2018年03月20日
Thailand LGBT EXPO 2018
へ行ってきました
こんにちは。モノサスタイランドの瀧塚です。
最近、ものさす記事でも取り上げられる LGBT について、ここタイからも情報を発信しようと思います!ご存知の方も多くいらっしゃるかと思いますが、タイでは LGBT の人たちがそこかしこで当たり前に生活をおくっています。ふらっと入ったカフェの美人な店員さんの声が低くて驚いたり、デパートの化粧品売り場では美しくメイクをしたニューハーフの人やゲイの人たちが楽しそうに美に対するこだわりを語りながらセールスをしていたり。日本との違いを感じることが多いです。
今回は、そんなタイで開催された LGBT を盛り上げるイベント「 Thailand LGBT EXPO 2018 」 へ行ってきました」の様子をお伝えしたいと思います。
そもそもタイにおける性別とは
タイの田舎は別ですが、わたしの生活しているバンコクではあらゆる所で多種多様な性別の人が暮らしています。またそういう人たちが集まる界隈もあり連日賑わっているのです。日本でも取り上げられたことがあるのは、タイでは性別が18種類もある!ということ。これは性的指向と性自認両方を合わせた数だと思いますが、性的指向が女なのか男なのか、性自認がどちらなのか…などと難しく考える必要がないくらいにタイは性的な自由度が高いと言えますし恋愛模様も多種多様です。
また、それを受け入れる国民性があります。タイは美容整形も盛んですしね。「幸せを感じる」ということに対してストイックなほどを追い求めているように私の目には映ります。また昨今では綺麗なタレントが男性から女性になったり、女性から男性になって人気者になったりと、そういう変化が市民権を得て、そんな姿に憧れる人々がファッション感覚で性別を切り替えることなども珍しくないと思います(だいたいの人はコワイので手術まではしませんが)。
またこうしたタイの自由度にあこがれて、日本ではイン・ザ・クローゼット(性的指向を隠している状態の暗喩)だった LGBT の人たちがありのままの自分の姿で暮すために、日本からはるばるやって来ています。やはりタイは暮らしやすいですし、また恋人も断然できやすいですから。悩みを分かち合える友人と出会って、これまで自分だけで悩んでいたことが解決できたということも少なくありません。
ただ、それにともなうトラブルもないわけではありません。ノーマルの人たちから見ればやはり変わっていることに違いはないため、心無い言葉を浴びせられたり、大喧嘩をして怪我をしたり、親とうまくいかなかったり…。また同族嫌悪のようないざこざもありますし、単純に恋愛トラブルなんかもあります。タイでは HIV感染も相変わらず深刻な問題です。
Thailand LGBT EXPO 2018へ潜入!
そんな中、タイの LGBT 団体 Bangkok Rainbow が主体となって行うエキスポが1月に行われました。タイの LGBT の知名度を上げ、人権を守り、また自分たちを盛り上げようというコンセプトのもと、LGBT フレンドリーな製品や住宅、ファッション、ジュエリー、健康、美容、旅行パッケージ、ホテル、スパの紹介を行うイベントとのこと。現地の広告には小さく載っていて、あまり大々的に宣伝はしていませんでした。なので会場は大きいものの、実際のところどうなんだろう…と気になり、行ってみることにしました。
会場に到着
エキスポ開催中の日曜日、友人たち5人でタクシーで会場に向かいました。
会場はバンコク首都圏の北に位置していてタクシーで約1時間。高速道路を使いさらに空港の向こうにあります。
いつも通り荒い運転ですっ飛ばすタクシーから降りて入場口に向かいます。
頭上には LGBT の看板が掲げられ、大賑わい!
…かと思ったらそうでもなく、人がパラパラとまばらにいます。なんと歩きやすい会場でしょう。会場に入ってはじめに目についたのは、下着(男女もの)屋さんでした。でもデパートと一緒な感じ…下着を買っている人も見かけません。
大盛り上がりの Mr.ゲイワールド inThailand
奥に進むとステージが見えてきました。
事前に調べたところ、タイの全土から選ばれたゲイの皆様方が自分たちの魅力を存分に世間に知らしめようと自らの体を武器に熱く競い合う大会があるとの情報を得ていました。
そう、今回このステージで、 Mr.ゲイワールド inThailand (以下 ミスゲイ)が行われるわけです!なのですが…音楽はガンガンかかっているものの、やはり舞台は思ったよりも小ぶり。
会場を盛り上げるため、はじめにワイシャツ+パンツのお兄さん達が悩ましいダンスを踊っていました。
とりあえず、ミスゲイ(略)コンテストの時間まで余裕があるということで会場内にあるフードコートへいってクイッティアオ(タイ麺)やカオソイ(タイ北部の麺)、ローズティー(バラの香りのするお茶)などを食べました。クイッティアオは辛くするのがおいしい!屋台と同じくらいリーズナブルな価格でわりと本気で食事をしました。お腹がいっぱいになったその後は会場をブラブラしました。
ホテルのスパ・プロモーションや携帯電話の販売、なぜかユニセフが2か所あり署名を求められました。そのほかはあまり印象に残っていません。
うーーーーむ、ちょっと期待はずれだったかも…?
と思ったそのとき、爆音とともに会場がにわかにヒートアップしてきました。
ミスゲイコンテストがはじまったのです。
いそいで舞台のまわりに集まり始める来場者。はじめに、本当に元男性なのかと思うほどのおねえさんたちが美しい踊りを披露してくれました。
提供は「ミス・レディーボーイ協会」です。
美しいですねーかわいいですね。
ノーマルを気取っている男性陣でも、彼女らなら別枠…となるかもしれません。
もし彼女らでも「いや、でももともと男だし!」と頑なになる方がいたら、それはもうなんというか現実が見えていない頭でっかちという感じですね。
さてそしてお次は本命のミスゲイコンテスト。
各県からより抜かれた、「かっこいいだけじゃダメ、頭も良くないとね!」という厳しい(?)選考を勝ち抜いてきた方々が、おのおの伝統的な衣装を身にまとって現れました。中にはなぞのパッタイ(タイ風やきそば)衣装を着て現れた方もいらっしゃいました。タイの文化を知るいい機会かもしれません(でも説明はタイ語オンリーで早いのでうっすらとしかわかりませんでした)。
司会は、タイのテレビ番組でもコメンテーターとして活躍している方で(名前を失念)、日本のマツコ・デラックスのような方ですね。
そして一人ずつ舞台上を歩くのですが、可愛らしくはにかむ王子気質で人気の彼が歩くと湧き上がる歓声!
なんかすごい…。
でもなんか…全体的にみるとみんなすごくかっこいい!というよりも正直普通なのでは!?と思い友人にそれとなく聞いてみると
「まあ、顔が良いとたいていは中身はちょっと軽かったりするからね。」
という答えが返ってきました。大ヒットドラマ『プリズン・ブレイク』で主演のウェントワースミラーは頭もいいしかっこいいよ…
とも言えず。タイではそうなのかな、と自分を納得させました。
LGBTがふつうの存在になっていくこと
そしてひととおり民族衣装でのコンテストを見終えましたが、
うーむ、ちょっと期待していたものと違ったかも…。
なんというか、健全すぎると思いました。
自分自身、偏見のかたまりだというのは百も承知ですが、もっと自由であけすけで、はっちゃけてギリギリな LGBT の姿を見たかった。というのが正直な感想です。
でもきっと、LGBT が社会的に認められるようになってくればくるほど、社会にとって当たり前にいる隣人かのような存在として受け入れられ、また自分たちも自身の性のことで不必要に悩んだり社会と葛藤したりする必要がなくなり、そのほかのこと(たとえば自分のしたい生活や仕事)に集中することで、より自分のための人生を送ることができるようになっていくのだろうと思います。
タイの LGBT にはまだまだパワーがあります。
LGBT としてのプライドを持った人達がたくさんいます。
強烈な個性を武器にして踊り、人々を魅了し、恋をしています。
また機会があれば、今度はもっともーっとディープな LGBT タイ事情をご紹介したいと思います!