2019年08月01日
ものさすサイト、再始動への道
「サイトはみんなの共有部?」
社内のメンバーが記事を書き、約3年間ほぼ毎日更新を続け、2019年1月末でいったんお休みに入ったものさすサイト。
サイトのリニューアルを考えるにあたり、編集面からなにか一緒にできないかと声をかけてもらったのは2018年年末のこと。
私、中嶋希実は日本仕事百貨という求人サイトでの取材をきっかけにモノサスに出会いました。メンバーにじっくり話を聞かせてもらったり、ものさすサイトの中で記事を書かせてもらったり。
いろんな人がいて好みや考え方もバラバラ。まとまりはないけれど、なんだかおもしろい。
そんな空気は、日々更新されるものさすサイトからも伝わってくるものでした。
ものさすサイトがお休みに入って早6ヶ月。この期間モノサスでどんなことが起きていたのか、会社の外から関わる視点で少しだけご紹介します。
ものさすサイトでは日めくりカレンダーのように、ほぼ毎日、さまざまな話題が文章で紹介されていました。Webの技術的なこと、メンバーの紹介、住んでいる場所や飼っている猫の話。文体もそれぞれでちょっとゴチャゴチャしているものの、書いている人たちの雰囲気が伝わってくる。
そんな『ものさすサイト』の発案者は、西村佳哲さんでした。
西村さんはモノサスのメンバーが徳島県神山町で出会い、今も仕事でご一緒することの多い方。
ものさすサイトがお休みに入っていることを知り、5月のモノサス全体会議で日めくりカレンダー形式を提案したときに考えていたことを話してくれました。
内容を少しだけ紹介すると、日替わりでみんなが何か書いている会社のサイトは「いい求人」「いい受注」そして「良い血行」につながるのでは。
そう考えて、サイトのアイディアがうまれたそうです。
“いい会社ってなんだろうと考えたとき、給料が高いとか福利厚生が揃ってるとか、条件で言う人もいるかもしれないけど。「いい会社」っていうのは、社会にとって価値があって、そこで働いてる人たちにとってもやりがいがあると感じられる仕事が、くるくるまわっているところですよね。
いい会社は、「いい個人」ってなんだろうと考えていくとわかると思っています。血行がよくて基礎体温が高く、身体の調子がいいし、違和感にも気が付きやすい。自分の身体に起こっている違和感に敏感で、必要に応じて対処ができる。
心でいうと、好奇心や想像力が十分にあって、オープンで、必要に応じて変わっていける。それがとても大事だと思っているんです。”
“そういう会社っていうのは、生き残っていくと思うんですよね、いい形で。なにによって生き残るかというと、そのときどきによって必要な仕事や活動が、ほどよく生まれていくんじゃないか。
社会は変わっていくから、会社も同じようなことをずっとやっていけばいいわけじゃなくて。状況に応じて変わっていく必要がある。そのときどきに、必要な仕事や活動がほどよく生まれていかないとジリ貧になっていく。
そのコンディションをつくっていくために、なにがあるといいかなって考えたとき、みんなが日替わりでなにか書いているコーポレート・サイトを提案したわけなんです。”
その後話は、さまざまな会社のオフィス空間の話に。
紹介していただいたのは、壁が少なく働いている人同士の様子がわかりやすいオフィスや、会話がはじまりやすい休憩スペースなどの事例。
西村さんはそれらのことを「豊かな共有部」と呼んでいました。
“この船がいまどんな航海をしているのか、みんながなんとなくわかっている状態にある。人と人の組み合わせが生まれやすい土壌がある。そういう会社とそうでない会社だったら、どちらが新しいことが起きやすいか、必要なときに舵を切ることができるかは自明ですよね。”
“その状況をつくるうえで、共有部を豊かにすることが大事だと思っています。その方法はいろいろあって。モノサスのコーポレートサイトをリニューアルするならば、そこでやってみてもいいんじゃないって。
だから外の人たちに向けた情報発信のようで、実際には自分たち同士のことが、よりわかるようになるといいんじゃないかっていう提案だったんです。”
全体会議終了後、どんなことを考えながら話を聞いていたのか、感想を記入するシートがメンバーに配布されました。
会社の血行、オフィスの共有部について勉強になったなど、さまざまな感想や意見が書かれたシートの中には、ものさすサイトについての意見を寄せる人たちも。
サイトがモノサスに入社するきっかけになった人。共有部として機能していたと感じる人。会社の外からの良い反響を感じていた人。
そして、サイトの運用について難しさを感じていた人たちの意見も知ることができました。
ものさすサイトがお休みに入った理由のひとつに、運営を続けていくのが難しくなったことがあります。シートに書かれたこと、メンバーが話を聞かせてくれたことをいくつか紹介します。
- ふだんの業務と時間配分をするのが大変だった
- 全員書かないといけないなど、強制的なルールが多かった
- せっかく書く時間を使っているのに、思考を深めることにつながっていなかった
- 運営をしている編集部、書かされる側のメンバーという対立構造ができてしまい、編集部の負担が大きかった
- 一人称で書けと言われても、どう書いていいかわからなかった
- 正直、休止してほっとしている などなど…
ふだん書くという作業をすることのないモノサスのメンバー。慣れない人も書きやすいよう試行錯誤が続けられていましたが、書くこと、そしてサイトの運営にはかなりの負荷がかかっていたようです。
以前真鍋さんが書いていたように、サイトの運営をしていた3年ほどの期間は、会社が大きく変化していた時期でもあります。会社全体の変化が直接的な理由なのかはわかりませんが、ここ2年ほどで会社を離れた人も多く、雰囲気も変わってきています。
その変化の中、ものさすサイトはどう機能するといいだろう。健やかに続いていく運営方法は、どんなものだろう。
サイトを再始動させていくにあたり関心のある人を募ったところ、10名ほどのメンバーが集まりました。
今はこのメンバーとともに、2週間に1度の集まりを重ねつつ、サイトをどんなふうに運営していくのか相談を続けています。
- 書くことが目的ではなく、社内からコンテンツが生まれていくような仕組みはできないだろうか
- 編集部がなくても自然に記事ができていったらいい
- 記事に対して、リアクションが見えると書きがいがある
- 必ずしもメンバー全員が書かなくてもいいのでは
- もっと営業ツールとして有効活用できないだろうか
少しずつではありますが、再始動に向けてさまざまな意見を交わし、進んでいます。
サイトが会社の共有部になり、良い血行をつくることにつながるんだろうか。それも参加しているメンバーの強い関心事項です。
「ともに生きていきたい人たちと、働く」
この言葉に共感し集まっているモノサスのメンバーが、自然に、お互いの力を十分に発揮できる会社の空気はどうつくられていくのだろう。
ものさすサイトは共有部の役割を担うことができるのかを含めて、ミーティングは続いています。
なかには「いいから、今すぐ書いて載せたいことがあるんだけど!」という人も。実はフライング気味に、記事を書きはじめています。
仕組みや先のことは引き続き話し合いつつ、動き出すからこそ、見えてくることもあるはず。
ということで、まもなくいくつかの記事の掲載がはじまることになりそうです。
ものさすサイトを巡る話、また折をみてご紹介したいと思います。
(2019/8/1 公開・8/5 一部変更)