意欲は人一倍。
決して明るい性格とは言えないものの、なぜか放っておけないキャラクター。
デザイン部 部長の私からみた、上森 拓(うえもり たく)の印象です。
部内最年少メンバーにして、いま最も成長が楽しみなデザイナー。そんな彼の魅力について、今日はご紹介したいと思います。
会社はどこでもいい?
新しい世界を求めて、ふらりと入社
彼が入社したきっかけは、プロデュース部のメンバー・竹田からの紹介でした。当時、私は採用に直接関わりませんでしたが、彼が持参したポートフォリオを見て、荒削りながらキラリと光るものを感じたことを覚えています。
前職はイベント運営やグラフィックデザインの会社で働いていましたが、「今いる世界しか知らないのはマズイ」と思って、転職を決意。自分に足りないものに気づくと、多少苦労してでも次のステップへ進もう、と強い意思で行動するようです。
一方、当時は「会社はどこでもいい」とまで思っていたそうで、正直モノサスという会社に対して強い思いはなかったと言います。
彼自身の視野を広げたいという気持ちと、お互いのタイミングがたまたま合ったこと。始まりはそれだけでしたが、こうして3年近い月日が経ったのは、モノサスで働く時間のなかで、彼の中にも変化が起きたからだと思います。
デザインと深く向き合うようになった
「建築的」という気づき
モノサスの業務は、プランニングからデザイン、制作、最終的な納品まで多岐にわたります。ひとつのWebサイトを作るためには、構造設計して、導線を考えて、デザインして、公開後の運用の仕組みまで考えることが必要です。そういった環境と制作フローに触れていくことで、彼自身のデザインに対する考え方も変わってきました。
それは"Webデザインは「建築的」である"という考え方。
建築において、建物の構造や用途、周りの環境などを考える必要があるように、Webデザインも多角的に知識がないと成立しない、ということに気づいたようです。
さらに、建築的な思考をするべく努力を続けるうちに、自分が手がけるデザインのひとつひとつに「ロジック」が生まれたことが、大きな収穫だったと言います。
デザインは感覚的なものと誤解されがちですが、実はロジックが欠かせません。ロジックの強さは、デザインのクオリティにも影響します。そこに自分で気づいてから、彼の制作物にも変化が出てきました。
例えば、クライアントへのプレゼン資料では、デザインと併せて、デザインの作成意図を説明する資料が必要ですが、以前の彼は感覚的な説明が多く、少し焦点がぼやけてしまう傾向がありました。
しかし、最近の案件では、「使用した写真の意味とは?」「なぜ、この部分にこれだけの余白が必要なのか?」というように、機能や必要性といった構造意図も説明できるようになってきました。
デザインに明確なロジックが付与されることで、クライアントも大変満足して、とてもスムーズに納品まで進んだことを覚えています。
「最終的には『デザインにもう一歩踏み込む手段』として、プランニングなどの上位レイヤーから最終的な納品まで、広く知識を身につけたい」と彼は言います。
モノサスという会社自体に完全にコミットした・・・とまでは言えないかもしれませんが、まだまだモノサスで貪欲に勉強したいと考えてくれているようです。
ブレイクダンサーという顔
突き詰めることで見えたこと
彼の魅力を語る上で、印象的だった言葉があります。
「これまでいろんなブレイクダンスをやってきたんですが、すべての経験を糧として新しいものへ昇華すると、上手くいきました。この考え方を仕事にも活かしたいんです。」
実は「ダンサー」という顔も持つ上森。とある海外大会で2位になったほどの実力者。結果を出すために大変な努力をしてきたんだと思います。
そのなかで気づいたのは、ある特定のジャンルだけに向かって努力するよりも、様々なものを広く学んで、新たに組み合わせていくことが成功する秘訣なんだということ。
似たようなことばはどこかの本にも出てきそうですが、なにかを突き詰めた経験者が語ると重みが違うな、と妙に納得してしまいました。
10代の頃から「ダンス」という表現で挑戦してきた経験を持ち、自分の中に明確なルールを見いだせたことは、彼の大きな財産だと思います。
一番若くて、一番ストイック
上森 拓 のこれから
デザイナーとして、着実に成長を続ける上森 拓。
いま楽しいことは、意外にも JavaScript(プログラミング言語)の勉強だと言います。本人いわく「学生時代にまったく勉強しなかった」ので、勉強自体が新鮮で楽しいそうです。また、JavaScriptに限らず「仕組みを知る」ことは、世の中におけるWebの可能性を考える糧になるので面白いのだとか。
当面はWebに関する知識の幅を広げて、デザインのレベルアップを目論んでいるようですが、きっとプランニングや、マーケティングなどさらに上のレイヤーにもどんどん食い込んでいくんだろうと思います。
おそらく、デザイン部の中でも、一番ストイックな彼。どちらかというと口数少なく黙々と進めるタイプなので、一見わかりづらいところがまたニクい。
私が思うに、「自分と向き合って深く考えるクセが、体に染み付いていること」それが彼の最大の長所だと思います。だから、誰に教えられるでもなく、Web構築を建築的だと捉えられたし、ブレイクダンスの成功体験を仕事に活かせると気づくことができたのだと。
広く知識を吸収する努力も怠らないので、「拓くんのグラフィックの知識がためになって面白い!」「スポンジみたいに吸収力があるから仕事をまかせたくなる」と声が挙がるのだと思います。彼の存在が、他のデザイナー達にも良い影響を与えているようです。
彼がこの先「自分ルール」をつなげていった時、どのくらい化けるのか。今から楽しみで仕方ありません。私を驚かせるアイディアとデザインを、これからも期待しています!