2017年01月05日
2017年、年初の大提言。
BtoBサイト、そしてWebマーケティングは、かくありき。
あけましておめでとうございます。
マーケティング部・部長の龍田です。
マーケティング部には、BtoBチームというチームがあります。
その名の通り、BtoB企業のWebサイトの調査・企画・制作を専門にしたチームです。
筆者もそのチームの一員として、日々、BtoB企業のWeb担当者様と共に、Webサイト制作に励んでいます。
今回は、BtoBチームがお送りする新年1回目のBtoB研です。
日々感じていること、最近のWeb動向を整理しながら、2017年のBtoBサイト、そしてWebマーケティングについて考えてみたいと思います。
特に、2017年にWebサイトリニューアルを控えているBtoB企業のWeb担当者様に参考にしていただくことを念頭に、書き進めます。
スマホ対応は、推奨から必須へ
iPhoneが発売され、スマートフォンなるものが、市場に登場したのは、2008年のことです。
通信環境の改善、SNSの隆盛も合いまって、たった数年間でユーザーのWebとの接し方は大きく変わりました。それに比例して、Web制作も大きく変化を続けています。
「モバイルファースト」「レスポンシブWebデザイン」「フラットデザイン」...。
スマホに関する多くの考え方や制作手法が生まれました。
スマホが登場して間もない頃は、スマホに対応したWebサイトを制作する目的は、ユーザビリティ(使いやすさ)を高めることでした。スマホユーザーにとって使いやすいWebサイトにすることで、そこからの行動や購買を喚起しようというものです。
しかし、2015年。この考え方を大きく変える出来事がありました。
Googleが新しい検索アルゴリズムを導入したのです。これは「モバイルフレンドリー・アルゴリズム」と呼ばれています。
要はどういうものかというと、「スマホ対応をしているかどうかを、スマホで検索した時の検索順位の判断基準に加える」というものです。
つまり、今までユーザビリティ向上が目的だったスマホ対応が、検索順位にも影響するようになったのです。
そして、2016年秋。更に大きな発表がありました。
「モバイルファーストインデックス」です。これは本当に大きな出来事なので、Web担当者の皆さんは把握をしておいてください。
今までのGoogleのアルゴリズムは、基本的にPCサイトを見て順位付けをしていました。しかし、「モバイルファーストインデックス」が正式に導入されたら、そうではなくなります。PCサイトを見に行かずに、スマホサイトを見て順位付けをすることになります。
スマホサイトを検索結果での順位決定に使い、PCサイトはほとんど見なくなります。
2015年の「モバイルフレンドリー・アルゴリズム」はあくまで、「スマホで検索した時のスマホサイトの検索順位に影響する一要素」でしかありませんでしたが、今後は、そもそもスマホサイトを見て、PCもスマホも検索順位が決まるということです。
このアルゴリズムの正式な開始時期は、まだ不明です。
「2017年2月くらいか?」「いやいや、もう影響が出始めている」等、我々の業界でも様々な情報が飛び交っています。
しかし、2017年に開始されるのは間違いなさそうです。
BtoB企業は、BtoC企業と比較すると、スマホ対応が遅れています。
「うちはBtoBだから、スマホからは見られないし、スマホ対応は必要ないよ。」
とは言っていられない時代になりました。
我々がお付き合いをしているBtoB企業のほとんどが、スマホからのアクセス数が年々伸びているという現実もあります。
まさに2017年は、BtoBサイトにとって、スマホ対応が必須となる1年になります。
再び、新しい形で、サービスサイトの重要度が増す
企業情報をまとめたコーポレートサイトとは別に、サービスや製品ごとにサービスサイトを構築している企業は多いと思います。
弊社もコーポレートサイトとは別に、複数のサービスで、サービスサイトを運用しています。
振り返ると、サービスサイトが一気に増えた時期がありました。しかしその後、ブランドイメージの統一感の欠如、情報やリードの拡散、運用の煩雑さを理由に、サイトを集約する動きがありました。
そして、2017年。再び、サービスサイトの重要度が増してくるのではないかと考えています。
そう考えるように至った背景はいくつかあります。
昨年、BtoBチームに依頼される案件に大きな変化がありました。今までは、ブランドイメージや知名度の向上、営業の補助ツールとしてWebサイトを使いたいという要望が多かったのですが、昨年は「Webサイトからリード・案件相談を得ること」をWebサイトの目的に設定する企業が本当に増えました。急激にです。
Webを広報ユースから、マーケティングユースへと転換する企業が増えたことを意味すると思います。この事実は、翻って考えると、Webマーケティングの競争が激しくなることを意味するとも言えます。皆さんの競合企業も、今、Webマーケティングに力を入れ始めているかもしれません。
次に、BtoBに限らず、最近のWebマーケティングを取り巻くトピックを見てみます。
コンテンツマーケティング
ユーザーに価値ある情報を提供することで、見込み客を育成・購買・固定化するマーケティング手法。
SEOアルゴリズムのアップデート
ユーザーが本当に求めている情報が上位表示されるように、アルゴリズムが日々アップデートされていく。
AMP
スマホユーザーの体験向上を目的として、Webページの表示速度高速化の仕組み。
マーケティングオートメーション
「最適なコンテンツを、最適なタイミングで、最適な方法で届ける」ために、ユーザーの行動履歴や属性から、アクションを自動化する仕組み。(後述)
いずれも今後主流になるとされる手法や、既に多くの成功事例が生まれている手法です。
ここまで見てきたような脅威と機会、そしてユーザーが求めているであろうニーズを考えると、サービスサイトが有効な媒体になると感じます。そして、その構築・強化がWebサイトの目的を達成する有効な手段ではないかと考えています。
ただし、これまでのようにただサービス内容を説明したり、製品情報を紹介したりするだけではいけません。新しいコンセプトのもとに、ユーザーが求めるコンテンツ、ソリューションを軸に組み立てられるかがカギになります。
2017年にBtoBチームとして、提案していきたいテーマのひとつです。
マーケティングオートメーション、プラスマイナスα
マーケティングオートメーション(以下MA)という言葉は、皆さんも耳にしたことがあると思います。マーケティング先進国であるアメリカで10年以上前から、開発、導入され、多くの成功事例が生まれているシステムです。
本格的に日本に入ってきたのは2014年です。アメリカで実績をあげている複数の製品が日本でも使えるようになりました。
以来、BtoC、BtoBを問わず、日本の企業も様々なアプローチで導入を始めています。しかし、導入しているのは、マーケティング先進企業を中心に一部に限られています。
この状況が徐々に変わり、少しずつ普及が始まるのが、2017年からではないかと筆者は考えています。
まだ普及が進まないのには、いくつか理由があると思います。
ひとつは、マーケティング発想・機能・部署・人材の不在です。
MAを導入するとマーケティング~営業活動が大きく変わります。それを実現するためには、多くの部署が関わることになります。営業部門はもちろん、新システム導入のため、システム部門との連携があったり、運用時のコンテンツ制作のために製造・開発部門との連携があったり。
このように会社を挙げての一大プロジェクトとなる訳ですが、その中心を担う部署や担当者がいないBtoB企業が多いのが現実だと思います。実際、我々が一緒に仕事をする担当者の多くが、広報部や総務部に属しており、Web以外の他業務と兼務をしながら、Webサイトリニューアルを進めることが多いです。
アメリカの企業は、マーケティングチームを組織の中心に据えて企業活動をし、そこから多くの経営トップが生まれるのが一般的だと聞きます。
このような背景が、日本とアメリカの普及率の差になっていると感じます。
もうひとつは、営業が強いということがあると思います。
日本企業は、元来、マーケティングが弱いと言われています。一方、営業は本当に強いです。日本独特の商習慣をベースに、人間関係の構築や提案力でもって、多くの仕事を生み出しているのは営業です。
実は、マーケティングに力をいれなくても、売上がたってきたというのが、多くのBtoB企業の現実ではないかと思います。
しかし、これが徐々に変わってくるのではないかと思うのです。
もちろん、従来の営業をやめて、MAを導入しようという話がしたい訳ではありません。実際、筆者は営業が案件化するという要素は無くしてはいけないと思っています。個人的に「営業が花形」という文化も大好きです。
MAを導入することで、今まで営業一辺倒だったところに、マーケティングの要素を加えると更に成果が出るのではないかと思うのです。
「マーケティング~営業の仕組みを再構築する際には、営業という強みを残すべきではないか。」
このように、我々がMAで成果を出していくには、日本流、そして〇〇会社流のMAの活用方法をつくっていく必要があると思います。アメリカの真似っこだけではいけないと思うのです。
今年は、自社サイトを使って、それを探ってみようと思っています。弊社で出来た成功事例なら、皆さんの会社でも使える要素が出てくるのではと期待しています。
それを基に
- MAを使ったマーケティング~営業の構築ノウハウ
- 担当者が他業務との兼務でも成果が出せる、負荷の少ない運用
-
運用時のコンテンツの精度を保つ仕組み
といったMAを使ったサービス開発も検討したいと思っています。
最後に
Webサイトリニューアルは、通常業務とのかけもちや、社内調整の大変さ等、Web担当者にとっては、本当に大変です。
しかし、我々が日々仕事をさせていただく中で感じるのは、リニューアルの成否を分けるのは、Web担当者が“意思”を持てるかどうかだと感じています。
「こういうサイトにしたい!」
「この施策を実施したい!」
その“意思”を持っていただけるように、我々もリニューアル時はもちろん、準備段階でも、サポートをしていきたいと思っています。
2017年が皆様の会社のWebマーケティングにとって、意味ある1年になりますように。