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May,2018
杉江 夏季
投稿者:杉江 夏季
(ディレクター)

2018年05月22日

にんじん畑から眺めた
農業の緻密さとその向こう側
〜 Food hub Project 体験レポ 第二弾 〜

Food Hub Project

杉江 夏季
投稿者:杉江 夏季(ディレクター)

こんにちは、4月からモノサスに入社したプロデュース部の杉江です。

モノサスに入社した経緯はいくつかあるのですが、そのうちの一つが「Food hub Project(以下FHP)」への興味関心が強かったため。ずっと神山へ、かま屋に行ってみたい!という思いを強くもっていたのですが、GW期間中に実現することができました。

FHPのサイトでは日々情報を発信していますが、やはり現地に行かなければわからないことがたくさんあるはず。そして、だた行くだけではなく、スタッフのみなさんの日常に近いことを経験し、お手伝いをしたい。そんな願いがかない、一歩踏み込んだ経験をさせていただくことができました。

昨日に引き続き、神山、そしてかま屋で体験したこと、聞いたこと、思ったことをお伝えする第二弾!FHPの農園のお手伝いの様子をレポートします。

畑は学びの場

畑のお手伝いは、2日間に渡ってやらせてもらうことに。
やることは「1箇所に2本ずつ育っているにんじんを1本に間引きつつ、周りの雑草を抜く」というもの。全て手作業です。

私はラッキーなことに、両日とも+αで助っ人がいるという状況でした。1日目はアーティストでアメリカから来た Jeannine Shinodaさん。過去に、神山のアーティストインレジデンスに滞在していたそうです。

Jeannineは、間引き&草抜きのスピードがとても速い…!アメリカでも、畑で作業したりしているの?と聞いたところ、アメリカの農業の話に派生し、「デトロイトで、アーバンファームの取り組みがある」ということを教えてくれました。デトロイト=工業地域のイメージしかなかった私は思わず「Really?」と聞き返してしまうぐらい驚きの内容だったため、作業のあと調べることにしました。すると、TEDで「都市型農業がデトロイトを変える」という内容で発表されているものを発見。


日本語訳ありなので、興味をもった方はぜひ見てほしいです。Jeannine、新しいことを知るきっかけをありがとう!

2日目は農業チームの松本さんファミリー&ご友人ファミリーと。おとな5人+こども4人の大所帯だと、畑がなんだか公園のような場に感じられました。普段から図鑑を愛読書としているけいじろう君(ご友人のご子息)からすると、本物の虫や植物との遭遇の場でもあったようです。「それ、たぶん○○やないかなぁ〜」と、何かを見つけては記憶と照らし合わせて、無知すぎる私に教えてくれたり。


青虫、でしょうか。こんな大きなサイズ、初めて見ました。にょきにょき


にんじんの葉にたくさんいたテントウムシ。害虫となるアブラムシを食べてくれるので、益虫と呼ばれるそうです

本来であれば、おそらく黙々とやっていく作業だと思うのですが、みんなでやると、おしゃべりも弾むし、そこから新たな学びも生まれるし、手もどんどん動いていく。とにかく楽しくて、連日あっという間に夕暮れ時を迎えました。

採れたてをいただきます

松本さんファミリー&ご友人ファミリーと作業した日の帰り間際、松本さんの奥さまから「よかったら晩ごはん食べに来ませんか?」とお誘いいただきました。「はいっ!!!」と即答。ご飯ができるまで、えまちゃん(松本さんご息女)のハイテンションに負けじと、ゼイゼイ息切れしながら外で遊んでもらっていました。そのとき「あっちの畑は、おばあちゃんの!」と言われ、(この四月に移住したばかりとおっしゃっていたけど、元々近くにご親族がいたのかな?)と思い、後で奥さまに聞いたところ、血の繋がったおばあちゃんではなくて、ご近所ということで会話する機会が増え、気がついたらおばあちゃんと呼ぶようになっていたとのこと。祖父母の家が半日以上かかる距離にあった私からすると、血の繋がりの有無関係なく、近くに親以上の世代との交流があるのは、とてもうらやましいと素直に思ってしまいました。

そうこうしている間に、ご飯ができました!この日のメニューはカレーライス。大人気ないとは思いつつ、えまちゃんと張る勢いで、ちゃっかりお代わりを頂いてしまいました。美味しくて、つい…笑


奥が副菜。左からバターヘッドレタス、スナップエンドウ、にんじん、葉にんじん。彩りの鮮やかさたるや…

ちなみに食卓の真ん中に並べられた野菜たち、これらは、全てFHPの畑で採れたものでした。にんじん・スナップエンドウは生でいただいたのですが、とにかく甘い。お代わりしたくせに、おやつ(は別腹)感覚で、ぱくぱく食べれてしまう不思議。口に入れた瞬間の「パキッ」「シャキッ」という音は、鮮度が高いほど、よく響く気がします。
あと、葉にんじん(にんじん菜ともいう)!実ははじめていただいたのですが春菊のような味で、これまた美味しい。新鮮じゃないと、いただく機会がなかなかないと思います。

採れたて野菜をおなかいっぱいいただける贅沢さ、そして松本さんファミリーの暖かさにしみじみ感動した素敵な晩ごはんのひとときでした。ありがとうございました!

農家さんはハイパークリエイター?

今回、私は収穫に至るまでのプロセスの一つをお手伝いをさせてもらいました。ただ、そこに至るまでは前段階の作業あってこそ。
農業チームの大東さんは、こんな話もしてくださいました。
「どの作物を、どの畑に、どのくらいの量を、どのタイミングで…と言うのを計算して、年間スケジュールを引いて、その日にしなくてはいけないことを管理している」
「同じ品種でも、植えるタイミングをずらしたりして、収穫量の配分も考えている」
「機械の入り口、収穫タイミングなどを考慮して、どの辺りに植えるかを考えている」
「考える」内容の多さ、そして緻密さに改めて驚きました。

加えて、天気や気候など、自分たちではどうにもならないこととも、うまく付き合っていかなければならない。別の日に、里山の会の方とも話す機会があったのですが、その日の空模様は、雲がぐんぐんと流れていくような少し風の強い日でした。「雲がこげな速さで山の方に抜けていくっちゅーことは、天気悪くなるやろなぁ。雨が降るかもしれん。」そんな会話をした日の夜、雨が降りました。長年神山に住んで、空を見ているからこその、天気予報。そんな一節もあって、農業というのは、頭・身体はもちろん、五感もフル回転させてこそ出来る、とても高尚な仕事に思えてきました。ハイパークリエイターと言ってもいいぐらいです。

とはいえ、どれだけ手間暇かけても、作った作物が販路に乗ってしまえば、その先がどうなっているかは、作り手が知る機会はなかなか限られているもの。だからこそ、FHPの仕組み・循環は、とても素敵だなと改めて感じるきっかけになりました。
 
農業に携わる方たちの叡智の結晶が、食卓に彩りと栄養を添えてくれていること。その結晶をいただけることへの感謝の意が、より一層増すきっかけとなった体験でした。農業チームのみなさま、ありがとうございました!

FHPでの体験を終えて

実はレポートした以外にもFHPにまつわるお手伝いは、他にもいくつか体験させてもらっていました。ここで書き切れないのはもどかしい限りですが、新しい循環の仕組みづくりを日々おこなっている立役者たちの仕事や想いに触れられたのは、とても貴重だったと思います。
滞在していた期間で知り得たことは、まだほんの一部に過ぎないです。季節が移り変わると、また違った表情を知ることが出来るかもしれない…と改めて想いを馳せてみたり。それぐらい、今後もFHPの動きに注目していきたいと考えています。

この投稿を書いた人

杉江 夏季

杉江 夏季(すぎえ なつき)ディレクター

よく道を訊ねられます。もちもちしてるもの×粒あんの組合せを愛して止みません。デジタルマーケティング関連の会社を経て、ものさすにジョインしました。ディレクターですが、あだ名は「P」です。

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