2016年12月20日
プロジェクトの次の姿をイメージする。Field Hack TONO 開催を経て。
こんにちは、プロデュース部の上原です。
プロデュース部が関わるプロジェクトのひとつ、「Google イノベーション東北」では、様々なプロジェクトを企画・運営させていただくことがあり、その中で、僕は全体のプロジェクトマネージメントを担当しています。
そんな僕が、とても大切にしていることとして、「イメージをひたすら繰り返す」ということがあります。いわゆるイメージトレーニングです。
プロジェクトのクオリティは、事前にゴールや、そこに至るまでの流れをどこまでイメージできるかと、それをもとに実際のオペレーションに正確に落としこむかが鍵になると考え日々仕事をしています。
先日、その Google イノベーション東北と、情報科学芸術大学院大学 [IAMAS] と共催するプロジェクト、Field Hack の第 2 回を岩手県遠野市にて開催。今回は、「イメージをひたすら繰り返す」その先についてとても良い学びがありました。
それは、
プロジェクトのイメージ像と実際の整合性がとれてくると、
次のあるべき姿が見えてくる
ということです。
Field Hack とは?
まずは、簡単に Google イノベーション東北と Field Hack について、概要を説明します。イノベーション東北とは、各地で地域活性のためプロジェクトへ挑戦する人と、そのプロジェクトに参加したい人とをつなぐ、マッチングプラットフォームです。
そんなイノベーション東北と情報科学芸術大学院大学[IAMAS]が主催となり、2016 年から開始した新しいプロジェクトが Field Hack! 全国のエンジニア、デザイナー、プロジェクトマネージャーなどがチームとなり、地域で設けられるテーマにテクノロジーで挑むプロジェクトです。第 2 回は、Next Commons Lab (以下 NCL)の協力のもと、岩手県遠野市にて開催しました。
Field Hack ONAGAWAの学び
5 月に宮城県女川町を舞台に開催された第 1 回は初回ということもあり、思った通りに進まなかったり、参加者のみなさんより厳しい、愛のあるご意見も貰いました。
例えば、チーム編成を主催者側で行ったことで、コミュニケーションや役割分担を行うまでに時間がかかり、短い期間でプロトタイプを開発する上で、関わり方を見出せずに発表会を迎えたメンバーがでてしまうチームもありました。
また、テーマ設定の粒度が曖昧だったため、フィールドワークにおいて参加者が上手くこれだ!と思う課題や可能性を見つけることや、プロトタイプの方向性を地域側と擦り合せることに時間がかかる結果となってしまいました。
(その中でも、上手く意図をくみ取り、それぞれのチームがプロトタイプを発表会までに開発して下さいました。)
そこでの学びを活かす為に、今回のField Hack では、応募時点で予め自分たちでチームを組んでもらい、その後のコミュニケーションや、役割分担を行うコストを軽減できるよう変更しました。
また、テーマの粒度をきちんと整えるために、地域の方々と何度も打ち合わせを設けさせていただいたり、期間中のコミュニケーションの部分も改善できるよう、地域と参加者の中間役として動いていただく、地域コーディネーター制度を取り入れました。
そんな改善点を反映させながら、第 2 回目に挑み、開催期間中は順調(細かな反省点は多々ありますが)に進む結果となりました。
イメージをし続ける
先に挙げた改善点以外にも共通するのですが、今回のトピックの通り、全体としてイメージし続けることがとても重要です。
Field Hack でイメージした流れをざっくりと記載すると、以下 の 4 点です。
1. ゴール
地域の方々、参加者、主催者など、関わるすべての方々が、Field Hack を通じてそれぞれ実現したいことは何か、それができるとどのような状態になるのか、まずは登場人物をもとにプロジェクト全体のスコープをイメージ
2. プログラム内容
ゴールイメージをもとに、タイムラインと照らし合わせながら、成功の鍵となるプログラムの内容を考え、各段階でどのような状態になっていることが理想なのかをイメージ
3. タスク
1 & 2 で全体像がイメージできるので、それに向けたタスク整理を開始し、いつ・どんなことが起きるのか、求められるのかをイメージ
4. オペレーション
3. をタイムテーブルとプログラムを照らし合わせながら、参加者がどう動くことが一番スムーズなのか、運営はどこまで対応できるのか。ということを、臨機応変に動ける余分を残しながらイメージ
こんな感じの流れかなと思いますが、イメージはただ自分が持つものではなく、関係者に共有して、フィードバックを貰えるようにします(とても重要)。自分ひとりだと限界があるので、多角的な意見を貰えることで、精度はさらに高まっていくと思います。
イメージ像と実際の整合性がとれてくる
オペレーションまでの流れを納得行くまでイメージできたら、後は当日を迎えるだけです。会が始まると、必ず想定しないことやアクシデントが起き、柔軟に対応することが求められますが、大きな変更を加えることはできません。
イメージしたことが、きちんと行われていくか、確認しながら対応していきます。
今回のField Hack TONOでは、その精度が今までよりとても高かったと思います。
- フィールドワークを経て刺激されて戻って来た参加者の姿
- 地域の方々とフラットな状態で話をしている姿
- アイデア・コンセプトスケッチで、短い時間で悩みながらチームでアイディアをまとめる姿
-
発表会までにきちんとプロトタイプができ、地域の方々と今後についても真剣に議論する姿
などなど、こうあって欲しいなとイメージしていたことが実際に目の前で行われていました。
そんな、イメージ像と実際の整合性がとれてきたことが確認できたときに、
改めて、Field Hack の特長と、今後の可能性を感じることができました。
Field Hack はフィールドワークや地域の方々とのディスカッションを経てプロトタイプ開発を行うことで、最初の 1歩を踏み出すことができるプロジェクトであると。
事業化したり、地域に実際に実装するフェーズも含めプロジェクトを長い目で見ると、とても小さな一歩ではあると思うと同時に、一番大切な一歩だとも思います。
「地域でテクノロジーの力を使って変化を生み出すきっかけ」が FIeld Hack なんだなと、改めて思いました。
この気づきにより、Field Hack の次のイメージを具体的に開始することができ始めました。
プロトタイプの完成度を高めるには今後どうサポートできるのか?
どうすれば地域に完成したプロダクトを実装し還元していくことができるのか?
Field Hack が今後スケールしていく方向性はどこなのか?
Field Hack がプロジェクトとして成長できる機会をイメージできるようになり、次のディスカッションが生まれ始めました。今回の改善点はもちろんあるのですが、次のフェーズに足を一歩踏み込めたということが嬉しくもあります。
イメージできた内容が現実に投影され始める、その瞬間が次の成長を促すきっかけだと気づいた機会でした。
そんな次の動きとして、今までのField Hack 参加者や興味ある方々をお招きし、横のつながりも作っていくことで、新しい動きや、それぞれのプロジェクトが長く続くきっかけになればと思い、忘年会を開催しました。
過去の参加者と、興味ある方々が入り混じりながら、熱量の高いディスカッションがあちこちで生まれました。とても素敵なコミュニティができ始めていると感じました。今回は、イメージすることについて書きましたが、参加者のみなさんの協力的な姿勢なしには、絶対に感じることができなかったと思います。(この素晴らしいコミュニティについてはまたどこかで書きたいと思ってます!)