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Dec,2016
町山 百合香
投稿者:町山 百合香
(Webディレクター)

2016年12月05日

バンコクはアートも熱い?
〜町山 百合香のギャラリー探訪〜

仕事と暮らし・タイ

町山 百合香
投稿者:町山 百合香(Webディレクター)

こんにちは。モノサスタイランドの町山です。
今回は、バンコクでアートに触れる機会を与えてくれる、素敵なギャラリーを5つご紹介したいと思います。

わたしにとって、タイには伝統的な芸能のイメージはあれど、近代的なアートのイメージはあまりありませんでした。
近代アートに触れることができる場所といえば大きな美術館が有名で、「BACC(Bangkok Art & Culture Centre)」や「MOCA(バンコク現代美術館)」といった箱があります。


BACC。駅から直結。斜向かいのファッションビルとも跨線橋で繋がっているため便利。

しかし、ギャラリーも着実に増えていっているようで、アーティストとして暮らしている人たちも実感として多いです。
バンコクにはどんなギャラリーがあって、それぞれどんな色を持っているのか。
まずは導入編としておたのしみください!

ちなみに、そういったアートの情報がまとまったフリーマップ、「BAM!(バンコク・アート・マップ)」もあるので、もし観光でタイのアートに触れたい方はまずこちらを入手されることをオススメします。

RCAC(ラーチャダムヌン・コンテンポラリーアートセンター)


この白い壁は仮設のため、この壁を取っ払えばかなり広々とした大空間。

ここはわたしがバンコクで初めて訪れたギャラリーです。敬愛する「奈良原一高」という写真家の作品が展示されるという情報を手に入れ、さっそく現地へ。
バンコクの中心地からはやや逸れた場所にあるこのギャラリースペースは、外観は何の変哲もない建物。しかし一歩足を踏み入れると、その天井の高さに驚きました。おそらく3F分ほどの空間を有していて、工場跡をリノベーションしたような雰囲気も洒落ています。
この時は、日本を代表する写真家11人による、戦後日本が復興していく過程のエネルギーに満ちた写真が展示されていました。1Fはメッセージ性の強い質の高いものが展示される傾向にあるようです。
2Fではアジアの学生による建築のコンペが開催されていました。3Fはわたしはまだ観たことはありませんが、ASEAN Caltural CenterというASEAN諸国の文化などを紹介するミュージアムがあります。
ここは空間としてもお洒落で、展示物の質も高いのでなかなか見応えがあるギャラリーです。


アジアの学生による建築のコンペ
 

CityCity Gallery


かわいいオーナーの愛犬がお出迎えしてくれる。

真っ白なブロックが2手に分かれ、大小2つの空間を有している、ミニマルで現代的なギャラリー。このギャラリーは流行りものをキャッチするセンスが優れているようです。
2015年8月にギャラリーオープンの展示を飾ったのは、日本でも人気が高いタイ人漫画家「タム君」ことウィスット・ポンニミットの個展「MELO HOUSE」でした。その際会場は、彼のキャラクター「マムアン」達を主人公とした迷路に見立てられていたそうで、道を選択していくと、何種類もの異なるストーリーの結末が用意されていたそうです。どんな結末があるのか知りたくて、何度も迷路の中に入る人も続出したらしいです。
わたしがこのギャラリーを訪れた際に行われていたのは、まったく毛色が違う作家さん。昨今ものすごいスピードで立ち現れていくコンドミニアムにスポットを当て、急速に近代化を進めていくバンコクの様子を、写真とポエムを用いて詩的に語ろうと試みていました。
わたしは小さい頃からベランダで遠くを眺めるのが大好きだったのですが、そんなマンションからの景色が、新たなマンションの建設によってどんどん狭まっていくのを寂しく感じていました。今バンコクに住んでいる人たちも、似たようなことを感じているのかもしれません。


必ずギャラリーの人が話し掛けてきてくれ、今回の展示の説明をしてくれる。
 

Nova Contemporary Art


まだそれほど人も来ないため、2Fの映像ルームも含めて独り占め。

2016年4月にオープンしたばかりのギャラリー。とあるマンションの1F、エントランス脇に入口があるのですが、この隠れ家的な立地は、知らないとまず辿り着くことはできないでしょう。
記念すべき初展示は、広島のみやうち芸術文化振興財団が関係している『Today Is The Day: The Proposition Of Our Future』。メッセージ性の強い作品が展示されていることが多いようです。
今回の展示は、60年代頃タイに築かれた米軍基地が遺した爪痕を作品にしています。
作家が幼い頃、ミャンマーの国境を船に隠れて渡った記憶を映像化した作品が好きでした。暗いスペースでソファに座りながら、一人うとうとしながら観ていると、リピートされる映像が無限にループされて、朧げな夢のような作品をいい具合に追体験できました。
入口に置いてあるパンフレットの中に日本のものがあったので、何か日本と関係があるのか訪ねてみたところ、今回展示されている写真の印刷に使っている紙が、日本の阿波和紙なのだそうです。紙の質がとても高いと絶賛されていました。なにかと日本に縁がありそうなギャラリーです。今後も動向を見守っていきたいと思います。
 

Rikyu Boy


今回の展示は、美容院で働くスタッフのお兄さんも含んだ、10人のグループ展。次はベルリンで展示するそう。

築100年近くの古い一軒家をリノベーションした、洒落た美容院に内包されているギャラリー。美容院がギャラリーの一部として存在しているような、そんな素敵空間です。
なぜ美容院にギャラリーが?と聞いたところ、大きな理由としては「スタッフの方々が常にアートに触れていられるように」とのこと。
スタッフの方々はいつも「美容師になってはいけない」と言われているらしく、サロンワークだけにとどまらず、ファッションやアート、そしてお互いのライフスタイルに興味をもって、アイデアを共有して、日本とタイのクロスカルチャーを楽しんでいるそうです。
今はグループ展が行われていましたが、わたしが前回訪れた際は、演劇が公演されていました。
快快(ファイファイ)という日本の演劇集団の一員の女性のソロ公演。ギャラリーをとある女の子の部屋に見立てて、観客はその子の身の回りの物に詰まった思い出話を聞きながら、どんどんストーリーに惹き込まれていくのでした。


シャンプー台のすぐ後ろにもアート作品が展示されている。
 

JAM Factory


中庭を囲んでコの字型に建物が位置していて、その真ん中にあるのがこのギャラリー。

打ち捨てられていた古い倉庫を、タイを代表する建築家&デザイナーのDuangrit Bunnag氏が2013年にリノベーションし、今ではサブカルに興味がある若者たちが集まるスポットになっています。施設には本屋、インテリアショップ、カフェ、ギャラリーとコンテンツが盛りだくさんです。緑溢れる開放的な立地、広く設けられた中庭では、日夜さまざまなイベントが催されています。
今回わたしがお邪魔したイベントは、海外でも評価の高い「チェルフィッチュ」という劇団の主催、岡田利規さんの本のタイ語版が出版されたため、タイの有名な若手作家とのトークイベントが開催されました。
岡田さんの書く台詞の調子は現代の若者的でもありながら、舞台は社会的な情勢を何かしらはらんだテーマであることがほとんどです。イベントでは、この作品を執筆した際の時代背景と、小説と演劇の差異について語ってくださいました。
演劇ではコトバはカラダに縛られてしまうけれど、小説ではその制約がない。そのため「三月の五日間」という作品では、語り手が一人称から三人称へ、女かと思えば男へ、などとどんどん移ろっていく特殊な作品になっており、はじめはとっつきにくいかもしれませんが、チューニングが合ってくるとそれが面白くなってしまう作品に仕上がっているそうです。2017年3月にバンコクで公演されるそうで、まさかバンコクでチェルフィッチュが観れるなんて夢にも思っていなかったので、今から心待ちにしています。


また違う音楽イベントの日の様子。様々なイベントが開催されている。
 

まとめ

バンコクでは、経済やアートのインフラは今まさに整備中です。
だからこそ新しい試みができるという想いから、バンコクに足を踏み入れる人も多いと思います。
前もってふるいにかけられて、いいものと保証されてから鑑賞する機会はまだ少ないかもしれませんが、むしろそれがいいとも感じます。
インフラが整う前だからこそ楽しめる環境を大事にしながら、今後もバンコク生活を充実させていきたいと思います。

この投稿を書いた人

町山 百合香

町山 百合香(まちやま ゆりか)Webディレクター

モノサスタイランド所属。入社を機にバンコク初上陸。苦手だったタイ料理も、好きなメニューが無事見つかる。英語もタイ語もできなくても、話してみればなんとかなる。今のところ日本には帰りたくない。マンガ・アニメ・梅酒が好きです。

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