2018年01月05日
2018年、年初の大提言
BtoBサイトを取り巻く環境と今年の展望
あけましておめでとうございます。マーケティング部 部長の龍田です。
マーケティング部には、BtoBチームというチームがあります。
BtoBという括りのもと、上場企業を中心に、中堅企業からベンチャー企業まで、幅広い層の顧客のWebサイトの制作や運用を行なっているチームです。
新年を迎えるにあたり、昨年に続き、現状の整理と2018年に向けての展望を書いてみたいと思います。
日々の業務の中で、我々が感じていること、現場で実際に起こっていることをベースに書き進めたいと思います。
Webサイトを重視するBtoB企業が増える
〜組織と予算の大きな変化〜
Webを取り巻く環境は、変化が激しく、毎年変化を繰り返しています。
BtoBサイトも然りなのですが、Webを取り巻く状況で、変わってきたと実感することがあります。
それは、「Webサイトを重視し、今まで以上に力をいれるBtoB企業が急激に増えてきた」ということです。
抽象的な表現ですが、この背景を説明していきたいと思います。
振り返ると、BtoC業種と比較して、BtoB業種のWebに対する意識は、決して高いものではありませんでした。日本のBtoB業種のマーケティング活動の中心を担ってきたのは、営業です。営業が、見込み客発掘から、ニーズ把握、提案、受注というところを一手に担い、成長してきたのが、日本のBtoB業種の特徴です。
マーケティングに先進的な一部のBtoB企業は、Webサイトの重要性を認識し、新しい取り組みを始めていますが、それが一般的ではないというのが現状です。
しかし、それが変わりつつある、つまりWebサイトに力を入れ始める企業が増え始めたというのが実感です。
企業活動において、力のいれ具合が最も現れるのは、「ヒト」と「カネ」です。
つまり、今回のケースで言うと、「組織」と「予算」ということになります。
この組織と予算に大きな変化が生まれているように感じています。
まずは、組織の方から見てみます。
今まで、我々の窓口となるWeb担当部署はバラバラで、専任の担当者はほとんどいない状態でした。総務部や経営企画室が他業務と兼務する形で、畑違いのWebサイトの制作・管理をするということも珍しくありません。つまり、広報やマーケティングの専門部署ではない部署が、Web管理部署になるという状況です。会社案内を総務部が管理しているのと同じ発想というと、イメージが沸くでしょうか。
その組織に変化が出始めています。
我々がお付き合いしている企業様で、実際に昨年あった動きとして、
- 広報関連部署を新設
- Webサイトを管理するためのWebマスターが着任
- 組織横断的なWebサイト運用委員会が立ち上がる
など、Webサイトを強化するために、組織面の拡充を行なうBtoB企業が着実に増えており、会社として、Webサイトに力を入れていく姿勢が感じられます。
2012年にBtoBチームを立ち上げた我々からすると、この変化は、大きく、そして嬉しい変化であります。
では次に、予算です。
2017年、我々へ発注をいただく案件の平均単価に大きな変化がありました。2016年と比較すると、1案件あたりの「平均単価が2倍」に増えたのです。
2倍というのは、ものすごいインパクトです。
これは「我々の営業努力の賜物」と言いたいところですが、当然それだけではありません。
ほとんどのケースでは、我々に相談をいただくタイミングで、予算枠はほぼ確定されています。それがRFP(提案依頼書)という形で、送られてきて、コンペが開催されて、発注企業が決まるというのが一般的な流れです。
つまり、弊社に相談をいただくタイミングで、予算は決まっているということです。
スマホの登場をキッカケに、Webサイトの制作工程は、非常に複雑化してきました。それに伴い制作にかかる工数が増えてきたのですが、その理解は進まず「少ない予算の中で、ミニマムに制作する」ということが多かったのがこれまでです。
しかし、その理解が広がってきたのと同時に、Webサイトに明確な役割を持たせるケースが増えてきているように感じます。
予算が倍増し、そして組織改編が進んでいる大きな要因、それは「Webサイトの役割の明確化」であると考えています。
BtoBサイトの役割の流れ
役割の話が出てきたところで、一度、BtoBサイトの役割の流れを整理していみたいと思います。
下の図をご覧ください。これは、BtoBチームで、まとめている年表です。
インターネット元年と言われる1995年から現在に至る流れの中で、BtoBサイトに求められる役割を記したものです。
順を追って見ていくと
一つの販促のツールとして、あることが大切だった「情報発信」(1995〜)
認知やイメージ・Webの使い勝手にフォーカスした「ブランディング」(2000年〜)
営業への送客を目指す「営業支援」(2005年〜)
そして「マーケティング」(2014年〜)へと続いていくと考えています。
それぞれの役割のスタート時期は、主流になった年ではなく、先進的な企業が始めた時期です。
ここで大切なのは、役割は「変遷」しているのではなく、「付加」されているということです。例えば、「営業支援」を目指すとなった場合も、「ブランディング」であげている要素を落としてはいけないのです。
我々がBtoBチームを立ち上げたのは2012年です。当時、依頼がくるWebサイトリニューアル案件の動機は以下のようなものが大半でした。
「デザインが古くなったから、新しくしたい」
「情報が増えてきたので、整理して探しやすくしたい」
「競合がリニューアルしたので」
明確化されているわけではありませんが、ブランディングと定義している役割を意識してのリニューアルです。
では、前章で述べた、Webサイトの役割を明確化し、重要度が増しているというのは、どういうことか?
これは「営業支援」という役割の中の「問い合わせ獲得」「アップセル」を明確にする企業が増えているというのが、それを指します。
営業支援は2005年くらいから始まっている役割ではありますが、ぼんやりと「できたらいいな」くらいでした。しかし、それをWebサイトの役割として明確化させて、本気でそれを狙いに行くようになったのが、最近の流れなのです。
では、この「営業支援」と、これから増えていくであろう「マーケティング」とは何が違うのでしょうか?
「営業支援」は、あくまで営業の支援であり、営業への送客がメインになります。バトンタッチをしていく、つまり直線的な関係です。KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)は、問い合わせ数が多くなります。
一方、「マーケティング」という役割は、営業活動全体や商品開発とも連携することになります。複合的で循環的です。KGI は売上、また重要な KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)として受注率やリピート率も出てくるでしょう。
例えば、両方に入っているPDCAが分かりやすいかもしれません。「営業支援」のPDCAは、WebサイトのPDCAです。アクセス数や直帰率など、問い合わせに至るWebサイトのアクセス解析をし、改善をしていきます。「マーケティング」のPDCAは、営業も含めたマーケティング活動全体の Plan、Do、Check、Action を行なうことになるのです。
これを実現するには、マーケティング活動全体を描く戦略。そして、その戦略に従った協力的組織づくりが重要になります。
ハードルは高いですが、2014年にアメリカから日本にはいってきたマーケティングオートメーション(通称:MA)をキッカケに、取り組みを始めるBtoB企業もあります。
2018年、リニューアルを考える担当者様は、まず、「Webにどんな役割を持たせるか」を考えてください。
「営業支援」に動き始めたBtoB企業が増えているというのが、我々の現状認識です。
「マーケティング」ではなく「営業支援」の役割だけだと遅れているかというと、そんなことは、全くありません。
書いてきたように、役割は変遷するのではなく、付加されます(情報発信+ブランディング+営業支援+マーケティング)。そのなかで「営業支援」を飛ばして、「マーケティング」に行くのは難しいです。あるいは「ブランディング」に特化するというのもアリかもしれません。
まずは、Webサイトの役割を明確化することが重要です。
それが、Webサイトの成果へと繋がっていくのです。
2018年が、皆様のWebサイトにとって、良き1年になりますように。