2023年03月02日
「このチームで役割を担えることにうれしさがあった」。ものさすサイト事務局で過ごした1年のこと。ディレクター・久野巧
2022年度のものさすサイトを運営する事務局で活躍してくれた久野巧さん。
ミーティングでの物静かなたたずまいから、「ものさすサイト、楽しんでもらえているかな」とひそかにヤキモキしていたのですが、あるとき「ものさすサイトでABテストをやりたいです」と発言。「おおお!久野さんから提案きた!」と小躍りしたのを覚えています。
その後も、モノサスのメールマガジン『ものさすだより』の創刊プロジェクトの中心を担うなど、だんだん存在感が大きくなっていきました。今回、事務局の中心メンバーから離れるにあたり、この一年間を振り返って話していただきました。
「ともに働く、ともに生きる」に惹かれてモノサスへ
杉本 ものさすサイト事務局(以下、事務局)での1年間、本当におつかれさまでした!久野さんと一対一で話すのは初めてなので、モノサスに入社した経緯から聞いてみたいです。
久野 きっかけは、『日本仕事百貨』に掲載された神山ものさす塾4期生の募集記事でした。大学を卒業して地元・静岡で働いていたとき、たまたまその記事が流れてきて。自分でもびっくりするような勢いで申し込んでしまったんです。
杉本 林さん(モノサス代表)が「自分が何をして生きていると充実するのか。自分のものさしがわかれば、自分で選んでいくことができるんです」って語っていますね。当時の久野さんにとって、なぜこの記事がヒットしたのでしょう。
久野 一番印象に残っているのは「ともに働く、ともに生きる」というタイトルの言葉です。記事自体もまさにその言葉を表している、すごく興味を惹かれる内容で楽しそうだなと思いました。当時働いていた会社は、いわゆるトップダウン組織で横のつながりが少なく、心地いいコミュニケーションができない感じがあって。「これでいいのかな」というもどかしさを感じていたんです。
杉本 ふだんの久野さんには、衝動的に行動するイメージがないです……(笑)。
久野 親が一番びっくりしていました(笑)。今まで、突発的に何かしたことが本当になくて。これが初めてだったかもしれない。思い出しても、怖いくらいに不安がなくて、楽しみでしかなかったんですよ。盲目的ですらありました。
杉本 新卒入社した会社を辞める不安とかなかったんですね。神山ものさす塾はどうでしたか?
久野 めちゃくちゃ楽しかったし、参加して本当によかったなと思います。生まれも育ちも年齢も違う人たち9人と、ひとつ屋根の下で暮らしているのが本当に心地良くて。みんなでひとつの目的をもって生活するのはすごくいい時間でした。塾が終わって離れても、関係が続いているのもありがたいなと思っています。
あまりに居心地がよかった神山オフィス
杉本 神山ものさす塾の後、そのまま神山に残ってモノサスで働くことにしたのはどうしてですか。
久野 最後に「将来どうしますか?」と話して、選択肢のひとつにモノサスもあるという感じでした。実は、静岡のWeb制作会社で働くことを想定していたのですが、神山町に住んでいた運用チームのリーダー・栗原さんと話をする中でモノサスへの気持ちが強まっていき、その流れで神山採用になりました。神山オフィスは、栗原さんや香川さん、浅田さんの雰囲気がとにかく良くて。むしろ神山で良かったと思っています。
杉本 神山オフィスは穏やかで、メンバーの距離感もいい感じですよね。2022年1月から、代々木に移ったのはなぜですか?
久野 もともと栗原さんに、「2〜3年したら代々木を経験してみたいと話していたので、3年経ったタイミングで代々木に行くことになりました。神山はオフィスも含めて、すごくすごく居心地がいいんですよ。一方で「これでいいのかな?」と自分のなかで思うようにもなっていて。「そろそろ変化や刺激があってもいいんじゃないか」と強く思ったのが一番のきっかけだったと思います。代々木に来てからもめちゃくちゃ楽しいです。いろんな人と話したり、仕事をしたりする機会が増えていい刺激をもらっています。
いろんな人と関わりたくて事務局へ
杉本 事務局への参加を打診したのは、久野さんが代々木に来ていろんな人と関わってみたいと言っているという噂を聞きつけたからでした。
久野 2021年の終わりに、中嶋希実さん(事務局メンバー)と話すタイミングがあって。「せっかく代々木に行くなら、今まで関わりがなかった人と接したい」と軽くお伝えしたら、後日「事務局とかどうですか?」と声をかけてもらいました。
新しい刺激や取り組みを欲していたし、いろんな人たちに関われるという期待が大きかったです。希実さんは、最初の相談のときからいろいろ汲み取ってくださる方だなと伝わってきたので、この人がいるなら安心して参加できるなと思いました。
杉本 事務局では、まずは運営管理の部分をお願いして。その後、久野さんから「ものさすサイトでABテストを試したい」と提案してもらって、すごくうれしかったのを覚えています。もうひとつは、メールマガジン『ものさすだより』の創刊で配信設定などを担当していただいて、企画から立ち上げまでをご一緒できたのも楽しかったです。久野さんは、事務局での活動で何が一番印象に残っていますか?
久野 やっぱり、『ものさすだより』ですね。事務局の定例ミーティングのなかで企画が生まれて、杉本さんが原稿、滝田(玲子)さんがデザイン、自分は配信設定、希実さんは全体の統括に立ってくれていて。創刊号の配信間近になると、「何日までに原稿をアップします」「じゃあ、それまでに配信設定をしておきますね」と、すごくテンポよくタイムリーに作業が進みました。普段の仕事では、あそこまでタイムリーに進むことはないし、本当にあのメンバーだったからできたんだなと思っています。
杉本 久野さんが確実な作業をしてくれるので、「自分もがんばろう!」と思えて、私もうれしかったです。
久野 昨年末の事務局のミーティングで、杉本さんは「仕事って、友だちでなくても深い関係になれる。それってすばらしいことだと思う」と言っていましたよね。メルマガ創刊時を振り返って、あの言葉を思い出していたんです。あのときの感覚って、文化祭や音楽発表会の前夜に近いなと思っていて。メルマガ創刊というプロジェクトを通して、事務局メンバーの関係性が築かれていったから、心地よさや一体感を感じられたのかな、と。
杉本 一体感ありましたね!スケジュールを確認して早めに原稿を送ると、久野さんも前倒しで仕上げて戻してくれていいラリーができました。やりとりの感じから、面白がってくれているのが伝わってきて、それもすごくうれしかったです。
久野 自分もメンバーに対する信頼はすごくありました。仕事をするうえで「この人のため」と言うと恩着せがましいのですが、「この人の何かになった」と思えるかどうかは大きいなと思っていて。事務局では、このチームのなかで役割を担えていることにうれしさすらありました。
事務局とクライアント案件、どう両立する?
杉本 ふだんはWebの運用を担うチームチームでディレクターとして仕事をしてきましたよね。クライアント案件と、社内案件としての事務局の仕事を両立することにむずかしさはありましたか?
久野 その兼ね合いはやはりむずかしかったです。本来であれば、どちらも大事な業務のはずですが、事務局メンバーとして関わっている自分と周囲とで、ものさすサイトの業務に対する位置付けが違うように感じられたのが歯痒かったです...。
その気持ちがストッパーになって、事務局で重ねられていた「これから、ものさすサイトをどうしていこうか」という議論に深く入れなかったんですね。ものさすサイトのことを真剣に考えてくれている、希実さんや杉本さんに対して申し訳ない気持ちになってしまうこともありました。
杉本 楽しいなと思う反面、共感してもらえない寂しさを感じたり、いろんな気持ちがあったんですね。仕事量はどうでしたか?
久野 事務局側で、常にメンバーの状況を考えて調整してくれていたのでしんどいと思ったことはなかったです。去年の上半期が終わる頃、希実さんから「役割分担の比重はどうですか?」と聞いてもらう時間もあって、自分のできる範囲でのびのびとやらせてもらっていました。
杉本 事務局での経験は、今後の仕事にも活かせるでしょうか。
久野 今年から、龍田(祥拡)さんのユニットに移ったので、今まで以上にBtoBビジネスにも関わることになりますし、事務局でのコンテンツ制作経験はすごく参考になると感じています。クライアント案件で、外部のライターさんなどにライティングや取材の依頼をするときも、1年前と比べて仕事のやりやすさが全然違うと思います。
ものさすサイトから考えた会社のこと
杉本 ものさすサイトは、モノサスという会社の文化を象徴するものだと捉えています。事務局に入ってみて、改めて会社について考えたことはありましたか?
久野 難しい質問ですね。ひとつ気づいたのは、ものさすサイトへの参加のかたちは「記事を書く」だけではないこと。自分のアクセス解析というスキル、滝田さんのデザイン、松岡(真央)さんの広報の経験など、モノサスのメンバーがそれぞれの強みで貢献できるんだなと思ったんです。それは「人が生かされている」という状態ですよね。人が生かされてこそ、会社が組織として機能するんだと思っていて。各々の強みを持ち寄って、会社や社内の組織に適用していくのが理想だというイメージが浮かぶようになりました。
昨年の事務局は、各拠点や各ビジネスを巻き込んでいくことに注力するなかで、メンバーから記事や企画の提案があがってくるようになったと聞きました。組織に属している人が起点になるものごとが派生して、結果的に会社につながっていく。つまり、人が起点になって動きが生まれる状態ってすごく健全だなと思っています。
自分にとっての会社は、お金を稼いだり自己実現をしたり、やりがいを見出す場所であると同時に、人とのコミュニケーションを図れる場所だなと思うんです。人が自発的に何かを発信して、それが会社に反映されるということを、「人とのコミュニケーションを図る場所」としての会社に照らし合わせたとき、すごく一貫性のあるものだと思っていて。会社の全体像を俯瞰したときに、ものさすサイトは重要な位置にあるなと思いました。
杉本 外部から関わっていて、モノサスは予算的にも位置付け的にも、ものさすサイトをすごく大事にしていると思います。だからこそ責任も感じているし、その価値をメンバーのみなさんと共有する糸口をずっと探しています。事務局に参加しようかなと思う人たちに向けて、ひとことメッセージをお願いします。
久野 自分と同じように、「新しいことに取り組みたい」「関わりのなかった人と接する機会を増やしたい」と思っている人にはすごくいいと思います。ものさすサイトは、自分の強みを会社に還元したい人にとってすごくいい土壌になると思うし、事務局にはなにごとも受け入れてもらえる雰囲気があります。
入社以前のものさすサイトは1日1記事アップが原則だったので、編集部(当時)も大変だったと聞いていたのですが、運用方法の変わった事務局に実際に入ってみるとそんな窮屈な感じは全然なくて。本当にのびのびしていたので、いい意味で期待を裏切られました。あと、事務局メンバーとしての予算もきちんと配分されます。それだけ価値のある仕事だとわかれば、メンバーの意識も少なからず変わっていくのかなと思います。
杉本 私は、いつか「今年の事務局希望者多いけどどうしよう?」と言ってみたいなと思っています(笑)。事務局から離れても、個別のプロジェクトでまた一緒に何かしたいですね。今後ともよろしくお願いします。
久野さん、1年間本当にありがとうございました!
事務局のいろんなプロジェクトで、またワクワクすることをやりましょう。
わたしがものさすサイト事務局に関わりはじめて3年目。
久野さんのように、それぞれの強みで関わってもらい、クライアント案件ではできないチャレンジや実験を、ものさすサイトでやってみる人が増えていくといいなと思う今日この頃です。今年は、よりいろんなメンバーに関わってもらいながら、よりモノサスらしいサイトをつくっていきたいと思っています。モノサスメンバーのみなさん、「話だけ聞いてみたいかも」と思ったら事務局までぜひご連絡ください。