2018年10月18日
どんなニーズにも対応できる
Web技術者を目指して
〜神山ものさす塾・4期生便り〜
はじめまして、こんにちは。神山ものさす塾4期生の濱井翔太郎です。
今年で4年目となる神山ものさす塾が9月からはじまって1か月半。今日は、自己紹介と9月から今までの間に起きた私自身の心境の変化や塾生としての普段の暮らしについて書いていきます。
今回の神山ものさす塾レポーター
-
濱井 翔太郎:
子猫と住み始めて1年、犬派から愛猫家に転身。目の開き具合でテンションがわかります。見開いているときほど元気。コーラと甘いものがあれば生きていける、気持ちは20歳のアラサーです。
神山ものさす塾にたどり着くまで
私は前職では、プラントの土木エンジニアとして働いていました。新しくできることが増えていく新入社員の生活は非常に楽しく充実していたものの、ふと生まれた“いったい何のために働いているのだろう”という対自分への疑問を解消できず、退社しました。見切り発車での退社後、大きな後悔が待っていました。
お金のこと、自分に他の人にはできない特別なスキルがあったわけではないこと、特別にこれをしたいということが思い浮かばなかったこと…。無職になったころは、会社を辞めたことに後悔はしていないと強がっていたものの、あるとき、もっと考えておけば後悔することもなかったんだなと認めることができ、ようやく前に進むことができるようになりました。それから、自分は何が好きで、どういったことに幸せを感じて、どのように生きていきたいかを考えるきっかけとなりました。
私は一体なにが好きでなにに対して幸せを感じるのか。
当時「好きだ!」と言えるものはあったものの、それらを仕事にしてお金を稼ごうと思うほどの好きという熱量は持ち合わせていませんでした。私が好きだと明言できたことは、それらを通して“その店を営む人たちと過ごす時間”だったのです。また、過去に何に対して幸せを感じていたかを思い出してみると、自分がしたことで「周りの人が喜んでくれること」に、私は幸せを感じていたと気づきました。
例えば、居酒屋でのアルバイト時代、お客さんにサプライズの演出を担当したときにとても喜んで笑顔になってくれたことに対して、自分もとても嬉しく感じました。今後、自分がしていく仕事が自分の大切な友人の役に立つことであればきっと嬉しいだろうと、今後の仕事について模索していました。私の大切な友人は、飲食店・美容師・ワイナリー・アパレルを営む人たちが多く、そういった人たちに必要とされそうな技術は何だろう…。
考えた末、私にとってその答えは Web のエンジニアだったのです。情報サイトに掲載するのに多額の費用が発生する一方で掲載店舗が多いためにどれも似たような情報となっていることや、友人のお店は自社サイトがあるもののデザインが少し古めかしいこと、自分自身が実際に店舗に入る前に店舗に関してサイトを調べたあとで入店するという癖があるなど、Webサイトの重要性はこれまでも感じていました。そして、そんなサイトを作成できる技術は今後役立つ可能性が非常に高いであろうと考えました。そう思い立ってからは、Webが学べるサイトをみつけては Webサイトの制作方法を学習していました。そんななかで、神山ものさす塾の募集を見つけたのでした。
プロフェッショナルから学ぶ Web のあれこれ
塾の面接時、久しぶりに感情が高まる瞬間がありました。塾に入りたいという強い思いはあるものの、私は「 Webの技術者になりたいのか、神山で何をしたいか」という志望理由をはっきりまとめられていませんでした。そんな状態なので、頭の中に散乱している考えを支離滅裂なまま答えている状態。自分でも何を言いたいのかよくわからない局面になってきたころ、現在 Webを教わっている塾長の伊藤さんが一言「つまり、こういうことであってますか」と即座にまとめてくれたのです。自分の頭の中にある考えを説明することが非常に苦手なので、一瞬で理解してもらえたことに衝撃を受け、この人の元で学びたい、と強く感じました。この方向に舵を取って間違いじゃないと確信してからは、課題を翌日に出したり、課題提出時に意気込みを長文で送ったり・・・どうにか気持ちが伝わり、塾生となることができました。
開講してからあっという間に1ヵ月半が経ちました。初めて他の塾生と会ったときのことが随分と前のように感じます。積極的に馴染みやすい環境にしようとする人がいたり、遅れて合流しながらずっとそこにいるような馴染みの良さを見せる人がいたり。初めての顔合わせのときには、個性の強そうなメンバーばかりが揃っているように感じましたが、協力して物事をすすめることができる「意外とまとまっている」のが4期生の特徴です。
この神山ものさす塾第4期では、Webの制作に特化した授業が進められています。授業は主に、テキストを読み進めてコードを書くという、座学と実技を繰り返して進みます。単純に「コードを書くとこうなる」だけではなく、なぜそのように書くかをロジカルに学んでいます。独学時に抱いた疑問を質問すると、即座に説明してもらえて解消していくことができるので、独学で学んでいたころと比べて短い時間でより深く学ぶことができています。伊藤さんは論理的にわかりやすい説明をしてくれるので、毎日楽しく学習しています。
また、私は塾の面接の時のように、頭の中で整理がついていない状態で話し始めることが多かったのですが、伊藤さんに相手が「Yes」か「No」の二択で答えられる質問の仕方がベストであることも教わりました。このように、Webの制作だけでなく、社会人としての成長も促していただいています。
授業はいつでも質問OKのオープンな雰囲気で進められているので、理解できないことやなぜそうなるのか、といったことについて質問が飛び交っています。自分の考えなかった疑問を他の塾生が質問していたり...勝ち負けではないですが、負けてはいられないという刺激をもらっています。この塾で Web に関することを学んでいる時間は、とても密度の濃い有意義な時間です。写真のように、休み時間でも他の人の制作物を見て話したり、Web の技術者になるための勉強と向き合う日々が続いています。
1ヵ月半が過ぎた現時点で大きな学びだと思っていることは、Web サイトの制作では、絶対的な1つの答えがあるわけではなく、ケースバイケースで対応しなくてはならないということです。ただ見た目が良いものが完成すればいいのではなく、どういった考えのもとに制作したか、今後の更新を見据え、他の人にも配慮した制作を行えるか。ただ「作る」のではなく、さまざまな状況に対応していく力が重要だということです。今は、日々新しく学んでいることをどれだけ自分のものとすることができるかということに注力しています。
神山での過ごし方と9人全員での共同生活
9月の間は、神山スキーランドホテルというところで塾生全員で生活していました。スキーランドのお父さんお母さん、息子さんのマコトさんにはいつもあたたかく見守ってもらいました。朝、講義へ向かうときは「いってきまーす」、帰ってくると「ただいまー」ととても近い距離間で関わらせてもらえて、まるで親戚の叔父さんと叔母さん、お兄ちゃんのような存在。これまでの塾生のことを話してくれたり、神山のことを教えてもらったり。神山に来て得た情報の多くはスキーランドで得たものです。私は、マコトさんの紹介で収穫したすだち農家さんのところへお手伝いにもいってきました。
初めて神山にきたときは、なかなか神山の人と知り合う機会がないしどのように人と関わっていけばいいのだろう、という不安を感じました。けれどマコトさんをはじめ、少しずつですが「人を通じて神山とかかわっていくこと」ができてきているのかなぁと感じています。その背景には過去の塾生やサテライトオフィスの方が、神山に住む人との間に目には見えない“信頼関係”を築いてきてくれていたからと感じることもあります。
10月からの暮らしは、9人全員でフードハブプロジェクトの寮となっている家を借りることになりました。全員が内見後、即決で入居を決めました。けれど、そこで問題が。とても綺麗で大きな家なのですが、個室が6部屋しかなく、9人全員で暮らすには少し手狭。必然的に相部屋になることになります。私は共同生活をしたこともなければ、ひとりの時間が好き。それに全員での暮らしはきっとぎくしゃくすることもあるだろうし、気を遣うことが多くなることでストレスを感じてしまうかもしれないと思い、私は新しく家を探すことにしました。
新しい家が見つかれば、みんなと車をシェアすることが難しくなるため、自転車での通勤を考えていました。しかし、そうやって私が抜けることになれば、神山で暮らすにはなくてはならない足であるレンタカーを8人で何台借りるか、という問題が発生します。そんなこともあり、みんなに私が家を探していることを話しました。そこで、全員でこれからの暮らしについて改めて話し合う時間を設けることになりました。
「共同生活することは初めてだけどそういったことも含めた4ヵ月だと思って神山に来た」、「ぎくしゃくすることがあってもいいし、ぎくしゃくしたらそれから新しく考えるのもありだよね」と他のメンバーの意見を聞いているうちに私は「無理に気を遣ったりせずに等身大の自分のままで良いのか」と考えられるようになり、みんなと住みたいという気持ちに変化していったのでした。結局、現在は9人で同じ屋根の下で暮らしています。普段、どう考えているかといった込み入った話をする機会がなかったけれど、それぞれに思うことがあって、こういう機会だからこそ気持ちや考え方を共有できたのはとてもよかったです。
9人での共同生活が始まるころには、朝食と夕食の支度も自分たちでしなくてはならなくなることに不安も多くありましたが、今は食事も楽しみのひとつです。平日の朝食夕食と休日の三食は自炊を行い、みんなで食卓を囲んでいます。週末になると、お出掛けで食卓を囲う人数が少なくてさみしさを感じることも。はじめは9人分の量をつくることや手順に四苦八苦してましたが、少しずつ勝手もわかってきました。面倒見のいいメンバーが、朝食のおかずにと常備菜を大量に作りこんだり、その間に掃除が好きなメンバーは自然と掃除をしてくれたり。まだまだ日も浅く暮らし方の改善も必要ですが、みんなでバランスよく手分けして暮らしていけたらいいなと感じています。
一緒に暮らしていると、それぞれに特徴があって、尊敬できるところがあります。
様々な知識を持ちクールそうなのだけど実は面倒見が良く、授業の課題等でわからない人を手助けする人。その場にいるだけで場の雰囲気が明るくなり、みんなを巻き込むことが上手な人。人知れず掃除をして清潔な状態に保ったり、上手くみんなを取りまとめる縁の下の力持ちのような人。メンバーの年齢関係なく誰に対してもしっかりと、相手に合わせた言い方で自分の意見を伝えることができる人。授業内容の呑み込みが早く、大人しいながらしっかりと芯を持ち自分の意見を伝える人。誰に対しても笑顔でフレンドリーな対応をしているなんだか憎めないキャラクターを持った人。落ち着いていて相手のことを思った説明ができる、みんなからの信頼を得ている人。穏やかな空気感で場を和ませながらも、学習に対する姿勢は人一倍で、とても楽しそうに学習する人。
みんな違う性質を持っているけれど、それぞれにここでは書ききれない程の良さがあって、自分も真似したいところが多々あります。一度は別の暮らしを探したものの、今このメンバーで一緒に暮らせていることをとても幸せに感じます。願わくば、この9人で暮らしながら卒塾まで駆け抜けることができたら嬉しいです。誰かが抜けても生活に困ることはないだろうけれど、誰かが抜けるときっとさみしい。
塾の期間ももうすぐ折り返し地点。塾生として集中的に学ぶことができる環境も刻一刻と終わりが近づいてきています。私にとってこの4ヵ月は、どれだけ Web の技術を吸収することができるかという技術者としての礎を築くための時間です。現時点での目標は、自信を持って業務に携われるようになることと、可能な限り高い技術力を持って卒塾すること。残り2ヵ月、自分の目標にしっかりとコミットしていきます。