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27
Jan,2017
道場 亮子
投稿者:道場 亮子
(Webディレクター)

2017年01月27日

一年の幕開けは断食から

TOPICS

道場 亮子
投稿者:道場 亮子(Webディレクター)

こんにちは。クリエイティブ部の道場です。
今回は、正月休みに3泊で行ってきた、成田山での断食修行のお話をしたいと思います。
 

断食修行のきっかけ

私が断食修行に行こうと思ったきっかけは、ダイエットと心身の鍛錬のためです。
昨年末に仕事が重なり、徹夜と休日出勤の繰り返しでかなり生活が乱れている時期がありました。
特に、徹夜をしているとついつい間食が増えてしまったり、やめていたタバコに手を伸ばしてしまったりと、不摂生を繰り返す日々。

そんな生活を続けていたら、気付けばあっという間に5キロも増量!
さすがにこのままではヤバいと危機感をいだき、一念発起したというわけです。
また、それ以外にも、今年は私にとって仕事の面でチャレンジとなる年なので、自らの精神を鍛えなおして気合を入れるという目的もありました。
 

断食修行の準備

私が断食の場に選んだのは、成田山新勝寺の断食参籠修行です。
滞在中に口にできるのは成田山の井戸水のみで、ミネラルウォーターすら禁止という徹底ぶり。
この断食はあくまで仏教の修行であり、心身の鍛錬を目的としたものしか認めないというスタンスです。
前述のとおり、私の目的も心身の鍛錬のためなので、とくに問題はありません。

また、修行なので、持ち物についてもかなり厳格です。
まず電化製品の持ち込みは禁止。
つまり、スマホや音楽プレーヤーなどは不可です。
さらには本なども仏教関連以外の本は不可。
断食修行の担当者曰く、修行に関係ないものは一切持ち込み禁止とのことでした。
なので、断食の期間中は仏教漬けの日々になります。
断食による飢餓感も心配でしたが、何も娯楽のない状況に身を置くというのも暇で死にそうになるんじゃないかと心配でした。
私は滞在中の暇つぶしのために、読みやすそうな仏教本を4冊準備して挑みました。

また、断食の前には断食する期間と同じだけ減食をして体の準備をする必要があります。
私の場合は1月4日から三日間の日程でしたので、元旦から減食をしなくてはいけません。
元旦はおかゆのみ、2日はサラダのみ、3日はスープのみという形で減食をしました。
今思い返すと、周囲に誘惑が多い分、この減食期間中のほうが食欲を抑えるのに難儀しました。
 

断食修行一日目

断食修行の前に、断食修行に耐えられる体調なのかを判断するために健康診断を受ける必要があります。
成田駅から10分程度の場所にあるクリニックに朝8時20分には到着しないといけないので、朝5時30分頃に家を出ました。

健康診断を無事にクリアした後は、いよいよ成田山へ。
世話役の方から説明を一通り聞いたあとは自由時間です。

下記が、滞在中の主なスケジュールです。

5:00 起床
5:30 世話役の方に飲んだ水の量を報告
6:00 朝護摩
22:00 消灯

本来は15時にお坊さんのお話があるのですが、正月期間中でお坊さんが忙しいとのことで一度も開催されず。
なので、朝6時からの護摩が終わってしまうと完全なフリータイムです。

まずは断食中に滞在する成田山女子参籠堂へ。


※写真はイメージです

8畳間が二つつながった部屋で、暖房はハロゲンヒーターのみ。廊下との仕切りは穴の開いた障子。ヒーターの目の前にいないと暖かさを感じられないので、とにかく寒いです。日なたであれば外のほうが暖かいくらいで、1パック持ってきたホッカイロが足りるかどうか心配になりました。
滞在中、何が辛かったかというと、一番辛かったのは寒さかもしれません。

荷物を片付けたあとは、東京ドーム3.5個分もあるという成田山の敷地内をお散歩。
各施設をじっくり見て回ると、約二時間弱の行程です。敷地内から一歩でも出てはいけないので注意が必要です。
お正月なので敷地内には食べ物系の屋台がひしめいており、さっそく焼きそばの匂いが誘惑してきます。


美味しそうな焼きそば

もちろん固い意志のもと、華麗にスルー。

いくつかのお堂を経て、平和大塔という不動明王像が祀られている場所へ。
この不動明王像が迫力満点。
自然と成田山滞在中はこの不動明王様が守ってくれるんだなという気持ちになり、断食の成功を祈願しました。
とても不動明王様にシンパシーを感じた私は、滞在中、毎日不動明王様に挨拶しにいくようになります。


不動明王像(※写真はイメージです)

次に向かったのは書道美術館。
正直に言うと、普段書道には全く興味のない私ですが、時間だけは山ほどあるので一つ一つの作品をじっくりと見て回ります。
数ある作品の中でも特に心を惹かれたものが、ふすまに描かれた水墨画。


水墨画(※写真はイメージです)

墨の濃淡で木々や月、日の光の様子が表現されていて、見ていると心が穏やかな気持ちになり、癒やされていく自分がいました。
こんな体験は滅多になく、とても貴重な時間で、気付けばその絵の前で3時間ほど過ごしていました。

その後も散歩をしたり、持参した仏教本を読んでゆっくり過ごし、22時の就寝時間になりました。
初日なので、飢餓感も暇さ加減もまだまだ余裕があります。
余裕が無いのは寒さですが、フリースにダウンを重ね着して布団に入ることでなんとか朝まで耐えました。


みうらじゅんの「マイ仏教」と、二階堂武尊の「29歳からはじめるロックンロール般若心経」 「マイ仏教」は、著者のエピソードをベースに語られていて、面白くてするすると読み進められます。 「29歳からはじめるロックンロール般若心経」は、般若心経の教えを現代流に分かりやすく解説してくれて、日々の悩みが馬鹿馬鹿しいものだと思わせてくれる一冊です。 持参した他の二冊に関しては、断食道場の本棚に寄付してきたので今は手元にはありません。


断食修行二日目

前述したスケジュールのとおり、朝5時に起きて支度をします。
水道からは水しか出ないので、顔を洗うのもめちゃくちゃ冷たい冷水です。
支度を整え、世話役の方へ飲んだ水の量を報告した後は、いよいよ朝護摩へ。


朝護摩の様子(※写真はイメージです)

御護摩というのは、密教の秘法とされる、神聖な火を焚いて心願成就を祈祷する儀式です。
成田山の御護摩は平安時代から続いているそうです。
御護摩の前にはお坊さんのお話を聞き、お祓いをしてもらいます。
お祓いが終わるといよいよ御護摩の火が燃えあがり、大きな太鼓や鐘の音とともにお坊さんたちの読経が始まります。
普段、特に信仰を持たない私ですが、この時ばかりは荘厳な雰囲気に圧倒され、仏教の崇高さの前にただただ言葉を無くすばかりでした。
朝護摩のときに唱えた以下の不動明王様の御真言は今でも覚えていて、ふと気が付くと今でもたまに唱えていたりします。

不動明王様 御真言
のーまくさんまんだー
ばーざらだんせんだー
まーかろしゃーだー
そわたやうんたらたー
かんまん

朝護摩を終えた後は、初日に引続き、部屋で本を読んだり敷地内の散歩をしてのんびりと過ごします。

前情報によると、二日目になると体力が無くなって動くのがキツくなるという話があったのですが、私の場合は意外と苦もなく動けました。
相変わらず、あまりお腹が空く感じもなかったので、脂肪の蓄えが多すぎてあまりダメージが無かったのかも?と反省。


般若心経(※写真はイメージです)

また、この日は般若心経の写経を体験しました。前の日に仏教の本を読んで、般若心経についての概要は学んでいたので、一字一字の意味を考えながら心静かに写経をすることができました。

般若心経は、人生はとにかく諸行無常だということを説いていて、考え方を変えて楽に生きようという内容です。(自分なりの意訳が含まれます)
この思想には仏教という枠を越えた誰にでも通じる人生の教訓が詰まっているように感じ、ここでもまた心が洗われるような気がしました。
 

断食修行三日目

今日が断食の実質的な最終日。
持参した本も読みおえてしまい、正直に言って暇さ加減はMAXです。
日課の朝護摩と敷地内の散歩を済ませた後は、これまで訪れていなかった仏教図書館へ向かいます。
仏教図書館は基本的には仏教関連の本しか置いていないのですが、中にはマンガも置いてあり、断食修行者にとってはオアシスのような場所です。


お釈迦様(※写真はイメージです)

それでも、ここまで来たらある程度は仏教の範疇を外れたくないストイックな私は、手塚治虫のブッダを手に取りました。
最後までは読み切れなかったのですが、ブッダの青年期までの苦悩を知ることができ、彼の有名なブッダも我々と同じように悩み苦しむ日々があったのだなぁと、しみじみと思いに耽りました。

図書館の閉館後はまた部屋でのんびりです。
不思議なことにお腹が空かず、かと言って動けなくなることもなく。
現代人は余分にエネルギーを取りすぎているという話は良く聞きますが、如何に自分が普段食べすぎる生活を送っているのかということを身を持って実感しました。
 

断食修行四日目

最終日の四日目は、朝護摩の後に重湯をいただいて帰るのみです。
断食後の重湯は、舌が敏感になっていてすごく感動するという話を聞いていたのですが、私の場合はさしたる感動もなく、するするといただきました。
久々の食事で胃が受け付けないということもなく、お鍋の重湯を全て完食。

これで断食修行は終了となり、駅へと向かいます。
成田山の参道には魅力的なお土産屋さんが多く立ち並んでおり、私もついつい久々の俗世間に触れ、焼きたてのどら焼きを購入してしまいました。


 

まとめ

断食修行の三日間を通して一番感じたことは、人ってこんなにも水だけで過ごして普通にしていられるんだなということです。
滞在中、毎日成田山の敷地を一周していたことを考えると、普段の通勤や仕事の時よりも体を動かしています。
それなのに、お腹が空いて倒れることもなく、ただただ時間が過ぎるままに過ごしていました。

普段、常にネットからの情報にさらされていたり、仕事だ遊びだと目まぐるしい日々を送っていた私としては、何もネットなどの情報源が無く、ただそこにあるものを愛でるという感覚が非常に新鮮で、「足るを知る」というのは正にこういうことだなと思いました。

この断食修行を通して、そんな経験をしながら仏教に触れることで、日々の煩悩から解き放たれた気がします。
煩悩を感じず、身の回りにあるものに感謝しながら生きるという、本来有るべき姿に立ち返ることが出来た三日間でした。

今では再び、食や遊びや仕事に関しても、めくるめく煩悩に支配された日々に戻ってしまいましたが、成田山の断食修行で過ごした期間があるおかげで、意識を改め、今そこにあるもので満足するというきっかけをつかめた気がしています。

肝心の体重はと言うと、修行直後はマイナス4キロという結果でした。

今ではすっかり元に戻ってしまいましたが、それでも成田山での断食修行はとても良い経験になりました。

次回は最長の6泊に挑戦して、更なる精神の高みを目指したいと思います。
どなたかご一緒していただけるという方がいらっしゃったら、ご連絡をお待ちしております。

この投稿を書いた人

道場 亮子

道場 亮子(みちば りょうこ)Webディレクター

クリエイティブ部の運用チームでディレクターをやってます。元探偵というちょっと変わった経歴を持っています。趣味は登山とスノーボードで、モノサス登山部の部長をやらせてもらってます。現在の目標は海外進出です!

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