Wed.
22
Nov,2017
大村 陽子
投稿者:大村 陽子
(ものさす編集長)

2017年11月22日

ものさす米、収穫しました!

Food Hub Project

大村 陽子
投稿者:大村 陽子(ものさす編集長)

こんにちは。編集部の大村です。

サテライトオフィスのある徳島県神山町で6月に田植えを行ったものさす米。10月下旬に無事に収穫することができました。

田んぼの様子をみつづけてくださったFood Hub Project(以下 フードハブ)の農業長、白桃薫さんの試みが大成功し、完全無農薬でできあがり、先日行ったモノサスの13周年記念パーティーでみんなでいただきました。苗を植えてから食べるまで、はじめから最後までの工程を知ることができた2017年のものさす米。

今日は田植えからのその後と、台風の接近で小雨のなか行った収穫の様子などをお伝えします。
 

田植えからのその後

6月に田植えを終えてから、白桃さんから草抜きが必要という連絡がいつくるのか…この夏は業務の合間に、ものさす米の田んぼを思い出す度、少しソワソワしていました。ですが、一向に白桃さんから草刈りが必要という連絡はきません…。昨年のものさす塾の合間、一度だけお手伝いした田んぼの草刈りは、なかなか大変な作業で人数も必要。代々木からすぐに自分がいくわけにもいかず、草刈りが必要になったら人員の確保をどうしよう…と心配していたのです。

前回の記事で書いたように、「カブトエビ」やEM菌のはいった「米ぬかぼかし」が田んぼの環境を草が生えにくい状態にしてくれていると聞いていましたが、それでもやはり草刈りは必要と思っていたのです。

そんななか、8月末、白桃さんから、稲に穂もついて順調に育っているという連絡をいただきました。


8月末の稲の様子。

稲穂になっています!青い空に緑の稲穂。苗に実がついていることに感動します。

また、「これからはどういう風にお米をつくっていくかを選択していく必要があります」というご連絡もいただきました。草刈り(除草)はこれから選択することの状況によって、するか、しないかを決めましょう、ということだったのです。

私たちは、次の2つを決める必要がありました。

1)農薬散布をするかどうか
2)稲刈りをどのようにするか

まず、農薬散布についてですが、実りはじめたお米の実をカメムシが吸っているという報告がありました。このカメムシが実を吸うことで「黒いお米」ができてしまっているということでした。

ただ、黒くなってしまっても、食べる分には問題ないとのこと。確かに、時折、黒いお米が混じっているものをこれまでも見たことがありますが、まさか、カメムシが吸っているとは思いもしませんでした。これを防ぐには農薬散布しかないのですが、フードハブでは、異常発生しない限り農薬散布はしないとのこと。私たちもその方針に沿って「農薬散布はしない」という選択をしました。

次に、「稲刈りをどのようにするか」。方法としては3つ。

  • 手で刈り取って天日干し (合計6時間くらい)
  • 機械で刈り取って天日干し(合計5時間くらい)
  • 機械で刈り取って機械で乾燥(30分)

機械で刈り取ることにした場合、事前に草刈りをする必要がありますが、手で刈る場合は草刈りが不要になります。

ものさす米委員で話しあった末、やはりできるだけ無農薬で作りたいこと、機械を使わずにお米ができるまでを体感したいこと、そして、天日干しされたお米は全然違うという話を聞いたので天日干しがしたい。ということで、「農薬散布なし」「除草せずに手で刈り取って、天日干しにする」ことに決定しました。
 

いよいよ稲刈り


10月はじめのものさす米。しっかりと実っています!

10月もなかばをすぎ、いよいよ稲刈りです。
ですが、この時期、東京も神山もしとしとと雨が降る日が何日もつづきました…。

予定していた稲刈りの週の天気予報は、当日の午前中に小雨になるだけで、前日まで雨。そして翌日からは大型の台風がくるという予報…。

こうなると、お天気になる日をまって、機械で刈って機械で乾燥がベストなのかもしれませんが、連日の雨でお米の実から芽がではじめていて、晴天の日をこのまま待つとどんどん芽がでてきてしまうとのこと。また、雨のなかでは、機械が詰まるので、機械で刈ることはできません。

白桃さんに当日の朝ギリギリまで相談し、なんとか雨の合間でできそうな予感もあり「やりましょう!」と決行することにしました。

雨のなか稲刈りをするのは、はじめてとのこと。ほんとうにありがとうございます…

そして当日。雨のなか集まったのは、神山ものさす塾第三期生のメンバー10人と 塾長の伊藤、代々木からのメンバーとサテライトオフィスのメンバーの約15人。雨合羽を準備して、いざ稲刈り開始です。

白桃さんから写真で報告していただいていましたが、やはり田んぼで黄金色に実った稲穂をみるととてもうれしくなります。


手植えのため、ところどころ隙間があったり、整然とは並んではいませんが、田んぼ一面に稲穂が!

今回も農業長の白桃さん、農園係の渡邉啓高さんに指導していただきます。


農業長の白桃さん(手前)と、農園係の渡邉啓高さん(後ろ)

稲刈りは、できるだけ稲を束にしてつかんで、根元をつかみ、鎌で刈り取っていきます。

塾生のメンバーは、米どころ新潟出身のメンバーや神山にきてすぐにツナギを買ったというメンバー、すでに9月に稲刈りのお手伝いをしたという経験者が多く、たのもしい…。勢いよくスタートです。

みんな慣れた手つき。
刈ったものは後ろに束にして、ズンズンズンズン、進んでいきます。


鎌をもつとちょっと危険になる人も…

みんな黙々と作業をすすめますが、途中、キノコ発見の報告が!


茶色い丸っこいのがキノコ

地面を見ていただいてもわかる通り、雑草がそんなにたくさん生えていません。ところどころに生えてはいても、稲なのか草なのか全くわからなくなるようなこともなく、稲をしっかりつかんで刈っていくことができました。

「無心」になってどんどん刈っていくメンバーや、片耳で音楽を聴きながら「勢い」を大事に黙々と作業をするメンバー。かえるの歌を歌い出す塾長の伊藤と一緒に歌いながら作業を進めたり。中腰で、しかも地面はぬかるんでたまにはまってしまうというなかな厳しい作業。私は幾度か腰を伸ばさないとつづけていけませんでしたが、それぞれが工夫して、(個性を発揮して?)刈り取っていってくれました。


左は黙々と、驚くようなスピードですすんで行くメンバー。右は勢いよくガンガン刈っていくメンバー。寒さを心配していましたが、みんな汗ダラダラになりながら作業をしてくれました


カエルの歌を歌っていると、ほんとうにカエルもでてきました!

一定の量刈ったものは、田んぼの横のほうでひとまとめにして、トントンと底を揃え、根元付近で紐でしばっていきます。


刈り終え、縛っていく作業。ものさす塾三期生のつなぎ姿はすっかり様になっています。

そして、ようやく刈り終えました!


三期生のみんな。いい笑顔です!


いつもはパソコン向かって集中している代々木とサテライトオフィスのメンバー。稲刈りは小学生の時以来ということでした

ほんとうはここで天日干しをしたいところですが、残念ながら、明日からは台風。ここで干すと台風で飛ばされてしまうため、ビニールハウスのなかで干すことになりました。

移動のため、軽トラックに積み込みます。
ここまでの作業でだいたい一時間半。雨のなか、ほんとうにお疲れ様でした。

稲穂は、軽トラック山盛り二台分です。

そして、ビニールハウスへ。この作業は三期生の男子メンバーに残って作業をつづけてもらいました。

ビニールハウスに釣られたバーに、縛った部分を起点にして二つに分けて干していきます。

なんせ軽トラ2台分の大量の稲穂。軽トラから、ビニールハウスへはバケツリレーで運ぶことに。かけ声を掛け合って、息のあったチームプレーです!

三期生のチームワークの良さが垣間みれた時間でした。

すべてを干し終え、しっかりと乾くまで待ちます。


稲穂から白い芽がでてきていました


ポタポタと水が落ちつづけます

しっかり乾燥するまでは数日かかるため、この後は白桃さんにお願いし、稲刈りは終了しました。
 

お米ができました!

11月はじめ、白桃さんより「お米ができました!」の報告をいただきました!

しっかりと乾いています。

ビニールハウスの湿度を調整していただきながら、10日近くかけてようやく乾燥したということでした。

脱穀機にかけていただき…


脱穀したばかりのお米です!

お米になりました!!
あの稲穂がこのお米に…
やはり、感慨深いものがあります。

収穫量は50kg。今年は田植えの季節に雨が降らなかったことで植えるタイミングが遅れたこと、稲刈りの季節に逆に雨が降り続けたこと、手植えの際に一番よく育つエリア(水の入り口から一番遠いエリア。ここは水があたたまって一番よく稲が育つのだそうです)の苗をしっかり植えられず、隙間が空いてしまったため通常より6割程度の収穫量になったということでした。手植えについては次回の学びにしたいと思います…。

今年はお米づくりには厳しい年でしたが、そんな厳しい環境のなかでぐんぐん育って実ったお米。どんな味がするのか気になります!

今年はモノサスの周年記念パーティーをフードハブの食堂、かま屋で行うため、そこでお披露目することに。

今年のパーティーは「ものさす自由の収穫祭」。みんなでおむすびにして、いただくことになりました。

かま屋にあるかまどで、ガスではなく直火で炊いてもらいます。


かまどの火を起こしてくださる、白桃農業長のお父さん、農業指導責任者の白桃茂さん(左)とかまパンのパン職人の笹川さん

こうして炊き上がった輝くようなおむすびは、口のなかでホロホロと崩れていくような、やさしい味でした…。

そして、かま屋の料理長の細井さんが、パーティー会場の真ん中で豪快にパエリアにしてくださいました!!

新鮮なエビにイカなど魚介もプチトマトもふんだん。みんなでかき混ぜ、収穫祭にぴったりの、にぎやかな料理にしてくださいました。

食べたみんなが、いろいろな場所で「美味しいー!」と言っていたのが忘れられません。
やはり、ほんとうに安心できる美味しいものには、身体中が反応するのかもしれません。

農業長、白桃さんの日々の管理がなければ実らなかった今回のお米ですが、私自身にとっても収穫の喜びを感じることのできた秋でした。白桃さんが「天候に左右されるけれど、やはりそれも農業の面白いところ」と言われていたのが印象的です。

「一粒のお米には7人の神様がいる」と、昔、祖母に言われたものですが、苗を植えて出来上がるまでの約半年、水の量を保つようにしたり、草が生えていないかを確認したりと、本当にたくさんの手間暇とさまざまな判断が必要なことがわかりました。お米のみならず、出来上がる作物の背景にはどんな人たちがいて、どんな工程があるのか、想像をもっとめぐらせられるようになれたらと思います。

来年ものさす米を育てるとしたら、きっと天気も違うので、成長の様子も違うはず。できることは限られていますが、今年の学び(苗を植えるときはしっかり植える!)を生かしていきたいです!

この投稿を書いた人

大村 陽子

大村 陽子(おおむら ようこ)ものさす編集長

広島出身。東京とモノサス二年目です。旅をした場所で人の「暮らし」が見えるとうれしくなります。東京を旅気分でいろいろと探検したいと思っています。おすすめの場所があれば教えてください!

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