2023年06月26日
身近に新種?ネジバナ
ネジバナは、公園の芝生や道路わきの植え込みなどにも生えている、とても身近なランの仲間です。
ネジバナはそのらせん状につく花が特徴的ですが、ひとつひとつの花も美しい造形をしています。
肉眼だとちょっと厳しいですが、10倍くらいのルーペを使うとけっこうはっきり見ることができます(スマホのカメラにルーペを押し当てれば、即席のマクロ写真も撮れます。百均のルーペでもよいそうなので、おススメです)。
花の美しさもさることながら、個人的には葉も美しいなと思っています。
綺麗な緑色と整った細長い形、まっすぐな葉脈、それに根本に生える少し丸みを帯びた葉もポイントです。
ただ、周りに他の植物が生えていると埋もれて見えないのが惜しいところです。
ところで。
日本では九州以北に分布するネジバナの他に、琉球列島以南のナンゴクネジバナが知られていましたが、今年の3月に新種「ハチジョウネジバナ」が記載されました。
ハチジョウネジバナは庭やベランダからも見つかっているとのことで、こんなに近くにある植物から新種が出てくるとは、なんとも心躍る話ではありませんか。
ネジバナとハチジョウネジバナは分布域が重なっていて、どちらなのかを見分けるには特徴を知る必要があります。
ネジバナは6月以降に開花しますが、ハチジョウネジバナは4月~5月頃。
また外見的には、ネジバナの花茎や子房(花の付け根の緑色の部分。種ができるところ)に毛が生えているのに対して、ハチジョウネジバナは毛がない、ということです。
他にもいろいろと違いがあるようですが、野外で観察する分にはこれで十分そうです。
2020年の記事や今回の写真を見てみると、どれも毛が生えているのでネジバナのようですね。
今年はもう時期が遅いかもしれませんが、ハチジョウネジバナをいちど見てみたいものです。
そしてハチジョウネジバナに続きこの6月にも、宮崎県の限られた場所に生える「オスズネジバナ」が記載されました。
身近な植物で次々と新たなことがわかってきていて、日本の生物多様性の途方もなさを垣間見るようです。
参考
庭やベランダから新種!?最も身近にみられるラン科植物「ネジバナ」の新種を発見 - 神戸大学
Spiranthes hachijoensis (Orchidaceae), a new species within the S. sinensis species complex in Japan, based on morphological, phylogenetic, and ecological evidence - SpringerLink