2023年08月08日
雨が恋しいコフキメダルチイ
ほとんどの方にとって耳に馴染みのない言葉だと思います。
漢字で書くと「粉吹メダル地衣」。
「メダル」とカタカナが入っていることからも想像できるように、最近になって付けられた名前です。
その名のように、木の幹などにメダルのような丸い形を作って生えていることが多い地衣類の仲間です。
地衣類には大気汚染に弱いものが多いのですが、このコフキメダルチイはある程度耐性があるのか、比較的街なかでも見かけることの多い種ではないかなと思います。
よく見かけはするものの、よく似た見た目の他の地衣類もいて、慣れないうちは「これはどっちだろうか...」と頭を悩ませたものです(いまでもときどきわからないものに出くわしますが)。
先日ご紹介した「ロウソクゴケ」よりもだいぶ大きく、直径10cmほどになるものもあります。
普段、乾燥している状態だと白っぽくてあまり目立たないのですが、雨が降って湿った状態になると下の写真のように鮮やかな緑色になります。
地衣類は菌類の中に藻類が共生している生き物です。
乾燥している状態だとくすんだ感じの色をしているものが多いのですが、水分を含むと中にいる藻類の緑色が透けて見えるようになるのだそうです。
代々木オフィスのある渋谷区近辺では今年の梅雨は雨が少なくて、野外で生き物を観察するには厳しい時期でした。
雨が降ると生活は不便なこともありますし、水害になると話はまた別ですが、個人的には雨が待ち遠しくもあります。
参考:大村嘉人『街なかの地衣類ハンドブック』 2016年 文一総合出版