2017年11月09日 全てが当たり前と感じるくらいに ~神山で一年を過ごして~ 仕事と暮らし・神山 ポスト 投稿者:垳田 悟(ディレクター / コーダー) こんにちは。クリエイティブ部 神山チームの垳田です。 ついさっき、オフィスまわりの片づけをして、久々に一輪の花を生けた花瓶をテーブルの上に置いた。神山サテライトオフィスで仕事をはじめたばかりの時に机に置いていた花瓶。素敵だけど、倒れやすいからと部屋の隅にしばらく置いていたんだった。 そんな、小さな出来ごとが、何だか懐かしいと感じるくらいに時が過ぎていた。 オフィスに出勤する際にいつも通り抜ける、長屋の合間の通り... オフィスのヒノキの良い香り... オフィスからコンビニエンスストアへ行く田んぼの道... 今ある生活の一つ一つが、当たり前の日常の風景と感じるぐらいに月日が過ぎ、気づけば、神山に来て一年弱が経っていた。 神山との関わり 自分が初めて神山に来たのは、昨年7月。昨年も実施した、神山ものさす塾(職業型訓練)の講義のサポート役として訪れたのがきっかけ。 そこから、少し期間を置いて、神山サテライトオフィスで私たちの部署のチームを立ち上げるということから、立ち上げメンバーとして今年1月から再度来て、今日にいたる。 初めて神山に訪れるまでは、神山は自分には関わりがないものと思っていた。本音を言えば、田舎で生活をしたい、田舎で何かをしたいというような考えも何も無かったし、不安だらけだった。 それでも、ひょんなことから神山で仕事をし、約1年弱、生活の拠点をこちらにおいてやってこられたのには、どこかに『理由』があったのではないかと今は思う。 神山での生活 自分は、神山サテライトオフィスからすぐ近くの長屋で生活をしている。 オフィスまで数分もかからないような通勤圏内。 東京の代々木オフィスで勤務していたときは、通勤に1時間半近くかけて通っていたことを思うと、考えられない程近い。いや、ちょっと近すぎるくらいに...。通勤している感覚がなくなるくらいに(笑) 長屋には、キッチン、風呂、トイレといった最低限のものしかなく、テレビは無い。でも、インターネット環境は快適である。 長屋とオフィスは、神山町神領の寄居地区という場所にあり、メイン通りには商店、病院などもあり、数分歩けばコンビニエンスストアもあり、神山でいう"東京の銀座通り"といわれる場所である。 (寄居地区の紹介や写真は以前の記事を見てみてください) と言っても、都会と比べてしまうとお店も少ないし、夜は暗いし...とこっちに来たばかりの時は、本音ではちょっと不便さを感じていた。 それでも、郷に入れば郷に従えで、今では、そういったことが日常の当たり前の生活の一部と感じるくらいになってきて、近くに住む、お婆ちゃん、お爺ちゃんと話すことも自然になってきたように思える。なかなか、名前は覚えてくれないが(笑)、顔を見ると声を掛けてくれるようになった。 よく、都会と田舎で生活に違いを感じることはどんなことがあるかと聞かれるが、こういったご近所づきあいも一つ上げられると思う。都会で暮らしていると、隣に住む人がどんな人なのか分からないし、そこまで気にすることもなかった。田舎暮らしだとコミュニティが小さいからこそ、そこに生まれるコミュニケーションがあるのではと思う。 写真左上から時計回りに、「隣のおじちゃんにゲートボールを教えてもらっているところ」「隣に住んでいたお婆ちゃんがくれたホウレンソウ」「裏庭で自分で育てた枝豆」「お婆ちゃんが育ててくれたネギ」 また、そもそも、一人暮らしの経験が無かった自分からすると、飲食店の少ない神山で暮らすことは強制的に料理をするきっかけになった。最初の頃は、みんなから料理を教えてもらったりもした。ちょっと仕事が忙しなると出来ないけれど...。 自炊した料理の写真。お好み焼きはオフィスのみんなからちょっと評判が良かったです。かつお節をかける様は、Moco'sキッチンを意識(笑) 神山で四季を感じる過ごし方 週末などの休みの日、最近は、車で徳島市内へ出て、買い物をしたり日帰り温泉にいったりするようになった。少しだけ都会の生活が恋しくなっているのかもしれない。 しかし、時おり神山で行われるイベントに参加したり、神山町内の観光スポットにも出掛けている。 この一年間で感じた四季折々の神山を少し紹介したい。 冬... どこにいても冬は寒いが、こっちで初めて過ごした冬の期間は、格段に寒いと感じた。 神山に来たばかりの1月はまさにその時期で、灯油ストーブが無いと耐えられなかった。朝方まで作業していた時は、本当に寒かった。 都会にいればエアコンの暖房で充分だったので、ストーブに灯油を入れるという手間は私にとって新鮮なものだった。 また、神山町にある神通の滝が氷瀑しているのには感動した。メンバーと一緒に行って、徳島新聞に取材され、掲載されたことが懐かしい。 春... 神山町は、桜の名所が多く、桜の季節は市街から訪れる方も多い。町内の山々の至るところに桜の木がある。自分がその中でも感動したのはこれまで見たことがなかったような桜の隠れた名所だ。神山町の下文地区にあるがガイドマップなどには紹介されていない。知り合いづてに聞き、訪れることができた。本当に、山頂から見るしだれ桜は素晴らしいの一言だった。 夏... 夏といえば、田んぼの草刈り。昨年のものさす塾の講師で田んぼの草刈りに参加して、尋常ではないスピードで刈っていたエピソードを今でもメンバーからネタにされている...。 ※虫嫌いな自分が田んぼの中にいるのが辛くて、ものすごく早く終わらせたくてやっていただけ。でもきちんと刈ってはいた(笑) 今年もものさす米を作っており、初めて田植えにも参加した。 そこでも虫嫌いな自分は、靴下に長ズボンのまま田植えするという万全のスタイルで臨んだが、田んぼのぬかるんだ土の力に負けて、靴下の片方はどこかに埋まってしまった。秋の稲刈りになったら、靴下も刈れるかな(笑) また、夏の神山は夏祭りが多々ある。その一つ、下分の七夕祭りの七夕飾りと夜空は素敵だった。短冊に書いた願い「神山サテライトメンバーのみんなの成長」は叶っただろうか。 秋... 非常に過ごしやすい時期。特にオフィスは、扉を開けておくと風が通り過ぎていき、何とも気持ちがいい。いつも通うコンビニエンスストアまでの通り道からみた夕陽が非常に綺麗なのだ。 また、徳島と言えば、すだちが特産だ。なかでも神山町は収穫量日本一。収穫も体験した。すだちの木の枝にはトゲがあり、非常に収穫しづらいことをこの時はじめって知った。改めて、すだちの貴重さを感じた。 焼山寺方面にあるすだち農園(左写真)、いつものコンビニまでの田んぼ道にも秋を感じます(右写真) メンバーの誕生パーティーの開催 この一年をふりかえると、サテライトオフィスメンバー全員の誕生パーティーをこの一年で出来たことが、自分としてはとても嬉しかったことの一つ。 これは、別に神山でしか出来ないという訳ではないけれど、少ないメンバーとパーティーを気軽にやれる環境があったからこそだと思う。 今後人数が増えると開催しにくくなってしまうかもしれないが、一緒に働くメンバーとこういった時間を過ごせたことは、自分にとってはとても幸せだった。 以前、誰かが神山には「やったらええんちゃうん」という言葉があるように、何かしたいと思ったときにそれを応援してくれる人や、一緒にやろうとサポートする人が現れる。と言っていたが、確かにそうかもしれないと実感している。やろうと思って気軽に協力して誕生会が出来るというのは、恵まれているのかもしれない。 手作りケーキを作ったり(中央写真)、SO近くにあるお店(535さん)でケーキを用意し、SO宿泊棟のキッチンで集います。手作りケーキは、生地から作った為、半日がかり。 神山での仕事と暮らし この記事のテーマである『仕事と暮らし』について、今思うこと。 それは、これまで自分の仕事と暮らしについて、真剣に考えたことがなかったかもしれない...ということだ。 これまでは、都会で働いて都会で生活するということが普通に自分に合っていたから、あえて考えることもなかったのかもしれない。 しかし、神山にいる周りの人たちは、自分自身の仕事と暮らしについてしっかり考えている。そんな周りの色々な人の話を聞いていると、都会の喧騒から離れて自然にもっと触れながら暮らしたい人や、仕事以外にももっと色々なことにチャレンジしていきたい人など、その人の人生の過程の中で考えた仕事と生活スタイルを求めて、神山に来ていた。 そんな風に周りの人の話に耳を傾けてみたことが、自分自身の仕事と暮らしについてこうして見つめ直すきっかけになったし、新鮮な感じがした。 都会暮らしと田舎暮らし、どちらも自分は良い部分があると思う。 こちらに来て、都会の日常生活では経験することがなかった新しい経験は、今となっては、自分にプラスになっていると思っている。 最後に 神山で一年弱、こうして生活できたのは、本当に支えてくれた人たちがたくさんいたからだと思う。 それは、一緒に働くメンバーだったり、離れて暮らす家族や友人たちの支えもあった。 メンバー、家族だけでなく、神山で新たに出会った人たちにも支えられていて、こっちに来なかったなら一生出会うこともなかっただろう人たちと出会えことは、自分の一生の財産だと思える。 また、なぜだか、神山に来てからいろいろな人とコミュニケーションをとることが増えたせいか、神山以外の社内の人たちとも代々木にいた頃よりも自然体で付き合うことができるようになった気がする。これは神山だからというわけではないかもしれないが、こちらで生活したことで自分自身のコミュニケーションのあり方がが変化したからかもしれない。 神山にいくまでは、「田舎生活の良さってなんだ?」と、思っていた自分が、今では、こういう自然に近い生活も良いのかなとちょっと思えるようになった。神山で約一年間を過ごしてきて、"全てが当たり前と感じる"くらいになったことは、自分の人生にとっては貴重な体験だ。 自分自身もメンバーみんなもまだ成長中。 これから先、神山での貴重な時間と経験を通して、神山ならではの仕事のやり方や、考えを模索して、成長できたら良いなと思う。 すだち狩りのように、目標に向かう過程は決して簡単ではありませんが、一つずつ収穫できればと思います・・・ おまけ・・・ 神山に来て、都会の生活時と比べて逆に良くないなぁと自分が思ったこと。 『歩かない...』 よく、田舎で暮らしてるなら、山があって自然があってめっちゃ都会にいる頃より歩いてるんじゃないか、と言われますが、たしかにきちんと運動する時間を設けている人はそうかもしれませんが、そうでない人は、基本的に移動は全て車だったり、買い物も歩いてすぐそばまで行けたりしてしまうので、都会にいる時よりも歩いていない...。電車通勤も無いので。 なので、これから田舎暮らしをする方は、きちんと運動する機会を設けないと逆に運動不足になる、と伝えたい(笑) 『ネットサーフィンが楽しみ』 単純に言ってしまうと、娯楽が少ないので、日常の暇つぶしがインターネットを見ることになっている。特にテレビも無いので外の情報収集は、全てインターネットを見ること。また、買い物も市内まで出る手間などを考えるとインターネットで買う人も多い。 こんなにたくさんこれまで郵便物を受け取ることはなかったな、と思うほど日々荷物を受け取っているので、これはまさに田舎暮らしをして変わった生活スタイルだと思う。 ポスト この投稿を書いた人 垳田 悟(いげた さとる)ディレクター / コーダー クリエイティブ部の運用チームで主にコーディングをやっています。 愛称は『イゲちゃん』『イゲさん』 いつでも仕事の対応できるように、ジャケットorシャツを来て胸ポケットにペンを入れています。 ペンが無くて困ったらいつでも言ってください!! 垳田 悟が書いた他の記事を見る 前の記事 2017.11.08 美味しいものは自分へのご褒美! 私が料理好きな理由 チェックする人々 次の記事 2017.11.10 立場を気にしないフラットな飲み仲間。 モノサス副社長、永井智子 メンバー紹介