2018年02月13日
「理想のディレクターってどんな人?」
を考えてみた。
こんにちは。ディレクターの大藪です。
突然ですが、理想のディレクターってどんな人でしょうか。
ディレクターに必要なことって何でしょうか。
僕はいつも考えています。
もちろん実務的なスキルは必須だと思いますが、どんな考え方を持っているか、どんな心持ちでいるかによって、ディレクターの仕事の質は変わってくるんじゃないかと思います。
じゃあ理想のディレクターってどんな人だろう、とふと思ったので、私自身がその理想に近づく為にも整理して書いてみようと思います。あれこれと思いついたことをまとめてみると、大きく5つのポイントが浮かんできました。
1. 自分の考えを第一に持てる人
ディレクターは、プロジェクトに関係するたくさんの人から、いろいろな意見を投げかけられる立場です。そこで大事になるのが「自分の考え」をしっかり持っていることだと思います。
安易にラクな答えを出したり、なんでもハイハイと簡単に受け入れていると、周りからの意見がディレクターを通過するだけで制作物に落とし込まれていくようになり、ディレクターはただの連絡係のようになってしまいます。クライアントや制作メンバーの意見はそれぞれ大事ですが、そのまま流してしまうなら、ディレクターという立場は要らなくなるような気がします。
お客さんや他の制作メンバーからの言葉を受けた時に、まず「自分はどうしたいのか」を考えることで、その意見に何か加えたり、別のより良い発想が生まれることもあると思います。もちろん、周りの意見と自分の考えが一致すればそのままでOKです。
周りの意見にプラスαするにせよ、ちがう方向性にするにせよ、合意するにせよ、自分はこうしたいとか、自分もこう考えてるから良いとか、ディレクターが周りとコミュニケーションを取っていくことで、みんなが納得できる実のある答えを出せるのではないでしょうか?
ディレクターは管理もするけど答えを出す係でもある。
周りの考えをちゃんと受け止めてみんなが納得する答えを出す。
それがディレクターの役割。
電車に例えると、通過駅ではなくハブになるようなターミナル駅。時には路線変更も必要となるようなイメージです。
2. 「いつも心に案件を」な人
多くの案件を抱えるディレクターですが、仕事から離れる時間は当然あります。
そんなときでも、自分が担当する案件のことを心のどこかにちょっと留めておくことも、ディレクターとしては大事かなと思います。(ほんのちょっとで充分ですが)
特に集中して考えていなくても、ふとした時に良い案が生まれたり、問題の解決策がひらめいたりすることがあるような気がします。この案はあっちの案件でも採用できそうとか、時間や気持ちに余裕のあるときにふと良い解決策が思いついたり。
「心に留めておく」ことができれば、無理すること無く自然とそういったことができるのかなと思います。
もちろん、24時間スタンバイするような集中は必要ありません。
ちょっと気にかけておく。完全にゼロじゃなくて、心のどこかに「案件ボックス」を置いておく。その心持ちがあることで、案件が滞りなくスムーズに進められるようになるような気がします。
3. 先のことシミュレーションできる人
ディレクターは制作メンバーに指示を出したり、クライアントに依頼をする立場です。そのため、メンバーの誰よりも先に、あらゆる状況をシミュレーションして、然るべきタイミングで行動する必要があります。
例えば、デザインを完成しなければならない日がある場合。
その日までに完成させるには、何をする必要があるのか、誰にどの期間どれだけ動いてもらう必要があるかなど、漏れることなく必要項目を整理してまとめる力が必要です。
状況によっては、必要な情報や材料がまったく無い状態から、組み立てなくてはいけないこともあります。さらに、出来上がったらその先に何をするか、そのまた先は…と、先の先のまた先まで、ひたすら考えるような「シミュレーション好き」な人はディレクターに向いているかもしれません。
プロジェクトの最初に、公開までのスケジュールをしっかり構築できる力。
そして、急な事態が発生したときには、柔軟に調整しながら対応していける力。
シミュレーション力を駆使してこれらを乗り切っていけることが、案件の行方を左右すると思います。
4. どちらかと言うとお人好し?
お人好し…というと少しざっくりしているので、3つのキーワードで説明してみたいと思います。
心優しくポジティブに
もし、クライアントや制作メンバーが困っていたら、ディレクターとして何か対応できないか?助けられることはないか?など、積極的に考えられることも大事です。(優しさを忘れない)
また、制作メンバーがミスをしたり案件がうまく進まない事態が発生しても、怒ったり心を乱さず、前向きになって冷静に対処できる方法を考えることもディレクターの役割だと思います。(ポジティブでいる)
ディレクターが乱れると案件が乱れるので、いつも物腰を柔らかく心をオープンにして、クライアントや制作メンバーと接することが大切だと思います。
まずは断らない
プロジェクトを進めていると、時としてクライアントから無理なお願いをされることもあります。そんな時にも、すぐにNoと言わず、何かできる方法がないか一度考えてみる。完全に実現することが難しくても、何かの代替案があるかもしれません。
他者中心的になってみる
自分と異なる意見や、納得できない案などを周りから持ちかけられたときに、すぐに否定するのではなく、「なぜ、この人はこの案がいいと思っているんだろう」と、一度相手を中心にして考えてみる。その理由を突き詰めることで、お互いが納得できる新たな良い案が生まれるかもしれません。自分(ディレクター)の考えを、常に正解だと思わないことは大切だと思います。
このように、相手の意見を受け入れ、ちゃんと自分の意思を持ってその先を考えることが大切です。「お人好し」と「頼れる人」の中間ぐらい、どちらかというとお人好し?くらいが良いのかもしれません。
5. 投げ出しても拾いにいける人
仕事が大変になってくると、「もう心が折れそう」「あきらめたい…」などと、 ディレクターに限らず思ってしまうことはあると思います。しかし、ディレクターであるからこそ、そういった精神面は強くなければならないと思っています。
もちろん、人間ですから限界もあります。そこで大事なのは「投げ出さないこと」じゃなくて、「ちゃんと拾いにいけること」じゃないかと思います。後でちゃんと拾いにいけるなら、一回すべて投げ出してみるのもアリだと思います。
乱暴な言い方かもしれませんが、無理な状態で仕事を続けるよりは、一度心をスッキリさせてから再スタートしたほうが、結果は良くなるのでは?と思います。
ディレクターがあきらめたら、そこで案件は終わりです。自身の体調や精神面をコントロールしながら、無理なくメリハリを付けて仕事に臨むことも、ディレクターには必要かなと思います。
ディレクターという仕事は「人と関わる」ことが業務の大半を占めるので、その人自身の気質や思考がダイレクトに影響する職種です。
今回、自分が思う「理想のディレクター」を改めて考えてみましたが、ここに挙げたのはあくまでも「僕が思う理想」であって、他の人にはそれぞれが思い描く理想があるんだと思います。そう考えると、僕が目指す「理想のディレクター」になれるのは、自分だけなのかもしれません。(もちろん、今の自分は理想にはまだまだ遠いですが。笑)
でも、だからこそ、自分にしかない価値が出せるんだと思います。
これからも案件を通して、自分の「ディレクターの価値」を高めていければと思っています。