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Nov,2019
勝股 淳
投稿者:勝股 淳
(ディレクター)

2019年11月18日

モノサス社内勉強会レポート~西村佳哲さんに学ぶ、よいミーティングのつくり方~

ものさす学習モード

勝股 淳
投稿者:勝股 淳(ディレクター)

会社が変わろうとしている。

モノサス社内にいると、つよくそう思う昨今です。

会社の各所では、「○○を考える会」だったり「○○の再始動について」という名前のミーティンググループが立ち上がり、会議の運用方法や自社サイトのあり方、働く場所のこれからが検討され続けています。

往々にして、それらの会議やミーティングは、”決まっていることを確認するだけの場”ではないので(正解がわからないけど、どんな風に進もうか?みたいな場なので)、スムーズに進むことばかりではありません。(基本、難航気味。)

そんな中、モノサスの全体会議で西村佳哲さんが「会社の共有部を豊かにする」ということについて話してくれたのは5月のこと。(詳しくは前回の記事をどうぞ。

西村さんのことは『自分の仕事をつくる』(ちくま文庫、2009年)という本の著者としてご存知の方も多いかもしれません。

執筆以外にも、デザイン・プロジェクトの企画立案やディレクション、ファシリテーション役を務めたり、モノサスメンバーとは徳島県神山町のプロジェクトでご一緒する機会が多い方です。

全体会議で話をしてくれた後、西村さんがモノサスメンバー向けに、共有部/ワークプレイスをテーマにした勉強会をひらいてくれることになり。(ちなみに、モノサス入社前から、尊敬する人を訊かれると「西村佳哲さんと糸井重里さん」と答えていた私としては、社内で西村さんが勉強会してくれるなんて、ぜ、ぜ、贅沢ぅ!という心持ちでした。)

今回は、そんな勉強会の第一回目の様子と私の個人的な感想を書いてみます。

申し遅れましたが、本稿を書いている”私”は、モノサスクリエイティブ部ディレクターの勝股です。訊かれてもいない近況報告をすると、最近、アキレス腱を切って療養中です。30代以降のみなさんはスポーツする前に入念にアキレス腱を伸ばすことをオススメします。

『ミーティング』について学ぶ

モノサスには月に一度”全体会議”があります。普段は出向先で、あるいは神山やタイのオフィスで働いているメンバーも、可能な限り集まります。

西村さんの勉強会は、その前後日程を使って、8、9、10月の計3回開かれました。その第一回のテーマは、『ミーティング』で、会社の大事な共有部であるミーティングや会議の進め方を学びました。そして、その勉強会の学習素材が、モノサスの”全体会議”という入れ子構造になっていました。

社内では様々なモノゴトを再検討する為に多くのミーティングが立ち上がっている中、私自身は、「ミーティングがうまくいかない」と感じる経験を多くしていて。改善しようにもどう着手していいかもハッキリせず、モヤモヤしていました。

そんな状況下での勉強会。本当にありがたかったです。

勉強会の構造自体からも学ぶことが多かったので、本記事は勉強会で行ったことを簡略化したカタチでありますが、できるだけ網羅的に書き記しています。

私と同じようにミーティング設計について興味がある方や、モノサスメンバーの役にたつといいなと思います。

おさらい。ミーティング。ふりかえり。

勉強会は全部で3パートありました。

〈パート1:おさらい〉
前回、西村さんが全体会議で話した内容を振り返り、ここまでの経緯をおさらい。前提確認の時間。今日のメインテーマは『ミーティング』であるという話。

〈パート2:実際にミーティング〉
実際にミーティングを行ってみる。
西村さんファシリテーションのもと、「モノサスの全体会議をより良くするには?」というテーマでミーティング。

〈パート3:たった今したミーティングのふりかえり〉
パート2のミーティングをふりかえる時間。ミーティングの際に出た意見やアイデアについて言及するのではなく、ミーティングの構造をふりかえるイメージ。何が話されたというより、どうやってミーティングを進めたか。ストラクチャーの部分のふりかえりです。

西村さんは最初の30分ほどで改めて今日の勉強会に至った経緯を話して、前段共有を済ませると、テンポよくパート2の「ものさすの全体会議をより良くするには?」についてのミーティングの時間へ。

本旨と離れてしまうので、このミーティング部分で出た具体的なアイデアや考えについては割愛しますが、パート2がどんな手順で進んだか書いておきます。(1〜7まで)

  1. 各人が、全体会議の中で大切にしたいこと(○)、未来に持っていきたくないこと(×)を手元で書く。
  2. 書いた内容を近くの2〜3人組でシェアする。
  3. 2で話した内容を全体に共有。(出た意見は、西村さんがホワイトボードに板書)
  4. 会議の中で大切にしたいこと(○)、未来に持っていきたくないこと(×)の現状共有ができたところで、具体的に「どこをどう変えるとよいか?」を考えたり話す時間。2〜3人組。
  5. 板書されている意見(大切にしたいこと(○)、未来に持っていきたくないこと(×)のリスト)のひとつひとつについて共感度チェック。(「この意見に共感する人〜」と聞いていき、挙手制で応える。)
  6. 「全体会議をこんな風に変えてみてはどうか」というアイデアがある人は発表。(全体の場で)
  7. 6で出たアイデアの中で、全体会議がよりいいものになる感じがして、自分にとって納得感があり、実行できると思えるものに投票していく(複数投票ok)。

この日は、勉強会の材料としてミーティングを行なったので、パート2の時間はいったんここまで。具体的に「じゃあどれをやる?」や「誰がどれをいついつまでに」という話に入る手前までを行いました。

会議の4つの段階。

パート3のふりかえりの時間。西村さんは今日のミーティングをどんな風に設計したかを教えてくれました。

「実は、今やったミーティングは、この本に書いてあるミーティングのやり方でやってたんです。ちょっと一緒に振り返ってみたいと思います。」

西村さんが手にしていたのは、青木将幸さん著『マーキーのこんな会議をみた!!〜やってみよう、ファシリテーション〜』(東京ボランティア・市民活動センター、2016年)。

続けて、西村さんが本の中の「会議の4つの段階」という部分を紹介してくれました。

会議の4つの段階、その1つ目の段階は、[共有の段階]です。その会議の「そもそも」を確認し、議論に必要な情報共有を行います。いわゆる土台をつくる段階ですね。2つ目は、[拡散の段階]。議論をどんどん広げ、いろんなアイデアや可能性を出してゆく段階。3つ目の[混沌の段階]は、いわゆるカオスの段階。意見の対立があったり、揉んだり、いろんな提案を切磋琢磨させる段階。なので、ぐるぐる巻きですね。そして、最後の4つ目が、[収束の段階]です。議論をまとめ、結論を整え、実行に移してゆく段階。閉じてゆく段階です。
「会議には4つの段階があるんだ!」ということを理解すると、会議を進めてゆくのがスムーズになります。会議がうまく進まなかった時にも、「あ、この段階がうまくいってないんだな」とか、「拡散が不十分だったな」とか、「収束に時間がかかっちゃったな」というように、修正点が捉えやすくなるのです。

以降、本を参考に、各段階のポイントに触れながら、勉強会のどの部分がどこに当たっていたのかを照らし合わせる時間に。

各段階の詳細な説明は、青木さんの本を読んで頂ければと思いますが、本から抜粋して一部を以下にご紹介します。

[共有の段階]
「これぐらい、皆もわかっているよね」と思い込んで、この段階をおろそかにすると、後ほど、大きな失敗を招くことがあります。共有の段階は丁寧に進めましょう。

[拡散の段階]
拡散の段階では、どんな意見も、「出してくれてありがとう」「他にはどんなものがある?」と受け、意見やアイデアを出し切ることに専念します。もう限界!と思ってから、さらに2〜3個出してみたり、アイデアとアイデアを掛け合わせてみるなど、充分に可能性を探りたいものです。

[混沌の段階]
混沌から脱出する方法は、いくつかありますが、とりわけ重要なのは、「混沌を味わう」ことではないかと思います。

[収束の段階]
1,その結論は、会議参加者にとって、ある程度の納得度があるか?
2,その結論は、実行する上で、実現の可能性があるか?
3,その結論は、利用者(エンドユーザー)を幸せにするものか?
上記の3点に気をつけて、結論を選び、実行に移してゆく。それが収束の段階の勘所です。

西村さんは、板書の仕方ひとつにしても丁寧にコツなどを解説してくれ、本当に示唆に富む時間だったのですが、それを全て本記事でお伝えはできないので、私がとても印象に残っている部分を共有します。

勉強会の冒頭に全員が発話する時間を設けた理由について西村さんが語る場面です。

”ミーティングのなるべく早い段階、できれば開始5分から10分の間の中でその会議に居合わせているメンバーが口を開く時間があるように僕はなるべくします。報告ミーティングだとそこまでしないけど、みんなで話し合って何かを模索したいときには必ずそうします。
最初の10分くらいでもうだいたい決まっちゃうんですよ。その会議はこういうことなんだなって規範が。ある人がずっと喋ってるのを聞いてる時間が15分くらい続くと、「あぁそういう感じなのね」っていうモードセットがされてしまう。

最初のうちにちょっとでも口を開いておくと、「今日は一緒につくっていくんだ」って感じが出てくるし、長く自分が喋っていない時間が続いて、急に喋れって言われるよりもどこかで一回喋ってるほうが口は開きやすい。それに、口を開いて相手の言葉とか声を聞くとお互いの様子もわかる。声ってその日の自分の調子とかコンディションとかいろんなものがゴロンと出ているチャンネルなんですよね。元気ないなぁとか、あるなぁとか、弾んでるなぁとか。

発話っていうのはすごく大事な参加のトリガーで、内容はなんだっていんですよある意味。もちろんその日のテーマに付随することに越したことはないけれど、その日のテーマに引っ張りすぎて「今日は何を期待してきましたか?」みたいになると結構身構えちゃったりもするから、今日何食べてきたみたいことだって別に構わないし、何か関わりはじめることを作るのは大事なことだなぁと思っています。”

関わりはじめることをつくる。

私にとって、この勉強会の時間は、”みんながその場に顔を出している感じ”がした時間でした。逆を言えば、勉強会やミーティングで同じ場に居合わせていても、そこにいる人たちの顔が見えないように感じる時も結構あります。

「参加する」というのはいろんなカタチがあると思うけど、同じ場にいるのなら、お互いに顔を出して話を交わしてみたいと私は思います。それは能動的であることが正義で受動的であることが悪みたいな話ではなく、とある場をみんなで作るための前提条件なんじゃないでしょうか。

西村さんは、「関わりはじめることをつくるのは大事なことだなぁと思っています。」と、言っていました。

関わりはじめることをつくる。

私は、この話を聞いた時、なんとも言えない感覚になりました。
関わりはじめることは、「つくる」という風に考えたことがなかったからです。

西村さんの言う「関わりはじめることをつくる」の「つくる」は、「設計する」という風にきこえました。

人と人が関わり合うことって、自然の成り行き。または、個人の機動力に依存するようなものだとどこかで思っていました。学校やなんかでも、同じ空間に放り込むところまではするけど、あと関わり合うのは個人それぞれでよろしく!って感じです。

でも、関わりはじめることをつくるというのは、人と人が関わりはじめることまで設計するわけです。

私が感じた”みんながその場に顔を出している感じ”の正体が少しわかった気がしました。

そして、私はその感じが好きです。

改めて、今、モノサスに居合わせている私たちにとって、関わりはじめることをつくることがとても大切なんじゃないかと思いました。

以上。
勉強会のレポートと、私の個人的な感想でした。

この投稿を書いた人

勝股 淳

勝股 淳(かつまた じゅん)ディレクター

ディレクター。1987年生まれ、湘南住まいのA型。猫二匹と暮らし中です。趣味は自動販売機で飲み物を買うこと。「こういう遊びを考えたんだけど、やらない?」と、言い出すことが多い。

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