2016年07月21日
気持ちよく、楽しく、美味しく、
コーヒーとつきあえるルールづくりのDIY
ことの発端は昨年の忘年会。"おつかれ賃を集めてコーヒーメーカーを買い替えよう"という企画でした。(昨年の忘年会幹事のDIYについてはこちら)
思いのほか多くのおつかれ賃が集まり、企画は大成功。いざ、新しいコーヒーメーカーを…と盛り上がったものの、そこからがちょっとした波乱の幕開け。なんと本格稼働するまでに、約5ヶ月近くもかかったのです。
大きな理由としては、コーヒーメーカーの運用ルールを大きく変える必要が出てきたこと。
これまでは、ボタンひとつで挽きたてのコーヒーが淹れられる全自動タイプだったので使い方も簡単。特にルールもなく、“なんとなく”誰かの善意で運用されていました。
しかし、新たに購入したマシーンは、豆を挽くところからはじまり、豆と水の計量、時間を測って蒸らしてようやくドリップを開始するという、手間がかかるもの。そのため、“なんとなく”では運用できなくなりました。
そこで「新しいルールを決めよう」と立ち上がったのが、コーヒー委員の4名。みんなが気持ちよく、楽しく、美味しくコーヒーとつきあえるにはどうすればいいのか。社内で「コーヒー四天王」と呼ばれる彼らに、ルールづくりのDIYについて話を聞いてみました。
新しいコーヒーメーカーには
新しいルールが必要
「コーヒー四天王」とは、コーヒーの運用ルールを決めるために集まった4名。しかし、その前から話は始まっていて、“おつかれ賃を集めてコーヒーメーカーを買おう”という企画を立てた忘年会幹事が、そのまま新しいマシーンの決定まで請け負っていました。
最初に、忘年会幹事の二人(河原崎、藤原。どちらも「コーヒー四天王」を兼任)を中心に、運用ルールを考える発端になったコーヒーメーカーがどのように選ばれたのか、話を聞きました。
ー そもそもどんな風にコーヒーメーカー選んだのでしょうか?
- 藤原
-
コーヒーメーカーには大きく分けて2つあって。ひとつは手間はかかるけどおいしいもの。もうひとつはボタンひとつで簡単に淹れられるもの。どちらにするかという話になったとき、DIYを好む社内の空気や、どうせなら自分たちで手間をかけておいしいコーヒーを飲む方がいいのではと考えて、ミル無しドリップ式を選びました。
具体的には、私たちは正直コーヒー初心者なので、真鍋さん(プロデュース部 部長)にお願いして、Googleでフードチームの責任者をされているている方に、おすすめを伺いました。
そのご意見を元に選んだのが、コーヒーメーカー、ミル機、エスプレッソマシーンです。
ー 機能ごとに3つに分けたのは、そんな理由があったんですね。
ただ、社内には「今までとコーヒーの運用ルールが変わる」と波紋が広がりましたよね。
- 河原崎
-
はい。以前のコーヒーメーカーはミルもドリップも全て自動だったのに、今回はおいしさを追求して全自動ではないものを選んだので、いろんな方から意見や質問がきました。
置き場所どうするの?とか、誰がどういうタイミングで淹れるの?とか。
そこで林さん(代表)と話をしたところ、今後の運用ルールについては、自分たちで決めるってところが大切だから、役員が一方的に決める形はやめようということになりました。そこで今年の3月に「第1回コーヒーサミット」を開催することになったんです。
「コーヒー四天王」発足から
運用ルールが決まるまで
新しい運用ルールを決めるために行われたコーヒーサミット。
意見がある人は出席する、欠席した人は決まったことを受けいれる、という前提で参加者を募り、約20名が集まりました。
ー 「コーヒーサミット」では具体的にどんな話し合いが行われたんですか?
- 奈須
-
最初に林さんが、まずはこんなことを話し合ってみたら、というテーマをあげてくれて、それについてみんなで話し合いました。
- たばこは会社から支給されないし、灰皿すら買ってもらえない。コーヒーもみんなが飲むわけじゃないのに、会社に豆とか買ってもらうのはいいのか?
- 猫の餌は有志がやっているけど、コーヒーとどう違うのか?
- ラテをやるとしたら、マドラーやミルクまで会社で買ってもらった方がいいのか?
というような根本的な話を隣の人と二人組で話し合って、発表するというのがメインでした。
ー その話し合いの意図って大枠ではどんなことだと思いますか?
- 藤原
-
そうですね、これまで上の人たちが決めたルールの中で私たちが動く、という考え自体を、一度壊すことに主軸がおかれていたと思います。
ー 前提条件から問い直すところから始まったんですね。
- 奈須
-
みんなで運用ルールを決めていくこと自体、正しいことなのか。そもそもコーヒー管理者が必要かどうか、というところから話し合いました。
ー 管理者はいた方がいいという判断から、四天王という機関が出来たんですか?
- 奈須
-
四天王はあくまで運用のルールを決めるための一時的なプロジェクトでした。ルールを決める中で、故障した時などいざという時の窓口はどうしようとなって、管理者が必要という話になりました。
- 藤原
-
とりあえず3ヶ月位は私たちでやってみて、その後も同じメンバーで続けるのかどうかは考えようということになってます。
ー みんなはなぜ四天王に立候補したんですか?
- 濱端
-
リアルに言うと、コーヒーサミットの最後の方で「あれ、これどんな感じになるの?」という感じでゴールが見えなかったんです。「誰が発言するの?」と場が煮詰まっていました。
たぶん、そんな流れを変えるために「じゃあルールを決める人を決めましょう」と林さんが言って。その時は、なんかその……これはなんの状態?建設的な意見も出ず、あまりみんなやりたそうじゃないし、じゃあいいやって、半ば逆ギレみたいに「はい!」って立候補しました。
一同 (笑)
- 濱端
-
藤原さんとは、立候補のタイミングが同じでしたよね。
で、僕が河原崎さんにすごいアイコンタクトを送ったんです(笑)。
- 河原崎
-
そうですね。忘年会幹事から片足突っ込んでるところもあったし、濱端さんからも目線来てる、みたいな。
一同 (笑)
- 河原崎
-
僕も根本的なところで濱端さんと同じで、誰かがやらないと話が進まないという状況になっているので、ここはやろうと。
ただ藤原さんは基本、外に出向してい不在がちなので、僕と濱端さんだけだと、同じ部署の同じチームなので偏りすぎていると思いました。
そこで「他の部署からも誰かいた方がいいと思います」と言った時に、奈須さんが立候補してくれたんです。
- 奈須
-
手をあげた時はですね、あ、CF(コーディングファクトリー部)の人がいないな、と思ったんです。誰も立候補しないのかなと。
仰ったようにバランスが悪いと思ったのと、今までこういった会社の有志の何かに参加する機会がなかったので、やってみようと思いました。
あとは単純にコーヒーをよく飲むので、これだけ飲むんだったらやったほうがいいんじゃないかな?と(笑)。
ー コーヒー四天王が決まったあと、どんな風に動いたんですか?
- 藤原
-
一度4人で集まって、私達の立ち位置を決めました。
- 河原崎
-
そのあと1ヶ月くらいかけて、根本的なルール決めから、掃除や備品の対応まで決めていきました。
- 奈須
-
決まるまでは、日々コーヒーをいれたり掃除するのを濱端さんがやってくれて。
- 濱端
-
このメンバーだったら俺やなと。
- 河原崎
-
身を削ってやってくれましたね。
大変そうにコーヒーを淹れている姿を見せれば、みんな同情で手伝ってくれるんじゃないかと。(笑)
ー その効果は?
- 濱端
-
手伝ってくれる人は結構いました。率先してコーヒーメーカーを洗ってくれたり。ああ、この人たちめっちゃいい人やって思いました。
- 奈須
-
掃除の仕方も濱端さんが教えてくれて、みんなにも覚えてもらおうと、動画もつくったり。
絵コンテも描いてくれましたよね。
- 濱端
-
僕が描きました。
- 奈須
-
撮影のとき、私は裏方だと勝手に思っていたら、実演を私がやるということになって。その時たまたまジャケットを着ていて、腕もまくれないから水がピシャっとなったりして(笑)。
ー ルールはスムーズに決まったんですか?
- 藤原
-
そうですね、3回くらいの打ち合わせで決まりました。
ー どういう点を重視して決めたんですか?
- 藤原
-
「決めすぎない」ということです。
- 河原崎
-
あと「強制しない」ということ。自主的にやってくれる人で運用しようと。
- 奈須
-
それと負担がかからないように、作業にかかる時間も気にしました。
最初は、掃除とコーヒーを淹れるのを朝にまとめて時間を軽減するつもりでしたが、朝の掃除は衛生上よくないという意見があり、当番で夜に掃除することに決め直しました。
逆に、朝コーヒーを淹れるのは当番制にしませんでしたが、飲みたい人が淹れはじめてくれたので心配はなくなりました。
ー 今はみんな誰かにコーヒーの淹れ方教わって淹れられるようになっていますが、淹れ方自体分からないけど教わったら自分で淹れてみたいって人はまだ結構いると思うんです。そういう人にむけて教えたりする機会は今後ありますか?
- 藤原
-
コーヒーの淹れ方動画つくりましょうか。
コーヒーメーカーの近くにQRコード貼って(笑)
- 濱端
-
冊子も作りましょう。
ノートと鉛筆もつくりましょう。物販増やしていこうかな。
一同 (笑)
ようやく決まった運用ルール
実際に運用してみて感じたこと
今後について
ー やってみて実際どうですか?
- 河原崎
-
今のところは大きな問題はないですね。
- 奈須
-
掃除当番は、コーヒーのチャットワークグループに入っている人でまわすという話だったんですが、当番をやるつもりでチャットワークにいたわけじゃないという人がいたり、かたや自発的にグループに入りたいと聞きにきてくれる人がいて。
ー これは単純に私の意見ですが、例えば、今は仕事が落ち着いてるから手伝うよとか、逆に忙しいから今は参加できないとか、もう少し輪に入ったり出たりがしやすいといいのになと思いました。
- 奈須
-
確かに、新しく入社した人へのアナウンスもしてないですね。
- 河原崎
-
はり紙貼っておこうかな。「コーヒーグループに入りたい人募集中」って。
ー コーヒーグループに入りたいモチベーションってなんだと思います?
- 奈須
-
この間入ってくれた人は、コーヒーが好きだからと言ってました。
コーヒーが好きで、運用に協力してもいいよ、という位の人を募集してます。
今後の課題は、今の掃除当番を続けるかどうか…。
- 河原崎
-
当番が一巡するタイミングで、今後について話し合う予定です。
理想は、管理人や四天王がいなくても機能するような状態になることですね。
ー 自分たちでルールを決め、運用してみて、変わったことはありますか?
- 河原崎
-
思ってたより協力してくれる人がいること分かって嬉しかったです。特に率先してやってくれる人がいて、コーヒーの淹れ方もその人から伝わっていったのもよかったなと。あえて、全員への告知もしませんでした。
- 奈須
-
ただ新人さんも増えたので、淹れ方を知らない人に案内してもよいかもしれませんね。
- 濱端
-
僕が一番やってよかったと思うのは、運用がはじまる前の1ヶ月間、自分が毎日掃除したりコーヒーを淹れていたんですけど、そうすると30分くらい早く会社に来てやらないといけないんですよね。だから早起きになりました。
一同 (笑)
- 藤原
-
まだ続いてますか?
- 濱端
-
若干戻ってきました(笑)。
あとやっぱり朝早く来てコーヒー掃除したらすごく気持ちいいですね。
みんなが気持ちよくコーヒーとつきあえるルールとは?
インタビューを終えて
みんなが、楽しく、美味しく、コーヒーとつきあえるルールとは何か。
コーヒーをまったく飲まない人もいるなかで、いろんな立場の人が気持ちよくコーヒーとつきあえるにはどうすればいいか、ルールを模索する必要がありました。
おつかれ賃(個々のお金)と会社のお金を半々で購入した新しいコーヒーメーカーは、会社(公)のものでも個人(私)のものでもない、あいまいな存在です。
だからこそ、会社がルールを押し付けるのでも、個人が自分勝手にやるのでもなく、みんなでルールを作り出そう。そんな考えのもと、コーヒーサミットでは前提条件から考え直し、ルールづくりのためにコーヒー四天王も立ち上がりました。
「強制ではない」「決めすぎない」ルールづくりを意識して、トライ&エラーしながら、みんなが楽しめるよう創意工夫もする。こうしてできあがったルールを、有志たちが「自分とみんな」のために運用しています。
もちろん、まだまだ工夫する余地はあります。例えば、コーヒーの淹れ方動画を撮ってみたり、バリスタばりにラテを作ってみたり、おすすめの豆を挽いてみたり……。
そんな風にそれぞれが楽しみながら、気持ちよく、美味しく、コーヒーとつきあえるよう、これからも試行錯誤な運用は続きます。