2016年06月28日
パキスタン出身のご主人、ラッキーさんの
ちょっとおかしな日本語語録
先日お送りした香取玲美の仕事と暮らし。国際結婚、子育て、イスラム教のルールにしたがった毎日の食事づくり、そしてモノサスの仕事・・・
めまぐるしい日々を過ごす香取ですが、パキスタン出身のご主人・ラッキーさんとの会話はユニークなもの。笑いの絶えない家庭だそうです。
そんな明るい家庭の一幕を垣間みようと、ラッキーさんのちょっとおかしな、思わずツッコミをいれたくなる日本語語録を、香取の解説とともにお届けします。
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ラッキーさんプロフィール:
2004年、父親が日本のインドカレーレストランで働くため、パキスタンより家族6人で来日。4人兄弟(妹2人と弟)の長男。10年に渡って新宿、吉祥寺、六本木、銀座など様々な場所のインドカレーレストランで働いてきた。趣味は、パキスタンの国民的スポーツであるクリケット観戦とYoutubeでオモシロ動画を見ること。好きな日本語は「よろしくお伝えください」。
「マルイチマル」
丸井のことを「マルイチマル」と言う。同郷の友達もみんなそう言っているらしい。
「テンプレラ」
生魚はいっさい食べなかった夫。私の両親がお寿司好きなので、いちかばちか回転寿司に連れていってみようということに。
何も食べるものがなくて、へそを曲げるんじゃないかとドキドキしていたところ、お店がかなりにぎわっている上、外国人客の姿もちらほら。そしてタッチパネル式のメニューが英語対応されていることに喜んでいた。
私が夫が食べられそうなメニューを探していると、大好きなエビ天のにぎり発見!上述のとおり、天ぷらのことはなぜか「テンプレラ」という。
エビ天にぎりと、玉ねぎのスライスがたくさんのっているサーモン、ツナマヨの軍艦をえらく気に入り、同じものばかり5貫以上食べてしまった。
初めてみたぐるぐる回る回転寿司のシステムも楽しかったようで、ことあるごとに「オニギリヤサンニイキタイ」と、なぜかお寿司がおにぎりになってるが、好きなお店になっている。
「シャシング」
なぜだか自分に自信がある様子。自分大好き、ナルシスト!?(これは日本人以外の国籍の人あるあるかも)
カメラに写ることが大好き。せっかくいろいろなところに出かけても、スマホのカメラロールは自撮りでいっぱいになりがち。
先日の私の暮らしぶりや仕事のことが書かれた記事を見せたところ一言、
「ナンデ、コノシャシンニシタ?ダメヨー」
なんであのとき撮った写真にしなかった?と。
あの写真とは、GW中に家族で出かけたときに、たまたま息子が寝て手持無沙汰になってしまったところ、「シャシング(写真)トッテ」とせつかれ撮った写真。
私が持ってきた一眼レフで、30カット以上もモデル風の写真を撮らされた。
子どもそっちのけで、場所を色々と移動しながらポージング。ノッテきた私もディレクションし、本人お気に入りの写真がいくつか撮れて満足の様子。
何度も「シャシング、ゼンブワタシノケータイニ、オクッテネ」と念押し。
夜な夜な送ってあげたら、必死にSNSやLINEのサムネイルに使う写真を選定。
ここまできたらもう…。
「オーダンフドー」
最近、冷やしうどんやそうめんを麺つゆで食べるようになった。今まではうどんにはあまり興味がなかったのに、職場の人と食べて好きになったらしい。いなげやの「エビ天とうーどん」のセットが絶品だと、うちの両親にまで勧めていた。
とある日、私は冷やしうどんとつゆだけを用意していたら、「コレ、ドウヤッテタベルー?エビノテンプレラ(エビの天ぷら)モ、ナイノニ!」とちょっと怒っていた。
そんなうどんのことを、なぜか「オーダンフドー(横断歩道)」とよぶ。
「ウドー(ン)」が「フドー」に聞こえたのだろうか…。
「オーダンフドー(横断歩道)」は結婚当初に覚えた言葉。どうやらこの響きが好きらしい。
「ボウシトッテー」
もともと料理人のため、我が家でもキッチンに立ってインドカレーを手際よく作ってくれることがよくある。
そんなときは、私が助手になって、野菜の準備をしたりスパイスを渡したりの役目を担うのだが、料理長より「ボウシトッテー」の指示。
私は「ボウシ?」とハテナになって手が止まってしまったら、なんのこたないお鍋の「蓋=帽子」ということだったよう。おかしくて笑いがとまらず、助手の手はさらに止まってしまった。
「シャーレ」
結婚してからは、すっかりGUやユニクロなどで洋服を買うことが多くなった夫。
「アナタトケッコンマエハ、マイニチスーツキテタ」と発言する夫。
嘘だろ?と思いながら聞き流していたところ、たまたま入ったちょっと値の張る洋服屋さんで、「ワタシモ、シャーレニナリタイヨ、ムカシハマイニチシャーレシテタ」と発言。
シャーレ?
ん?
おしゃれになりたいのね…。
「ヤサシー」
テレビを見ていたら、食レポで女の子が「やさしいお味〜」と言っていたのを聞いて、
「タベモノモ、ヤサシートイウノ?」と質問された。
確かに、やさしいと表現することってあるなぁと改めて日本語って不思議と思った。
「マタソノウチネー」
日本人の会社で働ているので、ときどき覚えたての日本語を使うことがある。
「アブチャン*、またそのうちねー」と別れ際に言われることが多いらしく、「マタソノウチネー」という言葉をえらく気に入って、どういう意味か問われた。
何気ない一言だけど、彼にとっては真新しい日本語だったみたい。
「マタソノウチネー」の「ウチ」とはhouse?と聞かれて、説明に困った。
*ラッキーさんの愛称。ファミリーネームの “アブドゥル” から
ラッキーさんのちょっとおなしな日本語語録、8語をご紹介しました。
彼の日本語の使い方や疑問をとおして、くすっとしつつもハッとさせられます。
普段使い慣れている日本語も、少し異なる視点でみると、改めて気づかされることがあるものですね。
それではラッキーさんより、「マタソノウチネー」。