2017年11月01日
やりたくないけど避けられない。そんなときに読みたい『徹夜を避けるための徹夜マニュアル』
この記事は徹夜を安全に行うための方法を紹介するものであり、
徹夜を推奨するものではありません。
こんにちは。ディレクターの中川です。
突然ですが、今日は徹夜しないと間に合わないかもしれない、と思ったことはありませんか?
徹夜。誰が聞いても眉をひそめる。そんな単語。個人としても、組織としても、社会としてもいいイメージのない、RPG(ロールプレイングゲーム)で言う闇属性の象徴のような単語。
徹夜した事がある方なら分かると思いますが、基本的にはやらないに越したことはありません。やっても誰もハッピーになりません。リスクも相当高いです。
ただ、本当にやらざるを得ない状況になってしまうことも当然あります。
かくいう私自身も徹夜をしたことはありますが、がむしゃらに徹夜をしても上手くいきませんでした。結論から言ってしまうと、徹夜をした仕事が上手くいったケースは「徹夜を踏まえた正確な予定が立てられて、その通りに進んだとき」です。
自分で言うのも何ですが、私は副社長 永井の長年の指導のお陰もあり工数計算が得意です。それを活かして、徹夜にどんなリスクがあり、何を検討し、どのように進めていいけば、少しでも安全かつ安心した徹夜にできるかを時系列に沿ってご紹介したいと思います。
目次
1. 徹夜の前日までに考える「徹夜のリスク・他の選択肢」
いきなりですが、徹夜を当日の夜に思いつくのは悪手です。
なぜなら、徹夜というのは非常に強力な両刃の剣であり、同時に最後の手段でもあるため、使ってしまったら後戻りはできません。
自身を含む徹夜したメンバーは疲弊し、集中力や判断力が鈍るため生産性も落ちてしまいます。場合によっては翌日丸々休まなければならなくなります。
そのため、まず考えるべきことは「徹夜しなければならないか」ではなく、「どうしたら徹夜をせずに仕事を進められるか」ということです。
遅れた仕事を挽回するには、スケジュールやリソースの調整が必要です。ただ、調整は自分だけでは行うことはできません。上司や営業、お客様に相談しなければならない場合もあるため、調整には多少の時間が必要になるでしょう。それが当日夜になってしまうとその時間が無くなってしまい、徹夜以外の選択肢がなくなってしまうのです。
まずは、選択肢が無くなってしまう前に、他の方法を出来る限り模索しましょう。でも、頭の片隅では「徹夜になってしまったらどうするか」も考えておくのがベストです。
逆に、徹夜をする必要があるなら、「本当に徹夜が必要な日の前日」に徹夜をしておくと、予定を前倒しに出来る可能性が高まるので、そのような選択肢も検討したほうが良いかもしれません。
2. 徹夜の当日に考える「徹夜工数・覚悟」
徹夜が避けられなくなったら、徹夜による「工数」を算出し、覚悟を決めるように心がけています。
まず、徹夜というだけでいつも通りの工数にはなりません。
普段の作業工数を1としたら、徹夜工数は概ね1.3〜1.5倍。疲労や眠気などで条件が悪いと2倍以上になります。1時間で終わる作業が1.5〜2時間、2時間の作業なら3〜4時間掛かることになります。
次に、仮に終電に間に合う時間が23時までだとしたら、23時〜翌朝の始業までに使える時間の中で1時間は休憩、さらに1〜3時間は仮眠(睡眠)に充てる必要があります。
始業時間を10時と想定した場合、23時〜34時(10時)の11時間の中で2〜4時間の休憩や仮眠を取ると、実際に使える工数は7〜9時間/人となります。大体プラス1営業日(8時間)作業する形です。
ただ、ここで忘れてはならないのが最初にお話しした「徹夜工数」です。
通常8時間で出来ることを、徹夜工数=通常の1.3〜2倍で試算すると、以下のようになります。(端数は切り捨て)
- 8時間 ÷ 1.3倍 = 6時間/人 ※生産性25%ダウン
- 8時間 ÷ 1.5倍 = 5時間/人 ※生産性38%ダウン
- 8時間 ÷ 2.0倍 = 4時間/人 ※生産性50%ダウン
このように、徹夜工数を加味して考えると、普段の工数に対してどれだけ生産性が悪いかがよく分かると思います。一人辺りこれだけの工数になってしまうと、もしかしたら徹夜しても作業が終わらないかもしれません。ただ、この時点で焦っても最早どうにもならないので、万一の覚悟はしつつも焦らず丁寧に作業することを心がけた方が、良い結果になる可能性が高いです。
工数が計算できれば、徹夜でのおおよその作業の進捗がわかります。
それらを踏まえ、上長・営業・メンバー、場合によってはクライアントに相談・交渉した上で徹夜に臨むようにしています。
3. 徹夜の最中に考える「休憩・モチベーション・報連相」
いざ徹夜での作業を始めますが、まず気を付けなければならないのが「眠気」です。眠気は生産性を落とすだけではなく、作業ミスを誘発するなど大きな危険をはらんでいます。
眠くなってきたら無理して作業を行わず、15分くらい仮眠を取るように心がけています。
この時大切なのが「眠れなくても目を閉じて15分は休憩する」ことです。以前祖母から教わったのですが「眠れないからといって起きて何かしてはいけない。横になって目を閉じているだけでも大分違うから」ということでした。
メールや周りの作業が気になるかもしれませんが、そこは音楽でシャットアウトするなどして、15分間はきちんと休憩に充てることが大切です。もし、15分仮眠しても眠気がひどいようであれば、もう15分仮眠を取るといいです。
次に気を付けなければならないのが「モチベーション」です。夜を徹して作業しなければならないため、メンバーのモチベーションは非常に下がりやすい状態になっています。
そのため、まずは徹夜の作業によるゴールを明確にして「ここまでやれば今日は終わり!」という目標を全員で共有することが大切です。
他にも(眠くならないような)音楽を流して、部屋の中の雰囲気が暗くならないようにしたり、メンバーに声がけをしたりして、モチベーションが下がらないような雰囲気を作り出せると、生産性が下がりにくいです。
最後に気を付けなければならないのが「報連相」です。
報連相は普段から大切ですが、徹夜となるとメンバーも疲れているため、いつもは当たり前にできていることができなくなることもあります。
そうなると、作業が重複してしまったりデグレード(先祖返り)してしまう恐れがあるので、徹夜の際は普段より報連相をマメに取るようにすると、些細な作業ミスやオペレーションミスを減らすことができます。
報連相で、具体的に気を付けるべきことをまとめると...
- 今、自分が何の作業をしているかを他のメンバーに伝える
- 作業が完了したら他のメンバーに伝える
- 次に自分が何の作業をするかを他のメンバーに伝える
これらが凄く大切で、疲れているからといって上記を怠ってしまうと、いとも簡単にミスが発生します。実際、過去に何度も上記の連絡不足による作業の重複などが発生してしまい、無駄な工数を割いてしまったことがあります。
4. 徹夜が明けて考える「感謝・翌日の仕事の仕方」
徹夜が明けて、作業が終わったらメンバー全員に感謝するようにしています。
例え徹夜の原因が何であろうとも、誰かひとりでも欠けていれば翌朝の結果になることはなかったはずです。また、徹夜は辛いことですが、それを「辛かった」という思い出のみにしないためにも、一緒に頑張ってくれたメンバーに感謝を伝えることが大切です。
徹夜が終わったら、始発で帰る人やそのまま翌日の業務に入る人もいると思いますが、徹夜の翌日は驚くほど生産性が下がります。それも当然で、徹夜は「翌日の作業を前日夜に前倒している」状態です。なので、場合によっては、翌日のスケジュールをあらかじめ調整しておく必要があります。
「それじゃあ徹夜した意味がないじゃないか」と思うかもしれませんが、プロジェクトメンバーの誰かがダウンしてしまっては元も子もないので、まずはメンバーと自分の体調を最優先に考えるように心がけています。
5. 徹夜の翌日に考える「振り返り」
さて、徹夜も無事に過ぎ、メンバーの体調も元通りになったら考えなければならないのは「次に同じことを起こさないためにはどうするか」ということです。
今回の徹夜は何が原因で起きて、次に同じことが起こったらどのようにして徹夜を回避したオペレーション・スケジューリングが出来るかを考えなければ、また同じことが起こってしまいます。
これは誰かひとりだけが考えなければならないものではなく、関わったメンバー全員で考える必要があります。「誰々の所為で徹夜になった」と考えている限りは、また徹夜が発生してしまうでしょう。プロジェクトの中で徹夜が発生してしまった時点で、誰の責任でもなく、全員の責任でもあります。「徹夜を回避するために自分には何ができるか」を考え、メンバー全員で共有することで徹夜のリスクはグッと減らせるでしょう。
しないに越したことはない
いかがでしょうか。
徹夜というと何となく全員が黙々と作業しているイメージがありますが、実際はこのくらいやらなければならないことは多く、非常にハイリスク・ローリターンな手段です。
やはり徹夜はしないに越したことはありません。闇属性なのは変わらないです。
ただ、どうしても徹夜になってしまいそうな時は、この記事を読んで、次は徹夜をしなくても良いような形で役立てて頂ければ幸いです。