2016年09月07日
神山ものさす塾の講座をとおして気付いた
Webサイト運用の価値とは
こんにちは。運用チームの道場亮子です。
先日、モノサスで実施している「神山ものさす塾」の講師を担当させていただきました。
神山ものさす塾は現在2期目の実施となり、主にコーディングとライティングを教えているのですが、今回はサイトの運用方法を教える運用講座もカリキュラムに組み込まれることになりました。
私にとって、講師の経験ははじめてのことでした。そのため、サイトの運用の仕方を教えるってどうしたらいいんだろうと、頭をひねりながら、チームのみんなで試行錯誤して運用のカリキュラムを作り上げました。
今回は、そんな運用カリキュラムの作成過程や、あらためて気付いたことなどをお話します。
運用を教えるってどうしたらいいの?
今回、神山ものさす塾で授業をするにあたって一番苦労したことは、そもそもサイトの運用方法をどうやって教えたらいいのかということです。
普段、運用チームで新入社員に業務を教えるときは、まず案件の説明をし、後は実務をこなす中で覚えていってもらうというやり方をしていました。そのため、いざカリキュラムにするとなると、何から手を付けていいのか分かりませんでした。
当初、想定していた講座の内容としては、実際にページのチェックをしてもらってチェックの大変さを実感してもらうことや、実際のサイトの修正などをこなしてもらうなど、ストイックな修行というか、実作業の延長でしかないような内容でした。
しかし、それだと運用の大変な部分を感じられるだけで、肝心の運用をすすめるためには何をしたらいいのかが全く教えられないという結論に。
そもそも運用に必要なものってなんだろう?どうやって毎日案件を進めているんだろう?と考えた結果、運用をスムーズに進めるためには重要なのは、実は普段何気なくやっている色々なことではないかと仮定をし、まずは運用の作業を棚卸しするところから始めました。
共有サーバーのフォルダ構成、ファイルの管理方法や、日々のスケジュール調整の仕方に、五月雨で発生する課題の管理方法など。
もちろん参考にできる本やサイトがあるわけではないし、運用チーム内にもマニュアルがあるわけではありません。
本当に普段何気なく進めている内容なので、どれも当たり前の内容に感じてしまい、何が運用に必要なのかとても悩みました。
あらかた運用を進める上で必要な要素を抽出できたあとは、そもそも運用力って何だという話になりました。
今思うと、ここが一番頭を悩ませる内容でした。
料理を作る上で大事なのが、素材、手順、レシピだとしたら、運用だったらいったい何?
そもそも運用が大事だと言ってる理由は?
もし何も運用のことを知らない友達に1週間で運用を回せるようになってもらうとしたら何を教える?
などなどと、色々な切り口で運用のことを見つめなおしました。
その結果、「運用に大事な3つの要素」は、
- 期日通りの納品
- 有益な提案
- 安定した品質
であり、それを実現するための「4つのスキル」は
- サイトとクライアントの理解
- 適切なワークフローの構築
- 進捗管理
- 品質管理
であるというところに着地しました。
ようやく出来上がった
モノサスならではの運用カリキュラム
運用の柱となる、「運用に大事な3つの要素」と「4つのスキル」が決まってからは、これををどこまで細分化し、どうやって1週間という限られた時間の中で教えるか、実際に運用を回せるようになってもらうためにはどんな講座の流れにしたらいいのかを考えていきます。
まずは、運用の具体的な話をする前に、なぜ運用が重要なのか、運用を進める上での心構えなど、マインドの部分をカリキュラムに組み込みました。
世間にはデザインやコーディングのノウハウは溢れかえっていますが、運用の進め方を教えてくれる場はほぼ皆無なので、結果的に効率の良い運用の進め方を知っている人は少なく、運用のスキルが貴重になります。
またお客様の目的を達成するためにはサイトを作ったあとが肝心で、目的のために運用時に何をするか考えることが大事だという話をしました。
また、美味しい料理が作れてもレストランの運営はできないように、Webサイトもデザインやコーディングが出来るだけではサイトの運用はできません。
サイトの運用するためには技術以外のノウハウの部分が要になってくるのです。
そのノウハウの部分というのが、前述した「運用に大事な3つの要素」を実現するための「4つのスキル」を細分化して実務に落としこんだ内容です。
サイトとクライアントを理解するためのWebサイトの確認ポイントや、お客様へのヒアリング項目。
ヒアリングした内容から、効率良く運用を進めるためのワークフローの構築方法に、進捗管理のための課題管理表やスケジュールの作成方法と進捗管理のコツ。
さらに、品質管理のためのチェックシートの整備などなど。
実際の授業では、座学とワークを交えて、実際にやりながら学んでもらう形にしました。
ワークではチームに分かれて、お客様へのヒアリングのシュミレーションをして案件の立ち上げをしてもらったり、サイトの解析データをもとにした改善提案を実践してもらいました。
どのチームも積極的にワークに取り組んでくれて、チームごとに着眼点が異なるのが面白かったです。
また、チームの中でリーダーシップをとるメンバーだったり、黙々と資料作成に取り組むメンバーがいたりして、自然と役割分担されているのが印象的でした。
最後に
今回、運用カリキュラムの作成を通して、サイトの運用に必要なものが何なのかを徹底的に考えた結果、自分たちが当たり前にやっていたことが、実は運用の価値を生み出しているということを再発見できました。
また、サイトの運用をしていく上で柱とするべき「運用に大事な3つの要素」とそれを実現するための「4つのスキル」を洗い出すことができました。
日々の業務の中で何が大事なのかを意識できていれば、これまで以上に運用業務にやりがいを感じられ、要点をおさえることによって仕事のクオリティも上がると思います。また、今後新しいメンバーが加わった際にも、効率よく運用の進め方を教えられそうです。
今回のカリキュラムの作成は、初めてのことなので何が正解なのか分からず、やり直しに次ぐやり直しとなり、すでに神山入りしている塾長の栗原を交えて連日終電までオンラインで打ち合わせをしたりと、作成過程はかなり苦しい状況でした。
しかし、今では運用カリキュラムの作成が、サイトの運用というものをあらためて見つめなおす良いきっかけとなり、自分にとっても運用チームにとっても貴重な経験と財産になったと思っています。