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Jul,2020
中嶋 希実
投稿者:中嶋 希実

2020年07月09日

ものさすラジオ
オンライン・ファシリテーター 青木さん

ものさすラジオ

中嶋 希実
投稿者:中嶋 希実

モノサスのメンバーをゲストに話を聞いていくものさすラジオ。4月からはオンラインに切り替えて、聞き役の中嶋希実との会話をメンバーが見守るスタイルで続けています。

今回のゲストは初の社外から、オンライン・ファシリテーターのマーキーこと、青木将幸さん。

青木さんはこのごろ、モノサスのさまざまな会議にファシリテーターとして入り、進行役をしてもらっています。

いろんな会議にするっと入ってくれる青木さんはどんな人なのかゆっくり話を聞きました。

当日の様子をちょっとだけ、お伝えします。

中嶋
青木さん、淡路島での生活はいかがですか?
青木
今日はね、近所の温泉に行きました。しばらく入ってなかったから嬉しい。
温泉、羨ましいです。青木さんにはここ1ヶ月ちょっと、「青木ホーダイ」と名付けた仕組みで、モノサスのいろいろな会議に入ってもらっていますよね。
僕ね、あんまり1つの企業に入り込まないように仕事してきたんです。さっき、どうしてこんなにモノサスのことを一生懸命やってるんだろうって考えて。小学校3年生くらいのころ、自分でコードを打ってゲームをつくっていたことを思い出しました。
それ、けっこう前の話ですね。
そう。周りはファミコンしてたんだけど、うちは親がゲームさせてくれなかったの。自分でつくったものならいいっていうルールがあってね。パソコンを触って、自分でゲームがつくれるんだっていうのはおもしろかったですね。そのままコンピューターのことをやっていたら、今モノサスのみなさんがやっているようなお仕事をしてたかもって思って。
そのまま、コードを入力していく道には進まなかったわけですね。
Windowsが出たとき、コンピューターおもしろくなくなっちゃって。みんな直感的にできるようになってよかったね、でも僕が入りたい感じじゃないなって思っちゃったんだよね。
それで、ファシリテーターの道へ。
ちょうど1995年に参加したスタディーツアーでファシリテーターという役割の人がいる場面に居合わせました。すごくおもしろそうだし、日本ではまだ専業でやっている人がいそうにない。それだったら僕がやりたいと思って、大学2年生からファシリテーターになりました。
誰かが先にやってたら、やらなかったんですか。
やってなかったと思います。未だに、僕より上手なやつが出てきたらもう辞めようって思ってますよ。最近は若い才能がどんどん出てきてるから、そろそろ辞め時だったりするかもしれないね。
ファシリテーターと名乗って25年、まっすぐ続けてきた感じなんですか。
うん、ほかに向いてることがわからないから、25年間ファシリテーター。その割にはぜんぜん進化してない感じがするな。仕事をした後、ファシリテーターノートっていうのをつけて振り返りをするんです。だけど未だに100点つかないですね。手の届かないことがたくさんあります。
うまくいってるなって感じるのはどんなときなんですか。
初めのうちは僕が頑張らないと話が回らないけれど、後半になって、僕の存在を消しても回り始める。自分たちでハンドルを握って、自分たちで漕いでる。そういうときに、よかったなっていう感じはあるよね。
今さらなんですけど、ファシリテーターって、どういう人のことを言うんですか。
僕は会議を専門に回している。別のジャンルだと、集まった人で1曲をつくる作曲ファシリテーターとか、まちづくりに特化したファシリテーターとか。共通して言えるのは、その場にいる人が、すごく参加できている。その時間や場所を自分たちのものだと思っていられる、みたいなお仕事なんだろうと思う。
発言したとか議論したとかっていう先に、自分たちのものになっている感じ。
はい。そうです。
今モノサスでは新型コロナウィルスのこともあって、すべてオンラインでミーティングに入ってもらっています。オンラインでファシリテーションすることって、前からやってたんですか?
やったことなかった。むしろね、オンラインじゃ無理でしょうって思ってた。画面の向こうで、頷いているかもわからない人に対して伝える、暗い井戸に石を投げ込むような仕事は無理無理って。
反応が見えない感じ、ありますよね。
だけどもうこの状況でやっていくしかないんだって、ミーティング・ファシリテーターは実質的に廃業して、オンライン・ファシリテーターを名乗ることにしました。やらざるを得なくなったら、むちゃむちゃ可能性があることがわかりました。
可能性ですか。
このあいだはね、オンラインで合宿したの。一緒に焚き火して、散歩して。カレーはそれぞれに用意してるから、味は別々のカレーなんだけどね。一緒に時間を過ごすことはできた。僕ができないって決めつけてただけだって思ってさ。いろいろ発見があるよね。
オンラインではやっぱり難しいなってこともありませんか?
僕もまだ経験が足りてないんだと思うけど。オンラインでは視覚と聴覚についてはカバーできる。だけど匂いや触覚、味覚みたいなところはまだ未開拓だなと思っていて。画面の向こうで仲間が涙を流していたことがあってね。あいつの肩をさすってやりに行けないもどかしさ、寂しさがありました。
大切な話をしてくださって、ありがとうございます。
いやいや。すごくいい経験になっています。
モノサスでは1対1で話すこともあれば、20人のオンライン・ミーティングをしたというのも聞いてます。
あれはね、楽しかった。けどもう、クタクタでした。
参加したメンバーが口を揃えて、すごくよかったって。
一生懸命やりますけどね、よかったかどうかは、この後あのビジネスがどうなっていくかでわかります。その瞬間の様子はよかったけれど、本当にその会社にとっていい時間だったかどうかは別だと思っていて。半年後くらいにわかるんじゃないかな。
今って、ミーティングがうまくできないなって思ってる人、多いと思うんです。ファシリテーター役を上手にやりたいって思ったら、どうすればいいですかね。
名乗ってください。その瞬間にファシリテーターです。
名乗ればファシリテーター。
そう。あとは、Aさんが大切なことを言ったら、Bさん、Cさんはどう思うの?って聞けばいい。そう。聞くのが仕事です。
聞くのが仕事。
多くの場合、なにを提案すれば前に進むかなって、発言することによって会議を進めようとします。ファシリテーターは逆で、聞くことによって会議を前に進めるんです。どっちも大事なことだけどね。引いて余白をつくる、スペースをつくることによって意見を投げ込める状態をつくってあげれば、場は自然とよく回っていくんですよ。

ファシリテーターって、すごく人を信じている仕事なんだな。そんなことを思いながら、ほかにもいろんな話を聞かせてもらいました。

ちなみに青木さんの趣味は釣り。好きな理由は、仕事で人の話を聞きすぎてるから、人と会わない時間をつくっているんだそうです。

青木さん、淡路島に遊びに行けるようになったら、おいしい魚とバーベキューでもしながら続きを聞かせてください。



青木さんには別のインタビューでもお話を伺っています。

あなたの「はたらく」教えて下さい!オンライン・ファシリテーター青木将幸さん(前編)

モノサスでご一緒している「青木ホーダイ」についてはこちらでご紹介しています。
オンライン・ファシリテーター 使いホーダイ実施中

この投稿を書いた人

中嶋 希実

中嶋 希実(なかじま きみ)

1985年生まれ、茨城・龍ケ崎在住、自営業。「日本仕事百貨」の取材でモノサスと出会い、今はものさすサイトなどいくつかのことに会社のちょっと外から関わっています。

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