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Dec,2022
杉本 恭子
投稿者:杉本 恭子
(ライター)

2022年12月20日

自分の責任範囲が明確だからこそ、働く場所と時間を自由にできる。コーディング・ディレクター畑峯豪

自由と責任 〜みんなの制度と働き方実験室〜

杉本 恭子
投稿者:杉本 恭子(ライター)

こんにちは、京都で暮らしているライター・杉本です。
フルフレックス&フルリモートで働く、モノサスメンバーのワークスタイル、会社に対する考え方や仕事観を聞くインタビューシリーズ「自由と責任 みんなの制度と働き方実験室」。今回は、一時帰国中だったモノサス・タイランド(以下、モノタイ)の畑峯豪さんを、代々木オフィスにてキャッチしました。

ソフトな人当たり、飄々とした話しぶり、だけど仕事のことになるとキリッとする。きっと、ものごとに対する力加減が上手な人なんだろうなと思いながら、お話を聞かせていただいていました。写真撮影は、ものさすサイト事務局に参加しているデザイナーの滝田怜子さんです。
 

ディレクターという仕事の面白さ

杉本:畑峯さんは2017年に入社されたそうですね。当時の記事で、渋谷109にあった靴屋さんで働いたのち、プログラマーに転職されたと書かれていました。

畑峯:もう、アパレル業界よりもIT業界の方が長くなりました。バックエンドと呼ばれる、基幹システム系のプログラマーを経験したのち、Web制作の世界に移ってHTMLなどのマークアップ言語やCSSを扱うコーディングをするようになりました。モノサスに転職した理由のひとつは、コーディング専門サービス「コーディング・ファクトリー(CF)」があり、多くのコーダー仲間がいることでした。今は、コーディング専門のディレクターをしています。

杉本:コーディングディレクターってどんなお仕事ですか?


入社の翌年(2018)に初のMVPを受賞したときの畑峯さん

畑峯:もともとエンジニアだったので、ディレクターになったら、エンジニアとして難易度の高い仕事を求めていく道を諦める覚悟は必要だなと思っていました。でも、決意してやってみたら、むしろディレクターの仕事のほうが面白かったんです。ひとつの案件について、作業工程を組み立てるのですが、タスクの順番を考えて流れをつくって、うまくいくとすごく気持ちがいい。さらに、業務フローを効率化して、生産性が上がっていくのも楽しいんです。会社のためにも、自分のためにもなりますからね。

杉本:コーディング・ディレクターになったのはいつからですか。

畑峯:モノサス入社時の面接で「1年ぐらいコーダーをやってから、ディレクターになれたら」と話していたら、入社と同時に「じゃ、ディレクターで」と言われて(笑)。最初の案件はかなり大変だったのですが、「任せてくれる」ところに成長できる可能性を感じました。「次はうまくやってやろう」と思えましたから。
 

リモートワークが生活の質を変えた

杉本:ちょうど、入社された年からモノサスはフルフレックス制度を導入しましたね。当時、働き方に変化はありましたか?

畑峯:僕は変えていないですね。まだ仕事に慣れていない“修行の身”だったので、お客さんにご迷惑をかけてはいけないと思いましたし、僕自身はめんどくさがりなところがあるんです。新しい制度をゴリゴリ試した人のフィードバックを聞いてから、真似しようかなーと思っていて。みんなの話を聞いた結果、やっぱり変えなくていいや、と思いました。

2020年にフルリモートになってから、ようやくフルフレックスの良さが出てきたなとは感じています。フルフレックスになっても、働く場所の拘束がある限り、出勤時間が固定されてしまうから、働く時間はあまり自由にならないんです。

杉本:どういうことですか?

畑峯:たとえば、今の僕は、タイのメンバーに仕事を依頼する立場です。彼らが指示通りに作業を進めて、予算の範囲内の工数で仕上げることに対して責任をもっています。彼らが円滑に作業するためにも、僕の方が朝早めに仕事をはじめるほうがいいんです。僕は、早い時間に起きて資料や指示書を準備し、タイのメンバーが仕事をはじめる頃に指示を展開します。そうすれば、僕はお昼の休憩を長めにとって少しお昼寝していてもいい。午後は、翌日の仕事の準備をしたり、長期的に取り組んでいる仕事に取り組んだりしています。パソコンを使わなくていい業務の間に、ちょっとお医者さんに出かけたりもできます。

リモートワークしていなければ、本当の意味でのフルフレックスで働いていなかったと思います。やっぱり、朝はオフィスに出社して夕方に仕事を終えて帰宅するサイクルを続けていたでしょうね。
 

それでも、オフィスや飲み会はあったほうがいい

杉本:リモートワークするようになり、生活と仕事のバランスもとりやすくなったのかなと思います。そうなると「オフィスがある意味ってなんだろう?」と思うことはありませんか。

畑峯:僕の場合は、自分で仕事を回せる世代だったし、リモートワークに移行していい感じに解放された世代だと思います。もっと上の世代には「リモートって何?」と戸惑った人たちもいたでしょうし、コロナ禍の最中に新卒入社した人たちは、いきなりリモートワークで苦労していたと思います。

最近、モノタイでも宮川さん(モノタイ役員)と僕で採用活動をがんばっているのですが、リモートで新人さんと信頼関係をつくったり、仕事を教えたりできるのかなと思うんです。やはり、オフィスがあるとより親しくなりやすい。長い目で見たときに、新しいメンバーを入れながら組織を育てていくには、やはりオフィスは必要なんじゃないかと思います。

杉本:メンバー間のコミュニケーションといえば、CFは共同作業も多いうえに、一緒に飲みにいく回数も多めで、メンバーの関係が濃い印象があります。


2018年の「CF飲み」のようす。畑峯さん楽しそう!(右から二番目)

畑峯:そうですね。僕もけっこう上司を誘いまくっていましたね。メンバーを呼んで、上司を誘って奢ってもらう(笑)。タイでも、やっぱり誘って飲んでいるので、飲むことに関してはあまり変化ないですね。ただ、日本のメンバーとは会えないし、一緒に仕事をする機会も少なくなり、コミュニケーションが減っているのは感じています。

日本で一緒に仕事していた仲間、毎日のように飲む仲だった角南さんも神山に行ったし、けっこう離れ離れになってしまったので。違う案件を担当していても、飲んでいたら結局は仕事の話になって、お互いに新しい情報を拾うことができていたなと思うんです。自分の案件で、タイのメンバーとしか仕事できなくなるとマズいので、定期的に角南さんをゲストに招いて仕事できたらいいなと思っています。案件が終わったら、打ち上げでリモート飲みをするなど、そういう工夫で解消できるといいかもしれません。
 

会社員のままで「どこでも仕事できる」が実現した

杉本:ところで、畑峯さんはどうしてタイに行ったんですか?

畑峯:初めてタイに行ったのは、2018年の社員旅行でした。当時の上司に「1週間くらい働いてみたら?」と言われたので、みんなが帰った後も残っていて。「こういう働き方もいいなあ」と思ったんです。寒いのが苦手なのですが、タイはあたたかいですし。道路も日本のようにキレイじゃないし、電線は感電しちゃうんじゃないかっていうくらいものすごい束になっている。それが、逆に萌えたというか、発展していく途上にあるエネルギーを一緒に感じたいなあと思いました。コロナ禍になる前、最初の一年は本当に楽しかったです。

杉本:どんなことが楽しかったんですか?


モノタイの社員旅行でチェンマイへ。やっぱり、畑峯さん楽しそうです!

畑峯:そのときはもう、歩いているだけで楽しかったですね。英語もタイ語もできなかったから、タイ語教室に通ったり、英語を勉強してみたりして、買い物するときに覚えたての言葉を使ってみて「成功したぞ」みたいな。使えるフレーズがどんどん増えていくと面白いし、勉強しがいがあるなあと思いました。街なかで、タイ人に話しかけてみたりもしていました。

杉本:仕事の面ではストレスを感じることはありませんでしたか。

畑峯:そもそも、ウェブ業界に入った理由のひとつは、「どこでも仕事できるようになれたら楽しいだろうな」と思っていたからだったんです。いつかフリーランスになって、田舎ライフを楽しみながらリモートで仕事できたら楽しいだろうな、と。ところが、会社員のままで、自分が居たいと思うタイで暮らしながら、好きな時間に働けています。むしろ、やりたいことをグレードアップした状態になったので、夢がかなったみたいな感じです。

杉本:ディレクターとしての責任を負いながら自由に働けているんですね。

畑峯:もし、自由だけがあって、責任が明確にされていないと「このままで大丈夫かな」と不安になってしまうかもしれません。僕の場合は、予算の範囲内でタイのメンバーに円滑に作業をしてもらうという責任があります。それさえ守っていれば、自由にやっていいという感覚でいます。今後は、モノタイが大きくなってより稼げるようになり、タイのメンバーにも幸せになってほしいと思っています。日系企業に勤めていることを自慢できるような、給料や働き方にしてあげるべきだろうと思っています。


畑峯さんの第一印象は、「私が知ってる感じのモノサスっぽい人じゃない、モノサスっぽい人」でした。すでに知っているモノサスのメンバーのなかに畑峯さんがいると、きっとすごくいい感じが生まれるんだろうな、みたいな。そして、記事には書けない、ちょっとやんちゃなお話も聞かせてもらったけど、「一緒に仕事するとすごく頼りになりそう」という第二印象が残っています(ふしぎですね)。

今度、畑峯さんが帰国するときは、みんなで飲みに誘うといいんじゃないかなと思います。きっと、喜んでくれると思います。

この投稿を書いた人

杉本 恭子

杉本 恭子(すぎもと きょうこ)ライター

フリーランスのライター。2016年秋より「雛形」にて、神山に移り住んだ女性たちにインタビューをする「かみやまの娘たち」を連載中。

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