2017年08月31日
Open Marketingのはじめかた
Step.2 自分を信じる -その1-
みなさん、こんにちは。モノサス代表の林です。
前回まで4回にわたって、Open MarketingのStep.1として
「顧客を信じる」ということをお伝えしました。
Step.1では、顧客の視点を通して自社の価値感を体系化しました。
それと同時に、一過性のプロモーションや、その場限りのサービスではなく、
自社の価値観に惹かれて商品・サービスを買い続けてくれる顧客層がいることに
気づきました。
そして、その顧客たちこそがあなたの経営を支えてくれているのです。
あなたの会社には、信じるべき大切な顧客がすでに存在したことを知ったのです。
Step.2は「自分を信じる」です。
コアカスタマーを数字でとらえる。
Step.2で、まず最初に行っていただきたいのは、
Step.1で抽出した顧客をもとに、今後増やしていきたい顧客像を
数値を用いて計測可能なように具体化することです。
また、今後増やしていきたい顧客のことを
これ以降、コアカスタマーと呼ぶことにします。
まず、Step1.で抽出した顧客の取引履歴を観察し、
彼ら(彼女ら)が、自社とどのように取引をしているかを把握します。
そうすると、
- どのようなものをどれくらい(購買点数×購買単価=取引単価)
- どれくらいのペースで(購買頻度)
取引してくれているかがわかります。
数値化してみると、100%とは言えませんが
取引頻度が比較的高く、年間の取引金額の高い顧客になるはずです。
また、購買に関するものだけでなく、その他の行動も数値化できるものは
したほうがよいでしょう。
でなければ、購買頻度や購入金額のみで顧客を判断してしまう
従来の在り方に逆戻りしてしまいます。
例えば、
- 購入する、しないに関わらず、月に3回以上来店する
- 想定購買頻度に対する購買率が90%以上である
といったようなことです。
漠然と「こんな顧客と取引したい」と考えていたコアカスタマー像が
具体的になってくるのではないでしょうか。
また、コアカスタマーのLTV( Life Time Value )を算出することも
忘れてはいけません。
固定客であるコアカスタマーは、最初に顧客になっていただくプロモーションコストがかかる初年度を除いて、次年度以降は大きな利益をもたらしてくれます。
LTVの算出の際には、売上ではなく、原価・プロモーションコストを
除いた利益ベースで計算することも非常に重要なポイントです。
実際に計算してみるとわかりますが、
コアカスタマーは驚くほどのお金と時間を自社のために使っています。
きちんと想像していただくために、具体例を見てみましょう。
- 【B-C:化粧品製造販売】2ヶ月に一度必ず同じブランドの化粧品を買う顧客
一度の購入金額が8,000円、年間購入回数が6回だとすると、年間48,000円の購入。
粗利率70%、プロモーション費用が3,000円程度だとすると、年間30,600円のキャッシュを会社にもたらしてくれます。
- 【B-C:飲食店】月に2回必ず飲みにくる小料理屋の常連客
平均2人で来て、客単価5,000円、年間来店回数が24回だとすると、年間240,000円の消費。
粗利率60%だとすると年間144,000円のキャッシュをもたらしてくれます。
(飲食店は基本的にプロモーション費用はかかりません)
- 【B-B:IT企業】年に5本以上プロジェクトを発注してくれるクライアント
プロジェクト1本あたりの単価が200万円、年間発注本数が5本だとすると、
年間1,000万円の発注。100%内製化していればすべてが粗利です。
こういった顧客が5年、10年とあなたの会社から商品・サービスを買い続けてくれれば、
LTVは非常に大きなものとなります。
あなたの会社を維持するために必要なコアカスタマーの数を知る。
コアカスタマーの年間取引金額と、そこから得られる粗利を把握することは
大きな意味を持ちます。
1年間であなたの会社が稼がなければならない固定費(販売管理費)を思い浮かべてください。
そして、その金額をコアカスタマーひとりあたりがもたらしてくれる
年間の粗利で割ってみてください。
あなたの会社の年間の固定費を得るために必要なコアカスタマーの数がわかります。
実際に計算してみると、ほとんどの方が
「そんなに少ない数でいいんだ」と驚かれます。
コアカスタマーとの取引は、ほとんどの場合
あなたが望むビジネスの形になっているはずです。
(それが望む形になっていない場合は、根本からビジネスのやりかたを
考える必要があります)
もし仮に、コアカスタマーだけとしか取引をしないとしても、
さきほど算出した数を集めれば、少なくとも会社を維持することはできます。
例えばさきほど例にあげた小料理屋さんが、年間800万円の固定費を
稼ぎたいとすると、必要なコアカスタマーの数は約56人です。
1,000万円だとすると、70人です。
例にあげたIT企業の場合、仮に年間2億円の固定費を稼ぎたいとすると、
20社のコアカスタマーがいればよいことになります。
現実的には、コアカスタマーだけとしか取引しないというのは
なかなか作り出せる状況ではないと思いますが、
「できる限りたくさんの顧客が欲しい」という状態から、
「これだけの数のコアカスタマーがいればいいんだ」というマインドの変化は
マーケティング活動のみならず、経営そのものを大きく変える原動力となります。
あなたの会社が維持され、利益を生み出していくために必要な顧客数は、
あなたが想定していたよりも、ずっと少ないのです。
今月も最後までお読みいただきありがとうございます。
次回は、コアカスタマーとおつきあいするために必要なことを
お伝えしていきたいと思います。