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12
Jun,2018
永井 智子
投稿者:永井 智子
(取締役副社長)

2018年06月12日

おいしくて、心地よくてカッコイイ。
周防大島の名店「瀬戸内ジャムズガーデン」

仕事と暮らし・周防大島

永井 智子
投稿者:永井 智子(取締役副社長)

周防大島サテライトオフィス勤務、副社長の永井です。
3月、4月、5月と、周防大島は天気の安定した日も多く、虫たちの大活躍までには少し間があるいい季節。会社の人、友人など、何人かが東京から周防大島に訪ねてきてくれました。そんな人たちが決まって言うのが、「周防大島って、意外に大きいんだね」ということ。そう、「島」という言葉から、来島するまで徒歩や自転車でも気軽にぐるっと一周できるサイズを思い浮かべていた方もいたようですが、1周するには、車で3~4時間の大きさです。

そんなサイズ感の島だから、広島などの近隣都市からの、日帰りドライブに最適。今回は、来島した人は必ず1度は立ち寄ったことのあるであろう、周防大島の大人気スポットを紹介したいと思います。

なぜこんなところに大渋滞?
いつも人であふれているジャム屋さん

4月のとある日曜日、そこにはふだん見たことないくらい、車がひっきりなしにやってきます。駐車場として準備される小学校の校庭がいっぱいになるくらいの車、車、車。そこから徒歩数分の場所に、今回紹介するお店、瀬戸内ジャムズガーデンがあります。

ちょうどこの日は「せとうちパンフェスタ」の日。フェスタ開催場所である瀬戸内ジャムズガーデンのジャムと、フェスタに出店されたパン屋さんのパンを買いに来る島内島外の人であふれていました。(今年は残念ながら都合がつかず行けなかったので、写真は去年の様子です。あいにくの雨上がりの雲行きでもこの人出!)

そう、この人だかりの中心が、瀬戸内ジャムズガーデン。フェスタだけでなく、ふだんから土日の午後を中心に、たくさん並んだジャムを選ぶ人、カフェでくつろぐ人で大人気のお店なのです。

もちろん、会社の人たちが来たときにも連れていきました。おしゃれなカフェで美味しいスイーツをいただき、ブティック(お店)でお買い物。大満足のひと時でした。


ずらりと並ぶジャムを前に、お土産なのか自分用なのか、味見したり見比べたりに真剣なものさすメンバーたち。ジャムの種類は年間180種類もあるのだそう。


生フルーツと特製ジャムがのった贅沢ソフトクリーム。絶品です。

実は私自身、最初にこのお店の存在を知ったときは、かなり驚きました。県道からも外れた見つけづらい場所で、あえて探して行く人しかたどりつけないお店。その上ジャムもスイーツも、なかなかお高い(笑)。そのお店に、なぜこんなにもお客さんたちが集まるのだろう...と。

お店に行って、ジャムを買って、スイーツを食べてみて、ちょっとだけわかりました。シンプルにおいしい。そして、カフェもブティックもスタッフのみなさんの感じがよくて居心地がいい。

ここは東京にいてもなかなかない、「また来たくなるお店」なのです。

地域に支えられ、地域を支える。
周防大島だからこそできるジャム作り。

後日、オーナーの 松嶋 匡史さんにお話を聞く機会があり、その魅力の秘密が少しわかってきました。


株式会社ジャムズガーデン社長の松嶋 匡史さん。自社のいちごハウスで地元産素材へのこだわりについてお聞きしました。

ジャム作りでは地元産の素材にこだわっていて、地域の農業のサポートにもなっていること。通常、加工用のかんきつや野菜は、市場ではほぼ金額にならないような値段で取引されます。それをきちんと活用してジャムという商品にすることで、価値を高めていること。加工用と言っても、ちょっとだけ見た目がわるかったり、大きさや形が不揃いだったりするだけで、同じように手間のかかった大事な農産物なのですから。(我が家でも、家庭菜園で農作物を育て始めてみて、本当に実感しています)

また、かんきつなど既に大島に生産者がいる場合は、そこから原料を仕入れるし、いちごなど大掛かりな設備や専門知識が必要なものや、ブルーベリーやサツマイモなどジャムとして売れるだけの生産量が島にないものは、自社の農園で研究を重ねて作っていること。それらを、1つ1つ手作業で見きわめながら、丁寧に煮込んでいること。

値段には、理由があったのです。

スーパーで売られている「いちごジャム」や「マーマレード」…果物と砂糖以外の何かわからないものがいっぱい入っている大量生産で作られたものと、ジャムズガーデンでつくられているジャムは、別の食べ物なのです。


届いたばかりのお芋やかんきつが、1つ1つ手作業できれいになって、煮込まれ、出来立てホヤホヤのジャムになります。

まさに、地域全体の活性化につながるジャム。そして美味しくて、季節感があって、何度行ってもまた違った発見がある、そんなお店だからこそ、何度でも行きたくなるのです。

地域でみんなと何かをやることがカッコイイ。
それが子どもたちに伝われば。

私が瀬戸内ジャムズガーデンと松嶋さんの考え方が好きなのは、そういう思いや背景を、あとから知るというところ。

ときには地域の人から「これってジャムにならない?」と相談されることもあるそうですが、「人参の産地で、人参が余っちゃったから、人参ジャムでもつくりましょうか」というようなものにはしたくない、と松嶋さんは言います。

「自分でも買いたいと思うか」「美味しいかどうか」
この思いが、今でも変わらず商品づくりの基本になっているそう。

だから、私もジャムズガーデンに連れて行った友人たちも、たくさん並ぶジャムの瓶たちを前に、ワクワクできるんだと思います。オシャレなマリアージュの名前から味を想像したり(そう、ここのジャムは、チョコレートや紅茶、バニラなどの風味がついた、果物だけではない新しい味になっているものも多いのです!)、味見コーナーではいつも何種類ものジャムを食べ比べして、どれも買いたいと思いつつ、迷いに迷って1本を選ぶことになります。

ジャムズガーデンで販売されているジャムは、何と年間16万本。仕事柄つい職業病のように金額に換算してしまうと…(!) そう、適正価格で原材料の農作物を仕入れても、ビジネスとして、ちゃんと成り立っているんでしょう!

商売を継続するというのはビジネスで本当に大切で難しいことです。田舎に住んで思うのは、「地域のため」とか「将来の子どもたちのため」と謳いつつも、実際に生計が成り立っているのか心配になるような理想論になっている状況も多いこと。でも、それではやはり続かない。

ジャムズガーデンが、自立して続けていけるだけの利益を出して、地域に根ざしたビジネスになっていることをとても尊敬します、といった私に対して、松嶋さんのひとこと。

儲けることも大事だけど、こんなふうに「地域でみんなと何かをやることがカッコいい」と、ここで生まれ育った子どもたちや学生さんたちに思ってもらえると、嬉しいんです。

実は松嶋さん、地域に対する還元のひとつとして、地元の小中高生に、授業の一環で起業について教えています。利益や販売の仕組みや、実際にお店を出して自分たちの商品を売ったり、ビジネスプランをまとめたりすることを教えているそう。(周防大島の高校生が、全国的な賞を取ったこともあるんだとか!)

松嶋さんから、たくさんの知恵と静かな情熱を教わった卒業生たちが、カッコイイ松嶋さんにあこがれて、それぞれのお店やビジネスに挑戦していく日は、近いのかもしれませんね。

ジャムズガーデンでくつろいでいると、そんな周防大島の将来が見えてくるようです。

瀬戸内ジャムズガーデン (瀬戸内Jam's Garden)
山口県大島郡周防大島町日前331-8
TEL 0820-73-0002
http://jams-garden.com/
営業時間
10:00~18:00(冬期は10:00~17:00) 
定休日
水・木(木曜はジャム販売のみ営業)

この投稿を書いた人

永井 智子

永井 智子(ながい ともこ)取締役副社長

モノサスの取締役副社長です。東京タワーの見える家に憧れ、川崎から、国分寺、本郷を経て目黒までたどり着いたはずが、ひょんなことから山口県に住むことになりました。人生何が起きるかわからない、だけどどこもが住めば都。 「どう生きるか」から仕事や住む場所を選ぶのもいいけれど、今いるところを居場所と決めて、生き方、考え方、性格だって変えていってもいいんじゃない?

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