プロジェクト全国100施設以上を運営する医療福祉グループの未来を描く。リブランディングを軸とするサイトリニューアル

Web制作

平成医療福祉グループ

東京や大阪をはじめ、全国に100を超える病院・介護施設・福祉施設などを運営している平成医療福祉グループ。2022年4月、代表交代に伴うリブランディングの一環としてWebサイトリニューアルを行いました。

リブランディングにあたっては、新代表のもとでグループの未来を描く理念を言語化。新理念を実現する5つの指針(以下、アクション)をイラストとキャッチコピーで表現しました。また、リニューアル後も、それぞれのアクションに基づく取り組みをジャーナリスティックに描く「特集記事」を隔月更新しながら運用しています。

Project Info

Period
2022.4 – 2023.12
Client
平成医療福祉グループ
URL
https://hmw.gr.jp/
Service
リブランディング、Webリニューアル

monosus Team

プロジェクトマネジメント:林隆宏、ブランディング・プランニング:奥田一葉(外部メンバー)、リサーチ、ディレクション:香川祐太朗、デザイン・UIデザイン:竹田大純、コーディングディレクション:町山百合香、コーディング:Note, Bird, Ploy, May, Best、チェック:村上伊左夫、川口実、イラスト:原田光(HAKKE)、記事コンテンツ企画・編集:杉本恭子(writin’ room)、写真:生津勝隆(フリーランス)

issue

2022年1月、平成医療福祉グループの新代表に就任した武久敬洋さんは、グループのリブランディングとそれに伴うWebサイトリニューアルを検討していました。前理念「絶対に見捨てない。」が制定されてから約10年が経ち、平成医療福祉グループはこの枠組みを超えた多様な活動を行うようになり、新しい言葉で自分たちの取り組みを表現したいと考えていたのです。

また、同年に徳島・神山町に移り住んだ武久さんは、フードハブ・プロジェクトの創業や神山町関連のWebサイト制作に関わり、また同町にサテライトオフィスを置くモノサスに興味をもったそうです。お問い合わせを受けて前代表・林隆宏が代々木にある同グループ東京本部を訪問。林もまた、平成医療福祉グループの取り組みに共感します。
お互いの信頼関係の構築を経て、新しい理念の制定と同グループのリブランディング、それに基づくグループサイトをリニューアルするプロジェクトがはじまりました。

そんななかリニューアルすることになった採用サイトは、比較的シンプルな構成であったこともあり、新たなことに取り組みやすい状況にありました。制作を進めるに際して「アクセシビリティの向上」をミッションに設定。今後グループ内でアクセシビリティを高めていくためのフラッグシップのような存在になることを目指しました。

plan&output

リブランディングは、リサーチとワークショップというふたつのプロセスを経て進めました。

リサーチには半年をかけて、グループ職員約1700名に対する大規模アンケート調査の設計・実施。入職プロセスにおけるグループサイト利用状況などを職種ごとにリサーチ。Webサイトが訴求メディアとして機能するためにも、「働くイメージをもちやすくする」「具体的な取り組みを伝える」などの方向性が明確になりました。

同時に、神山にて合宿ワークショップを開催。以前の理念「絶対に見捨てない」を、もう一歩進んだコンセプトに進化させるために、平成医療福祉グループが最も大切にしていることを言語化していきました。この合宿とその後の議論を経て、新理念「じぶんを生きるをみんなのものに」をつくりあげていきました。

「じぶんを生きるをみんなのものに」を象徴する一枚として選ばれた写真(撮影:篠原豪太)

リブランディングを経て、新しいグループサイトの方針も定まりました。グループのミッションやビジョンの説明、「じぶんを生きるをみんなのものに」するための取り組みを紐解く特集記事、働き方や働くスタッフの紹介など、グループへの理解をより深めるためのコンテンツを展開するWebサイトへとリニューアルしました。

Webサイトの設計は、「ムードボード」を用いてデザインイメージやコンセプト、議論の内容を視覚的に共有しながら行いました。言葉とイメージを行き来しながら議論を重ね、新理念を象徴する写真の選定、キャッチコピーおよびイラストレーションの制作を進めました。旧サイトに集積されてきた記事コンテンツを精査。働き方や働くスタッフを紹介する記事を系統立てて見せるように再構成しました。

デザインは従来のロゴやデザインのアセットは継承した上で、Webのトーン&マナーを追加。「できるだけ医療"のみ"を想起させない」「柔らかすぎず、シリアスすぎない"素直"なトーン」を目指しました。このトーンを表現するビジュアルとして、施設の外で撮影した写真や服装や表情、方向がバラバラな写真を採用。訪問したユーザーが自分との関係性を考えるきっかけとなり、またグループの活動に賛同する仲間を増やすことを意識してデザインしました。

平成医療福祉グループの「ミッション実現のための5つの指針」を表現するイラストは、トーン&マナーを踏まえて複数のイラストレーターを提案。武久代表の「生命や医療のイメージからあえて離したい」という要望から、ミニマルで抽象度が高く、シンプルながら人の存在を感じさせる作風をもつ、原田光さんを起用するに至りました。

「ミッション実現のための5つの指針」を現したイラストはグラフィックデザイナー・原田光さんに依頼。

また、平成医療福祉グループの取り組みをより立体的に見せるために、アクションに紐づく取り組みに取材し、ジャーナリスティックな記事を制作する「特集記事」を新たに企画。隔月で2〜3本の記事を更新しています。

result

リブランディングとWebサイトリニューアル、合わせて1年8ヶ月の長期プロジェクトでした。プロジェクトに参加した職員のみなさんにとっては、新代表のもとではじまる平成医療福祉グループの未来を確認しあい、共有するプロセスにもなりました。

リニューアルと同時に連載をスタートした「特集記事」は、同グループ職員からも自分たちの取り組みを客観的に評価し、誇りに思うなどの反響があるようです。医療の現場のリアルな取り組みと組み合わせて伝えることにより、「じぶんを生きるをみんなのものに」という理念が、より具体的に伝わるWebサイトになりました。

今後の採用においては、Webサイトを通して理念とアクションに共感し、グループの将来を支える人に応募してほしいという期待があります。今後も、継続して効果測定行いながらチューニングを行なっていく予定です。

member’s voice

武久敬洋(平成医療福祉グループ 代表)

2010年平成医療福祉グループに入職する直前まで、僕の中心は音楽だった。入職して間もなく、音楽と距離を取り、禁煙をして、中古車は新車に、髪型は爽やかになり、Tシャツはスーツになった。業界や先代の価値観をギリギリ逸しないように、「代表の息子」として生きた。 2022年代表交代、入職後ずっと「代表の息子」だった僕が、やっとただの「武久敬洋」になれることが嬉しかった。同年、僕と家族は何かに導かれるように徳島県の神山町に移住した。林さんと出会い、リブランディングをともにしながら、色んなところで色んな人と会って、一緒にたくさんの時間を過ごした。それは僕自身の「自分を生きる」を取り戻す旅でもあった。林さんに出会えてよかったー! 「自分を生きる」ができないって、とってもしんどい。関わる全ての人たちの「自分を生きる」を支えることが僕のライフワークだ。

member’s voice

中塚聡(平成医療福祉グループ 広報)

「リブランディングに着手しよう」と代表から話があった当初、何をどうしていいのか、私にとってはまるで雲をつかむような話でした。その後モノサスさんとの打ち合わせがスタートし、神山町での合宿に参加するまでは、まだちょっと雲をつかんでいたような気がします。 しかし合宿で、今まで整理が難しかったグループの取り組みが整理され、話し合いながら言葉が生まれていく。その一連の流れにモノサスさんの手腕を実感しましたし、私もやっと雲じゃない何かをつかんだ実感がありました。 つかんだ「何か」を生かしながら、ミッションを内外に浸透させていくことが今後のテーマ。これからも相談させてください!

member’s voice

山田直人(平成医療福祉グループ 広報)

今回のプロジェクトのご相談をモノサスさんのお問い合わせフォームに送ったのが、入職して1年ちょっとが経った頃でした。 広報部の体制も色々と変化があり、それまでは様々な足元の課題解決に奔走しておりましたが、今回のプロジェクトを通して、グループの本質や医療・福祉の現場のことへの理解を深めることができました。 モノサスさんの巧みなチームキャスティングと柔軟な伴奏のもと、外からの視点によって、医療っぽくない腹の座ったWebサイトが誕生しました。 今後も色々とご相談にのって頂き、ご一緒できたらと思っています。

member’s voice

林隆宏(モノサス プロジェクトマネジメントを担当)

はじめて平成医療福祉グループのオフィスを訪ねた日のことはいまでも覚えています。 そして、代表の武久さんとふたりでご飯を食べに行った日のことも。波照間島も一緒に行ったし、もちろんワークショップや打合せでもたくさん一緒の時間を過ごしました。 グループのことを考えるとき、不思議とひとつの顔ではなくて、いろんな人たちのいろんな顔が浮かんできてじんわりとします。本来、ブランディングというとひとつの顔に収斂させてゆくことが大事なんですが、どうしても顔がいっぱい出てきちゃうんです。だからそれをそのまま伝えてみたらどうなるか……ということをやってみているし、僕はそれがいいと思っています。そんなことがこの大きなグループでできたら素敵だと思うし、それこそがこのグループの魅力なんだと感じています。 言いたいことがたくさんありすぎて文字数が足りないので、またみんなでご飯にいきましょうね。