Tue.
30
Jan,2018
ものさすサイト事務局
投稿者:ものさすサイト事務局

2018年01月30日

フルフレックスで 9ヶ月間過ごした60人の声
〜フルフレックス制度アンケート結果〜

自由と責任 〜みんなの制度と働き方実験室〜

ものさすサイト事務局
投稿者:ものさすサイト事務局

2017年1月からはじまったフルフレックス制度。それまで勤務時間には定時(10時〜19時)がありましたが、フルフレックスがはじまってからは、月の労働時間が168時間を満たせば、何時に来て何時に帰っても自由。休みも個々で決定できるようになりました。

それによって時間の自由が増えて良かった、という声も多いですが、一方で困ったことが起きているという声もちらほら聞こえはじめました。同じ会社のメンバーであっても、視点や立場、受け持つ仕事によって、制度に対する感じ方や問題点がそれぞれ異なるようです。

そういった個々の声をできるだけ広く聞き、制度の改善点など洗い出すため、フルフレックス制度がメンバーや会社にどのような影響を与えているのか社内アンケートを実施しました。
質問内容は、出勤時間や休みの取り方、働き方や暮らし方の変化、制度の課題まで。フルフレックス制度が導入されたことでどのような変化があり、それに対してどう感じ、どんな行動をとっているのか、自分自身の言葉で伝えてもらうために自由回答形式の設問が中心となっています。

この記事では、そのアンケート結果をお伝えします。それぞれのメンバーが感じる、良かったこと、悪かったことの両面を、できるだけ偏りなく、具体的にお伝えするために、最低限の編集にとどめています。

フルフレックスを検討されている方、同じIT企業がどんな働き方をしてるか気になる方、残業が多くなりがちで働き方変えたい方、多様な働き方を模索している方など、何からしら働き方や時間の使い方に向き合う人たちにとって、私たちのこのアンケート結果が、ひとつの事例として参考になればと思います。


アンケート結果
*回答率95%(対象者63人中、60人の回答)

Q1. フルフレックス制度がはじまってから、勤務時間帯や休みの取り方は変化しましたか?
(回答数58)

Q2.勤務時間や休みの日をどう設定していますか?
( Q1で「変化した」「少し変化した」と答えた人対象)

summary :
勤務時間や休みの設定は人それぞれ。ゆったり出社の人がいれば、始発で出社し14時には帰宅するいう人。1日の勤務時間を長くとって休みを増やしたい人や、逆に休みの日を減らしてでも1日の勤務時間を短くしたい人など、勤務時間の設定の仕方は、それぞれの価値観や生活スタイルで異なっています。

2-1. 平均的な出社時間と退社時間は? (回答数37)

2-2. 平均的な休みの取り方は?
( Q1で「変化した」「少し変化した」と答えた人対象 回答数43)

2-3 どんなリズムで働いている?(自由回答)

気持ちゆったり出社パターン

  • 出社は 10:15〜10:20 頃で落ち着いた。退社は 19:00〜20:00 頃で変わらず。
  • 満員電車には極力乗らない。寝坊した時はお昼頃に出社。

早上がりor 平日お休みパターン

  • 火曜日は 17:00 あがりにしている。
  • 毎週月曜を休みにして土日どちらかに出社する。

いろいろパターン

  • 関係部署や案件のクライアントにあわせて出社時間を変えている。
  • 朝早く出社するか 13:00 過ぎに出社。

忙しい時の調整

  • 残業が多くなった場合は休日を設定する。
  • 大きな案件が終わったら、なるべく休みをとって勤務時間を減らす。

特に変化なし

  • 自分の周囲の休みに合わせるため、カレンダー通りにしている。
  • 社外の方とやり取りが多いので、従来の 10:00〜19:00 を基本的に維持。
     

Q3. フルフレックスをやってみた変化や感想は?
( Q1で「変化した」「少し変化した」と答えた人対象)

summary:
通勤時間や休みを調整できることで、健康面が向上したり、家族とのコミュニケーションが増えたというコメントが多数見受けられました。
ラッシュアワーの満員電車に無理して乗らなくて良くなったなど、通勤ストレスも軽減にもつながっているようです。
また、フルフレックス制度が始まるのと同時に、以前はきちんと管理されていなかった残業についても管理されるようになり、より時間を意識しながら働く人が増えました。

回答(自由回答)

仕事における時間の使い方の変化

  • 仕事が予定よりも進んでいるときは、進捗次第で勤務時間を変えている。
  • 翌日の業務量によって時間数を変えている。
  • 早朝に働いても勤務時間にカウントされるのはありがたい。
  • 案件で関わる人に合わせて出社を遅らせることで無駄な稼働が減った。
  • フルフレになって、より強く「残業代」について考えるようになった。

プライベートの変化

  • 平日は家族とすれ違いだったが、時間を合わせることで以前よりもコミュニケーションがとれて関係性がよくなった。
  • 朝やりたかったこと(家事など)を済ませてから出社している。

体調、健康面の変化

  • 個人の体調に合わせて働けるのは良い(自分は昼から調子が上がるので)。
  • 残業翌日の出社を調整したり、早く終わったら退社するなど、体調管理や自分の時間を調整できるので良い。
  • 睡眠不足や体調不良を都度解消して、万全な状態で働けるようになった。
  • 満員電車に乗らずに済むようになり、通勤が快適になった。
  • 結果的に帰るのが遅くなっているので、健康に悪いと感じている。
     

Q4. フルフレックスがはじまっても「変化していない」と感じている理由は?
(Q-1-1で「ほとんど変化していない」「まったく変化していない」と答えた人対象)

summary:
「変化した」と感じる人がいる一方で、4割ほどの人が「変化していない」と答えています。その理由として、フルフレックス制度導入以前の定時(10時〜19時)のリズムがちょうどよい、仕事の都合でフルフレックスが使いづらい、そもそも仕事時間を自己管理できないなどの理由があげられました。

回答(自由回答)

変える必要がない

  • 習慣を変えたくないので基本的には以前と同じ出勤時間にしている。
  • お昼出社を試したが 10:00〜19:00 の方が自分には合っていた。
  • リズムを変えると体調を崩したり仕事の調子が悪くなるので。
  • 今はまだ自分の仕事時間をコントロールできないため。

仕事の都合で

  • 客先常駐なので先方の時間帯に合わせる必要がある。
  • フルフレ対象外メンバー(アルバイト)への指示出しがあるので。
  • 社内・社外のミーティングが多いので、なかなか活用できない。
  • 所属する部署がフルフレを活用する雰囲気になっていないため。
  • 早く来ても早く帰れないし、遅く来たら仕事が終わらないので。
     

Q5. 今の仕事のリズムにするために、仕事面や生活面で工夫していることはありますか?(回答数58)

Q6.今の仕事のリズムにするためにどんな工夫をしていますか?
(Q5で「仕事において工夫している」「生活にいて工夫している」「仕事と暮らし両方で工夫している」を選んだ人対象)

summary:
約8割の人が、なんらかの工夫をしていると答えました。仕事面では、お互いのスケジュールを把握する工夫をしたり、チームメンバーやお客さんへの説明を丁寧に行うなど、他者へのコミュニケーションに気をつけているようです。また生活面では、食事や睡眠など、生活のリズムを整える工夫をしているという声が多数ありました。生活のリズムが整っているから仕事のリズムも整う、その相関関係がより意識されるようになったようです。

回答(自由回答)

仕事面の工夫

  • 早く来て早く帰ることを意識し、効率をより考えるようになった。
  • 時間ではなくタスク単位で一日の予定を考えている。
  • 前半に稼働を寄せて、後半は余裕をもって業務に取り組めるように調整。
  • チームのスケジュールを把握して、各所調整を丁寧に行うようにしている。
  • 個人の予定で早く帰る時は、カレンダーでメンバーにもわかるようにする。
  • クライアントに出勤時間が変わることを伝えて了承を取っている。
  • お客様からの連絡が減る 19:00 以降からペースアップして仕事を進めるなど、外部からの影響をできるだけ抑えるようにしている。

生活面の工夫

  • 自由だからこそ、生活リズムをきちんとしようと考えるようになった。
  • 6:00 に起きて、ちゃんと朝の時間を作るように心がけている。
  • 食事に気をつけている。野菜中心に切り替えてから体調がよくなった。

仕事面&生活面の工夫

  • 仕事・生活ともに全体を見渡してやるべきことを決め、実行していくこと。
  • 平日の時間を個人活動にあてるときは、週末に仕事をして調整する。
     

Q7. 同じチームや部署、仕事で関わるメンバーがフルフレックスを使うことで、あなた自身が影響を受けていることはありますか?

Q8. あなた自身が受けた影響とはどんなことですか?
(Q7で「ある」と答えた人対象)

summary:
メンバーがフルフレックスを使うことで、自分自身に影響があると答えた37%の人に、具体的にどんな変化が起きたのか質問しました。すると、電話の一次受けを担当する人の業務負荷や、チームのマネージメント負荷が増加しているというような、仕事の負荷があがったという声あったり、勤務時間がそれぞれなので顔を合わせる機会が減り寂しいという回答もありました。逆に効率的に働く人や健康そうな人が増え、仕事の効率がアップしたというポジティブな声も。

回答(自由回答)

効率アップ

  • 不調そうな人が減ったので、お互い仕事がしやすくなった。

負荷が増加

  • みんなの都合を確認しなきゃいけないので、調整する手間が増えた。
  • 相手不在で作業が進まない場合、早く出社しても意味がなく困っている。
  • メンバーが早く帰った後に業務依頼が来て、対応に追われて残業になる。

電話対応が大変

  • 出社時間が不明な人宛てに電話がきたときの対応に困っている。
  • 出社予定時間をコロコロ変える人がいるので、お客様に伝えた時間に再度電話がかかってきても、また不在ということがよくある。
  • 人が少ない時間帯に出社すると「◯◯さん今日来ますか?」という細かいものから「急ぎでお願いしたいのですが」など、電話対応に追われる。
  • お客様への対応が遅くなっていることがあるように感じる。
     

Q9.フルフレックスによって、チームや部署、もしくは会社全体でどんな変化が起こりましたか?

summary:
フルフレックスをはじめたことで、チームや部署、会社全体にどんな変化が起きたのか質問すると、時間をコントロールしやすい制作担当の人は比較的フルフレックスを使えていて、チーム仕事やクライアントと直にやりとりする人はあまり使えていないのが現状が浮かび上がりました。また、遅く出社した人が残業代を多く受け取るのは不公平なのでは?という指摘も。会社の雰囲気はおおむね良くなったという声が多い反面、顔を合わせる機会が減り、コミュニケーションが減りがちという声もありました。

回答(自由回答)

業務内容によるフルフレックス格差

  • 制作(コーダーやデザイナー)は活用しやすいが、お客様対応が多いディレクターやチェッカーはあまり恩恵を受けられていない。

時間の意識

  • お互いの時間(プライベート)をより尊重するようになった。
  • それぞれの働く時間帯、午前タイプ・午後タイプがはっきりしてきた。
  • 「◯時間働いたから今月は◯日休める!」とよく会話に出るようになった。
  • 余裕を持ってできる人と直前でバタバタする人の傾向がより偏ってきた。
  • 計画性の有無や時間の使い方の意識の違いで、人により結果が歴然と違うこと。 制度(道具)を上手に使える人と、そうでない人がいる。

残業への意識

  • 残業を意識するようになり、帰宅時間が早くなった。
  • 早く終わらせて全員で早上がりしよう!と集中して取り組む機会が増えた。
  • 遅くに出社して 22:00 以降まで残業するのはよくないと思う。( 22:00 以降の深夜残業は原則禁止)朝が苦手とか夜型などあると思うが、5:00~22:00 間に働くという、それほど難しくないルールが守れないというのは、ルール自体を軽視しているように感じる。
  • 深夜は残業代が割増しになるが、遅く来て遅くまでいる人が、早く来て効率良く働いて早く帰る人よりも給料が高くなるのは納得いかない。

会社の雰囲気

  • 体調不良で休む人が減った。なんとなくみんな元気になった気がする。
  • 眠そうな人が減った。仕事中に居眠りする人も減った。
  • 他の人と顔を合わせる機会が減ったので少し寂しい。
     

Q10. 現在のフルフレックス制度について、改善したほうがよい点はありますか?

summary:
この質問には、さまざまな立場からさまざまな意見が出ました。
フルフレックス制度では働く時間が自由な分、1ヶ月に168時間以上働くという前提条件があります。それは祝日が多い月や年末年始も変わらないため、週5勤務1日8時間(定時がある時と同じように)働いても、月168時間に満たないことが起きています。入社したての人は有給日数も少ないので、補填が難しいことも。そのことから168時間縛りに対する改善を求める声がありました。
また、時間を自己管理できない人がフルフレックスを使うことへの不安の声も。制度に対するリテラシーを向上する対策の提案や、そもそも社員全員がフルフレックスである必要があるのか、という疑問の声もありました。一方で、アルバイトがフルフレックスでないことが不自然であるという指摘もあがっています。
他にも、会社の他の制度にも影響がありました。そのひとつとして、長く続いてきた朝礼制度です。今は、出社時間がバラバラなため集まりが悪くなり、そもそも必要なのか、他のやり方はないのか、という問いもあり、局面を迎えています。
少数派の意見として、残業代はいらないので深夜に働きたいという声や、在宅勤務を求める声もあり、多様な働き方をどこまで広げるのか、考える必要があるようです。

回答(自由回答)

所定労働時間(168時間)について

  • 168h の縛りがなくなってほしい。
  • 168h を超えた分を、翌月以降に繰り越せると嬉しい。
  • 成果を上げれば 168h 以下でもOKになれば、より効率アップすると思う。
  • 年末年始や祝日が多い月は、平日 8h 働いても 168h に足りず有給で補填が必要になるので、月ごとに所定労働時間を変えてほしい。

自己管理について

  • カレンダーに勤務時間を書かない人がいて困る、徹底してほしい。
  • 予定を入力するだけじゃなく、周囲に声をかけあうことも大事。
  • フルフレを当然のことのようにお客様に言わない、などのわきまえは必要。
  • 朝礼当番なのに来ない人がいるので、何か対策を考えた方が良いと思う。
  • 自己管理できない人がフルフレックスになると危険だなと感じている。

フルフレックスの適用範囲

  • 社員は自動的にフルフレになっているが、利用するためのステップがあってもいいのかなとは思う。
  • できればアルバイトも制度を導入してほしい。
  • アルバイトは 10:00 出社だから朝礼参加必須というのは不自然だと思う。

その他

  • コアタイムはあった方が良いのかな思う。
  • ある程度チーム毎に約束事を作る必要があると考えている。
  • みんながいつ働くのか一目でわかるアプリなどあれば便利になると思う。
  • 深夜作業をできるようにしてほしい(割増残業代は無くていいので)。
  • リモートワークも取り入れてはどうか。「仕事も生活も自己管理で」というなら、条件付きで在宅勤務も可になればいいと思う。
     

Q11. その他、フルフレックス制度について思うことは?

  • 無駄な稼働が無くなり、生産性がかなり良くなったと思う。
  • 仕事と生活のバランスが調整がしやすくなったので良いと思う。
  • 会社の収益に悪影響がないのなら、ぜひとも続けてほしい。
  • この制度を維持するためにも、ルール(勤務時間の伝達等)は守っていきたい。
  • モノサスに合っている気はするが、人によって活用にバラつきがある。
  • 自分の部署を見渡しても活用できている人がほとんど居ないというのが現状。
  • 時間に対して、生産性をあげている人のことをもっと見てほしい。
  • 一人ひとりの仕事や生活に対する意識や姿勢がもろに反映されるので、どれくらいつっこんで指導したものか大変悩ましい。

考察:
私の自由とあなたの自由
"居りあう"地点のゆくえ

会社への向き合い方を変えるようなフルフレックス制度。働く時間を考えることが、働き方はもちろん、プライベートな時間の使い方、家族との過ごし方、健康面まで影響がある制度となりました。フルフレックスを謳歌している人がいれば、仕事の負荷が増えたと感じる人がいたり、会社の雰囲気がよくなったと感じる人がいれば、コミュニケーションが減って寂しいと感じる人もいて、立場によって見ている景色はそれぞれであることが、アンケート結果から分かります。

働き方の自由度が増えた分、自由と自由がぶつかり合うこともあります。「スケジュールを変更したなら一言知らせが欲しかったな」「遅めの出社されると、こちらの負担がちょっと増えるな」といった、はっきり言わないまでも、少し心にわだかまりが残るようなぶつかりあいが、いくつか起こっているようです。
お互いの自由をどう認め合うか。この制度を続けるためには、そこに丁寧に向き合う必要があります。

このアンケート結果が発表されたのち、そこから浮かびあがった問題点を改善するための「フルフレックス制度改善委員会」というワーキンググループが立ち上がりました。
第1回目のワークショップでは、ファシリテーターとして参加している代表・林が、最初に「この会は"居(お)りあい"をつけるのが目的」と言いました。
"居りあう"とは、徳島県阿南市でフリースクールを運営するNPO法人トエックさんの言葉です。"居りあい"は、お互いの妥協点をみつける"折りあい"ではなく、お互いを認めあい、存在しあう、といった意味。

さて、フルフレックス制度によって自由を得た私たちは、お互いが"居りあう"方法をみつけることができるのでしょうか。
その経過は次の機会でお伝えしたいと思います。

この投稿を書いた人

ものさすサイト事務局

ものさすサイト事務局(ものさすさいとじむきょく)

メンバーや関わる人たちといい血行をつくるには?いい仕事をしていくために、関係性を深めるには?を考えながら、モノサスの人や仕事を紹介しています。事務局メンバーはだいたい5人くらい。食べること好き多めです。

ものさすサイト事務局が書いた他の記事を見る