2017年08月09日
ディレクターを目指したコーダーの話
こんにちは。コーディングファクトリー部の小嶋です。
前回の記事では、Web の学校に通いながらチェッカーとして働き、コーダーに転身した話を書かせていただきました。今回は、私がポジションを変えながら、できることを増やしたいと思うようになった結果、コーダーからディレクターに転身した話を書こうと思います。
コーディングファクトリー(以下 CF ) のコーダーは基本的に、コーダー自身が直接お客様とスケジュールや仕様上のすり合わせを行います。このように、コーディングをしながらディレクションするのが CF のスタイルなので、ディレクターのイメージも湧きやすかったです。 「ディレクター」という言葉自体を調べると、指揮者や、監督、管理者という言葉が出てくるように、まさに案件を指揮していく人。そんな重要な役割を担えるようになったら仕事の幅が広がるし、ディレクターに必須なお客様とのコミュニケーションについても、これまでの接客や営業の経験を活かせるな。といつしか思うようになっていました。
なぜ、ディレクターになろうと思ったか
私の性分的に、やりたいと思ったらやらないと気が済まない体質で、なるべく道筋を立ててから行動に出るときもあれば、ノープランで朝起きたら、「今日はここに行こう!」と突発的に動く場合もあります。 この性分を、ディレクターの動きに置き換えると、前者が計画性のある動きで、後者は、資料や先方の発言に曖昧な部分があれば、すぐにもう一度確認してみようとする動きにつながっているところかもしれません。そういった意味で私はディレクター向きなのかもしれませんね。なんて(笑)
実際のところ、求められる制作のスキルが高度になっていき、徐々に JS の技術についていけなくなり、不得意になってきた実感がはっきりするにつれ、コーダーとしては難しく感じてきた自分の気持ちと、仕事に対する気持ちにすれ違いを感じるようになっていきました。 3カ月ごとにある上司との面談で、ディレクションの方が向いているかもしれないと何度も繰り返し言っていたことを思い出します。その結果、今年から CF 内のディレクター班に配属されることになったのです。
そもそも CF でのコーダーは、コーディングディレクターのようなポジションで仕事をしているので、ディレクターはディレクテョンだけに注力できるのかな、と少々軽視していた部分が正直ありました。他部署のディレクターからどんな仕事をしているかなど話も聞いていたので、何をするのかなんとなくイメージも持っていました。 ただ、ディレクターとして進み始めたものの、私にはむずかしいことだらけで、大きく分けて2つの関門がありました。
第1関門 打ち合わせとその後の動き
私が実際にディレクターとして案件を受け持ち、立ちはだかった第1の難関は「打ち合わせ」と「その後」の動き方。具体的にどんな難関だったのか、それに対してどう工夫したのか、6つほどご紹介したいと思います。
1.初回の打ち合わせの事前準備が大切
初回では、案件概要を改めて確認する場になります。
打ち合わせ日までには、案件相談の時点で資料データを頂いているので、案件概要と合わせて、資料の中身ついて確認したいことを事前に用意しておくことが必要です。
具体的には
- お客様からいただける資料
- 制作作業内容
- 体制
- スケジュール
などを確認しておく必要があります。
はじめて案件に携わったときの私は、上記の内容を、初回の打ち合わせ時に改めて聞けば良いと勝手に思っていました。 でも実は、上記のことは事前にきちんと理解しておくことは必須で、初回の打ち合わせではそれらの内容を詰めることがとても重要であり、とてもむずかしいことだったのです。 しかも事前に確認するべきことをリストアップするだけでなく、5W1H(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように)に当てはめて、もっと深く掘り下げるために、案件の概要や資料をしっかり理解しておくことが大切だと感じました。
2.環境の確認
仕様の確認時にも、実装する機能や制作に必要な資料など、様々な確認事項があります。
以前、担当した案件の仕様確認で、特に気になったのが制作環境でした。それは、タスクランナーとして活用される gulp やテンプレートエンジンの ejs でした。特にテンプレートエンジンの ejs は初めてで、制作を効率化させるためのものなので、どのように組むのか、勉強が必要でした。
加えて、会議ではどのようにデータを管理するかの環境構築の話になるので、データ管理ツールを駆使してお客様とやり取りを行い、課題を解決していく動きは非常に重要で難しいものでした。
3.全体の流れと役割分担、そして制作・チェックまでの構造を頭でイメージしておく
打ち合わせの段階で今後の段取りを確認して、制作に必要な資料がどんなものかを精査する必要があります。なので、打ち合わせの前に何を確認する打ち合わせなのかをイメージして、確認したい内容の要点をあらかじめ絞っておくと、打ち合わせ全体の内容と動き方の精度が上がってくると感じています。
4.各ツールはしっかり使用方法のルールを決める
プロジェクトメンバーが混乱しないように、Backlog のようなコミュニケーションやデータ管理ツールなど、各ツールの使用にあたって、曖昧な対応をなくすためしっかりルールを決めていくことも重要です。ルールをしっかりと決めることで、案件を進めるにあたってお客様側と制作側とがお互いに安全に作業できると実感しています。
5.誰が見てもわかる資料の大切さ
関わる資料やデータを細かくわかりやすく準備をすること。誰が見てもすぐに内容がくみとれる資料でなければ、「伝える」という作業で工数を大幅に取られることになるので、制作チームに伝える資料はいつもよりも気を使うよう心がけています。
例えば、手順書などの資料で、量産作業中に、更新が想定される資料では、更新した内容をしっかり反映させないと、修正という無駄な工数を取られてしまいます。このように今後の状況を左右する大事な資料となるものは、打ち合わせ等で決まったルールを都度反映させています。(後々、「しっかり伝えて言えれば…」という後悔の気持ちになるのを防ぐためにもここは特に注意しています)。
6.辛くならない WBS
そして、欠かせないのが WBS ですね。制作がスタートする前の段階からスケジュールは、お客様からの提示に沿う形で進行します。制作がスタートしてからのスケジュールは、こちらの状況とお客様が求める期日に合わせて組んでいくので、予定としていたタスクが変動した時の、柔軟な制作・検証のスケジュールもディレクターの考えどころだと感じています。
案件スタート時、ディレクターが必ずおさえたいポイントをまとめると・・・
- 案件がスタートした最初の打ち合わせでどこまで今後の段取りをまとめられるか
- 環境の確認
- 全体の流れと役割分担、そして制作・チェックまでの構造を頭でイメージしておく
- 各ツールはしっかり使用方法のルールを決める
- 誰が見てもわかる資料の大切さ
- 辛くならないWBS
という、いかなる状況を予測・想定できることが必要なんだなぁと感じました。
第2の関門 お客様から信頼を得る
信頼を得ることの大事さは、人によって思うことはそれぞれあると思います。私の場合は、案件をを通じて、安心感を持っていただけることが、お客様への信頼を得ることにつながると思っています。そのために私が気をつけていることは、「コミュニケーション」と「品質」の二つです。
ポイントその1:コミュニケーション
定例会などの打ち合わせで他のディレクターを見ていると、その場その場での対応力が必要と気付きました。依頼をただ受けるだけでなく、いくつか提案できるよう案件を深く把握しておくこと。そして、用意していなかった内容にも、イメージを膨らませ、確認をとること。 また、何をもってその結論に至ったのかというお客様が納得する理由を2~3個用意しておくことも大切です。しっかり論理的に言いたいことを順序よく、相手が Yes と言いやすい言い方で伝えると、お客様も確認しやすく、お互いが楽に話ができるのだと思います。まさに、ロジカルシンキングに当たると思います。 このやり取りを適切にできれば、しっかり考えていることを伝えることができ、お客様との信頼関係が生まれてくるのではないかと思います。メールやツールでの細かいやりとりも、意識していこうと思っています。
ポイントその2:品質
納品物に対する品質は、結果的に「この会社に頼んで良かった、また頼もうかな」と信頼を得ることにつながります。
最初に品質の高い制作物を納品し、一つ安心と信頼を得た上で、高品質を維持したまま提供していくことを目指しています。
納品物には制作ページだけでなく、納品リスト、要望があった資料(例えばエビデンス報告書、チェックリスト)等の品質チェックをしっかり行うことに意外と工数を取られるケースもあるので、事前の準備が大切です。
ただ、納品日が早まった時や、次回の納品ページはここまで欲しいと言われた時には、スケジュールを引きなおさなければなりません。ただスケジュールを引きなおすだけではなく、「いかに品質を落とさずにスケジュールを組むか」が重要になってきます。なので、品質を考慮した結果、制作を早められるページ数などの内容が変化する場合もあるので、お客様への確認が色々と必要となり、注意していきたいところです。
今後は、状況判断を磨きたい。
これまで気づいたこと、感じたこと、痛感したことを通して、状況によってタスクが変わっていく中で、的確な判断と行動力を磨いていきたいです。
まだまだ経験が必要な部分があるので、この経験を上手く生かして、今後の仕事につなげていければ良いと思います。