2018年06月22日
まだ買ってない本を、紹介してみる。
〜モノサスの「読書会」#24〜
しっとり雨の季節ですね。梅雨はちょっぴり憂鬱になりますが、雨の日は静かに読書を楽しむにはピッタリ。家にこもりがちな季節だからこそ、ふだん読まない本を手にとってみるのもよさそうです。
今月の読書会のテーマは「買おうと思っていて、まだ買ってない本」。小雨がちな昼下がり、仕事の合間にちょっとひと息がてら、4名のメンバーが集まりました。まだ買ってない本なので、今日は手元に本はありません。さて、どんな読書会になることやら…。
ひとり5分間で本を紹介します。いつもとひと味ちがう読書会、スタートです。
今回紹介する本
- 商店建築社(編集)『Clinic & Pharmacy Design』商店建築社
- ルドミラ・ゼーマン(著)『ギルガメシュ王ものがたり』岩波書店
- マッテオ・モッテルリーニ(著)『経済は感情で動く : はじめての行動経済学』紀伊國屋書店
- アーネ・リンドクウィスト(著)『あなた自身の社会―スウェーデンの中学教科書』新評論
病院こそオシャレに。ココロを健康にする建築。
商店建築社(編集)『Clinic & Pharmacy Design』
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紹介者:乾 椰湖
えっと、本が無いので(笑)...iPhoneの画面を見せながら話しましょうか。
病院と薬局の建築を紹介している『Clinic & Pharmacy Design』という本です。建築系の月刊誌『商店建築』を出してる出版社が編集した特別版みたいなものかな。
3〜4年前にTSUTAYAで見つけて、カッコいいなぁと。欲しかったけど、なかなか良いお値段で手が出ず...調べてみたらこれは第二弾で、『Dental Clinic Design』という歯医者さんの建築特集が第一弾。これも更にお高くて、どちらもまだ買えてません(笑)。
とにかく、病院とは思えないくらいオシャレ。紹介文に「クリニックは治療するだけじゃなく患者さんの心を健康にする場」という言葉があって、なるほどと。今、月イチで歯医者さんに通ってるんですけど、クリニックのデザインと居心地が良かったのも決め手でした。
設計者、デザイナー、院長さんなどのインタビューも載ってるみたいで興味あります。できれば2冊とも買いたいですね。価格がネックだけど...絶版にならないようにハラハラしながら機会を狙ってます。
- 村上
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以前から建築に興味あったんですか?
- 乾
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専門的じゃないんですけど、ビルとか柱とか、建物ってカッコいいなぁと。
- 羽賀
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自分の地元の古い歯医者さんも、最近超オシャレになって。居心地がめっちゃ良くなりました。
- 乾
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居心地大事ですよね。私、歯医者さんの診察イスが大好きなんです。広くて水道も照明も付いてて、ここである程度生活できるなと。欲しいと思って調べたら、200万ぐらいしました(笑)。
紀元前の王を描いた、最古の叙事詩。
ルドミラ・ゼーマン(著)『ギルガメシュ王ものがたり』
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紹介者:村上 伊左夫
以前の読書会で、齋藤孝さんの『読書力』を紹介したんですが、その本に齋藤さんおすすめの本がたくさん載っていて、この『ギルガメシュ王ものがたり』も紹介されてたんです。
ギルガメシュ王は、紀元前、古代メソポタミア・シュメール初期王朝時代の伝説的な王で、世界史やってた人は知ってるのかな。自分は、某ロールプレイングゲームに出てきたキャラクターで名前を知ってる程度でした。
その王が登場する『ギルガメシュ叙事詩』というのが、現存する世界最古の叙事詩といわれていて、ギルガメシュ王が不死を求めたり様々な冒険をしながら、人間らしさを学んでいくみたいな...まだ読んでないのでわからないですが。
原文を翻訳した文庫もあるみたいですけど、ちょっとハードルが高いなと。絵本だったら内容も要約されてるし、話もわかりやすいんじゃないかなと思って。いつか読みたいと思いつつ、カートに入れっぱなしのまま今日に至りました(笑)。
シリーズで3冊ほどあるみたいなので、せっかく読むなら全巻そろえたいですね。
- 羽賀
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古代文明...ちょっとエジプトとも近いのかな。
- 村上
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古代メソポタミアは、現在のイラク、チグリス・ユーフラテス河のあたりです。石碑に刻まれた楔形文字なども有名ですね。
- 乾
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絵が結構リアル、ちょっと怖いかも(笑)。小さい頃は怖い絵がダメだったけど、大人になってみると面白そうですよね。
- 村上
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確かにちょっと暗い絵かもしれませんね。絵本なので、齋藤孝さん的には子ども向けのセレクトだったような気もしますが。
僕たちは、気づかぬうちに動かされている。
マッテオ・モッテルリーニ(著)『経済は感情で動く : はじめての行動経済学』
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紹介者:羽賀 敬祐
みなさん「行動経済学」って知ってますか? 僕もまだ詳しくは知らないんですが、面白そうだなと思ってて、この『経済は感情で動く』を読んでみようと思ってます。
従来の経済学では、「人間は合理的かつ功利的な判断のもと行動する」という考えが前提なんですけど、それってホント?必ずしも合理的じゃないのでは?と投げかけるのが行動経済学です。自分自身、何かを合理的に決めてるつもりでも、よく考えるとそうじゃないかも...と思うことがあって。
行動経済学に基づき人間の心理をうまく利用して、それとなく良い方向へ誘導する「nudge(ナッジ)」という理論があるんですが、これを用いた海外での事例をあげると...
男性用トイレが汚すぎて清掃コストがすごく掛かってたケースで、便器の内部にハエのシールを貼ると、そこを目がけて用を足すようになり掃除コストがグンと下がったとか。臓器提供の意思確認で、デフォルトで「はい」にチェックを付けておくことで、わざわざ「いいえ」を選ぶ人が減って、希望者が大幅にアップしたとか。
すごく面白いなと思う反面、自分も気づかない内に動かされてるのかも?と思うと、なんかちょっと口惜しいような(笑)。本を読んで理解しておくことで、それを踏まえたうえで「自分の選択」ができるようになるといいなと思ってます。
- 乾
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すでに読んでるみたいな紹介でしたね、すごい(笑)。
- 羽賀
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あと、『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』という本も気になってます。マンガなのでよりわかりやすいかも。結構いろいろ出てますね。
- 村上
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レストランとかでも、一番買ってほしいメニューの上に、わざと高い価格帯を設定するとか聞きますよね。
- 羽賀
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高い・安いの2択だと人は安い方を選びがちだけど、3択になると真ん中の価格帯を選ぶという。こういうのって悪用もできるので、引っかからないようにしたいです(笑)。
答えをみちびくのは、自分自身。
アーネ リンドクウィスト(著)『あなた自身の社会―スウェーデンの中学教科書』
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紹介者:立脇 あゆみ
私、昔は保育士になりたいと思ってて、自然教育とかに興味があったんです。で、海外の教育事情とかいろいろ調べていた時期があって、そのなかで出会ったのが、この『あなた自身の社会』。スウェーデンの中学2年生用の教科書を翻訳した本です。
いわゆる「公民」の教科書に近いのかもしれませんが、日本だと暗記がベースだと思うんですけど、この本は「自分」が主体となって、自分のなかの正解を導き出すことを大切にしていると。すごく感情豊かに学んでいく姿勢というか、そのあたりがすごく評価されていて、ちゃんと読んでみたいなぁと思ってます。
北欧は学力が高いことでも有名ですが、スウェーデンでは「落第=悪」じゃなくて、むしろ「いいこと」と認識されてるそうなんです。理解せずに進むことの方が恥ずかしいと。日本だと、テストの点が悪い=失敗、となるけど、自分が理解して、自分のスピードで進んでいけることこそ「成功」なんだという。16歳までは学力テストも無いらしくて、そういう勉強の仕方もいいなぁと。
恋愛、結婚、法律...答えがないことに対して、自分がどう思うか、そこから正解が見えてくるという本。今度こそちゃんとポチって、しっかり読んでみようと思います。
- 羽賀
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学生時代のテストって暗記で点を取れたけど、ちゃんと理解してなかったかも。
- 村上
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北欧は考える力を育てる教育が盛んなんでしょうね。ノーベル賞もスウェーデンだし。
- 羽賀
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自分で答えを見つけさせるというか...徳島の TOEC も近いのかな。
- 館脇
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黒柳徹子さんの『窓際のトットちゃん』に出てくるトモエ学園も似てるかも。自分がやりたいことを勉強する学校...いいですよね。
読書会をおえて
まだ買ってない本を語り合うという初の試み。オシャレな病院建築、紀元前の古代叙事詩の絵本、行動経済学の秘密にスウェーデンの教育について。読んでないからこそ本への思いがふくらむ1冊が集まりました。たまには、こういう読書会もいいですね。
次回はどんなテーマになることやら。それでは、また!