2016年08月08日
切って、貼って、考えて。
娘との遊びから見つけた、楽しいものつくり
こんにちは。デザイン部の小野木です。
私は休日、紙人形を作ることがあります。NHKの「ノージーのひらめき工房」という工作番組があり、それを見ながら娘とキャッキャうふふするのですが、とある回でティッシュや紙皿を使って人形を作る回がありました。最初は似たようなものを作ってあげていましたが、だんだん私の制作意欲が膨らみ、娘が喜びそうな私なりの紙人形を作ってあげたい!と思ったのがきっかけです。
どうせ作るなら「とーちゃん、しゅごいねー」と娘に褒められたいので、毎回新しいアイデアを取り入れて、形に変化があるものを作るように心がけています。
そう、私は家に帰ってもデザイナーなのです。
本気で遊ぶために、きちんと考えています。
クライアントはまだ3歳。おそらく可愛いのが好きだろう。
ということで、
- 色は彩度を高めに、そしてカラフルに
- フォルムは二頭身で、幼く可愛らしく
- 現実には存在しなさそうな、ファンタジー要素を
遊びといえど、デザインの方向性は決めています。
まだきちんとヒアリングできるクライアントではないので(笑)、作り始めるときは私の方で、「こんなものをつくろう!」と決めています。例えば、「今回は鳥をモチーフにしてみよう」「全体のフォルムは太っちょにしよう」とか。また、人形の性格まで考えると、顔を作る際に目の形などが決めやすくて良いです。
しかし、このように色々考えたからと言って、その通りに作れるかというと大間違い。いざ作り始めると、なかなか思い通りにいきません。紙を切るときのちょっとした曲線の違いで、可愛くなくなったり、折り方次第で強度が足りず、ぺらっと曲がってしまったり……。娘の前では余裕で作っているフリをしていますが、いつも頭の中はフル回転。本気で作っています。
ということで、今回の記事執筆にあたり、その試行錯誤の様子も含めて、一体作ってみました。
難しそうに見えて、実際けっこう難しい!
キツネくんを作ってみた。
道具はこんな感じ。百均の色紙、両面テープ、はさみ。
作りながら微調整するがわかっているので、下書きとかしません。そのかわり「キツネをつくろう!」と決めているので、全体のフォルムを頭の中で明確にし、最初にどのように紙を切ったり折ったりするか決めておきます。
両面テープは三等分して細く使います。とても細かいところは、両面テープに紙を貼ってから切ると良いです。そうすると、形も崩れないし、切る回数も1回で済みます。
まずは顔からつくってテンション上げます。キツネなので細めの顔をイメージ。顔をつくるときは、最初の折り方が重要です。丸顔なら輪っかをベースに顔をつくりますし、今回みたいなシュッとした顔なら、二つ折りから始めます。メインカラーはキツネらしくない青色を用いることで面白くしてみました。
目とか鼻とかは細かいパーツなので、先ほどの「テープに紙を貼ってから切る戦法」で。耳は真ん中に切り込みを入れて、内側にキュッと重ねることで、立体感を出してみました。
胴体は何も考えずに、いつも輪っかから始めます。横から見て台形になるようにずらして貼ると、寸胴にならずおなかぽっこり体型になるので、かわいくなります。
やや考えが甘かったせいか、頭と胴体の連結で悩みます。こういう時間こそ、新しい発見が生まれるかもしれないので、ものつくりの醍醐味と言えます。
背骨をつけて、そこからなんとか誤魔化すことにしました(笑)。
首が少し揺れるのでこれはこれでかわいい。結構いい感じになりそうです。
毛みたいな鱗みたいな。ひとつずつ切ると大変なので、折った紙をジグザグ切って、帯状に広げます。工数削減のテクニック!仕事といっしょ。
青と黄色を交互になるように貼り付けました。この後、耳の後ろも同じ要領で貼っていきました。
背中の色味と合わせるために、顔にも黄色を入れてあげて、バランス調整。
手足は少しまるめた形に切り、左右非対称に貼り付けて、動きをつけました。
どうやって立たせようか悩んだ挙句、キツネはしっぽが特長的なので、しっぽで立たせようとひらめきました(大丈夫か?)。胴体を色味を合わせてしっぽになるパーツを作りました。
えんぴつなどに巻きつけてカールさせます。内側に向かってサイズを小さくし、カールが段々に見えるように工夫しました。
胴体としっぽをくっつけて、しっぽの後ろに台座をつけます。
完成!
きちんと立ちます。どやっ!
他の仲間と記念撮影。
鼻をつんつんして、揺らして遊ぶ娘。
いかがでしたでしょうか? 自分自身こんなに楽しいとは思っておらず、娘に白い目で見られるまでは、続けたいなーと思っています。
作ってみて一番の発見は、実際に紙を切ったり折ったりすることで、新しい形に巡り会えること。思いがけない形で出会うと、そこから新しいアイデアが生まれ、最終的に自分の頭の中で描いていた人形と違ったものになる楽しさがあります。
指先でどんどん変化していくその楽しさは、普段マウス越しにデザインをおこなうWebデザイナーの仕事では体験できません。また立体での造形なので、平面上でのデザインと違って、360度どこから見ても違和感がないように気を配らなければなりません。パーツの厚さだったり、貼り付ける位置だったり、ちょっとした違いで劇的に「それっぽく見えるコツ」のようなものが存在するように思います。こういったことは、経験を経てわかってくることで、Webデザイナーの仕事も一緒ですが、より直感的に頭で考えたアイデアを指先に伝える感覚は、リアルなものつくりの醍醐味だと思います。
とはいえ、Webデザインと全然違うということでもなく、仕事で養われた感性も活かされており、色のバランスや形のこだわりに現れている気がします。
ひょんなことから始めたこの紙人形工作ですが、結果として仕事と遊びが合わさった、よいライフワークになりました。最近うちの娘は妙にiPadを触りたがり、たまにYouTubeを見たりしています。それはそれで勉強になることもあると思いますが、そればかりだと、親としてはちょっと心配。やっぱり手を使って、頭で考えて、完成したときの達成感を味わってもらいたいので、できるだけ娘と工作して一緒に楽しむ時間を作りたいと思っています。
みなさんも、実際に手を動かしてものつくりをしてみると、新しい発見があるかもしれませんよ?