提案を具体化するために必要な情報となる「課題と要望」をまとめていきます。
課題を整理する
今、担当者が抱いていたり、社内で共有されている課題をまとめていきます。
サイトを調査するで、3種類のサイト(自社・競合・ベンチマーク)の調査について解説をしました。ここで行なった調査結果を基にまとめるのも効果的です。事実に勝る情報はありません。
課題を解決していくうえで、一番のボトルネックは、「課題が分からないこと」「明確でないこと」です。課題さえ分かれば、その課題を分析し、解決策を考えていけばいいだけです。きっちりと課題をまとめていきましょう。
課題をまとめていく時に押さえておきたいポイントを紹介します。
- 課題は明確に書く。ゴールも描く。しかし、施策までは必要ない。
ということです。どういうことか説明します。
課題解決のアプローチは、課題に対して、施策を行ない、ゴール(得たい成果を得る)に到達するという流れになります。
「課題」「施策」「ゴール」の3つの要素があるわけです。
この中の「施策」は、RFPへの記載は不要です。
施策というのは、課題を解決し、ゴールに到達するための具体策です。これは、制作会社が考え、提案すべきもので、その制作会社のこれまでの経験や知見が活きるところです。
具体的に施策を書いてしまうと、それが要件化してしまいます。制作会社からすると、いくらいい案があっても、要件を曲げてまで他の案を出しにくくなります。具体的に実現したい案が社内にあったとしても、RFPには書かない方がいいでしょう。提案の中にその案がなかったとしても、プロジェクトの中で、制作会社案と社内案を基に議論をしながら、調整をしていけばいいのです。このプロセスは、サイトのクオリティを高めていくために、非常に有効です。
では、サイト構造に課題があるケースを例に、書き方を紹介します。
【課題】
- サイト構造が複雑で分かりにくい
【状況】
- 情報のグループ分けができておらず、階層構造が分かりにくい
- 階層が深くなっており、情報に辿り着きにくい
- リニューアルから5年が経ち、運用の中でつぎはぎだらけの状態になっている
- サイト管理者にとっても、情報の格納場所に迷う構造になっている
【ゴール】
- ストレスなくスムーズに、知りたい情報に辿りけるようにしたい
- 運用の中で、情報の追加・更新がしやすい拡張性のある構造にしたい
1つの課題あたりの記載ボリュームは、これだけあれば十分です。ここから、制作会社が独自の分析をしたり、施策を考えたりすることになります。
課題という杭をしっかりと打ちこみ、ゴールという方角さえ示せれば、施策は自由度を持たせるのがいいでしょう。
要望を整理する
次に要望を整理していきます。
実装機能
サイト内に実装したい機能をまとめていきます。
記入例を紹介します。
- CMS
- スピーディな情報発信のためにニュースにCMSを実装する
- その他のコンテンツで、CMSの実装が望ましい場合は、ご提案ください
- 検索システム
- サイト全体を検索できるシステムを実装する
- 望ましい検索システムをご提案ください
- 問い合わせフォーム
- 問い合わせフォームを実装する
- 現サイトで実装している(システム名)を採用予定
このように端的に書いていくといいでしょう。システムの指定がある場合は、それも記載してください。
予算と実装機能のバランスがとれていないと、実現できない可能性があるので、実装機能を前提に予算化をしておくようにしましょう。
デザイン
次にデザインの要望について、まとめていきます。
- ロゴ
- 現在のものを使うか?別のものを使う場合は、その指定をする
- デザインの方向性
- 目指しているデザインの方向性をまとめる
- デザインの参考サイト
- イメージと合うデザインのサイトがある場合は、URLを記載する
- イメージに合う理由を端的に書いておくと、より伝わりやすい
- 参考サイトがなければ、無理に記載する必要はない
デザインは、言葉で説明したり、認識合わせをしたりするのが難しいものです。特に「デザインの方向性」で迷われる場合もあると思います。その場合は、制作会社との打ち合わせを行ない、その場に委ねるのも一つの手です。
逆に、「デザインコンセプト」「トーン&マナー」「カラー」「フォント」など、明確に指定される場合がありますが、RFPの段階では避けた方がいいでしょう。課題に対する施策と同じく、自由度を持たせておいた方が提案のクオリティが高まります。
経営環境をまとめる
リニューアルサイトに関わる経営環境をまとめておきましょう。内部環境は自社を、外部環境は競合企業をまとめるといいでしょう。
- 内部環境(自社)
- 自社の強み
- 製品・サービスのUSP(独自固有の長所)
- リニューアルサイトに関わるトピック
- 外部環境(競合企業)
- 競合サイトのURLをリストアップ
- 3社程度が妥当
- 「自社と比較されることが多い」「急速に業績を伸ばしている」といった簡単な特徴や状況を加える
自社の説明のボリュームは多くなくても大丈夫です。1文や1センテンスの箇条書き形式でまとめるだけで十分です。制作会社にとっては貴重な情報になります。
まとめ
制作会社と認識を共有し、自社が意図するいい提案を引き出すことが、RFPの目的です。ここで紹介した内容は、制作会社が提案を具体化するために役立つ情報です。RFPのクオリティを高めるために重要な情報になりますので、しっかりとまとめていきましょう。