2016年06月17日
手を抜かず、いつもシンプルに。
トップコーダー・菅野 慎の流儀
コーディングファクトリーの筆頭コーダーとして第一線で活躍する菅野慎。
右も左も分からなかった私を、社会人として、そしてコーダーとして育て上げた師匠でもある。
今回は、弟子の丸山から菅野の魅力についてご紹介したい。
コーダー・菅野慎としてのはじまり
宮城県仙台市出身、30歳。モノサスに入社して6年目。
大学卒業後、しばらくは営業として働いていたが、手に職をつけたいという気持ちと、手先が器用ではないけれどモノづくりが好きだという気持ち、「ソフトウェアなら自分でもこの世界に入っていけそうだ」という思いがあって、職業訓練校でコーディングを学んだそうだ。
このとき「やはり自分にはエンジニアが性に合う」ということで、コーダーに絞って職を探していたところ、とある大規模開発で人を募集していたコーディングファクトリーと出会うこととなった。
1案件のみの短期バイトとして入社したが、素質と腕を見込まれ、引き続きモノサスで働くことになった。
このときに出会った上司や同僚がモンスター級のコーダー・菅野を作り上げるきっかけとなる。
募集のあった案件が終了した後、中川が率いる班に配属された。中川といえばメンバー紹介の記事でもあったように少しのミスも許さない精確無比なコーディングを行う人物である。その中川から教わったコーディングの血脈は菅野にも根付いている。実際、彼のコーディングも精確で無駄がない。
その後、菅野は伊藤の率いる班に配属されることとなった。このときに伊藤の下でエンジニアリングやコーダーとしての考え方などを学んだことも、菅野のコーディングのベースになっているようだ。
菅野と伊藤、キャリアなどは異なるが、実はほぼ同期である。
そのため、とても仲が良く、側から見るとまるで「親戚のおじさんと甥っ子」や「歳の離れた兄と弟」のように見える。
今はCFの筆頭コーダーとして皆に頼られる存在となっているのであまり見る機会は少ないが、以前は「伊藤さん、伊藤さん!こんなの作ってみたんですけど」とニコニコしながら見せに行き、伊藤も嬉しそうに実装されたものを見てアドバイスをするという微笑ましい光景があった。
菅野と私の出会い
私が菅野のことを詳しく知ることとなるのは、菅野班に配属されてからのことだ。
初めは、「質問すると詳しく答えてくれる優しい先輩だな」という印象を持った。
しかし、私のデビュー案件となる(はずだった)仕事で大失敗をしてしまったときに、それだけではない印象を持つこととなる。
当時、早く一人前になりたいという気持ちが高まっていた私は、作業内容の見積もりも甘いまま「出来ます!やらせてください!」と申し出てしまった。
結局その案件は私自身の力では完遂することが出来ず、伊藤や菅野に引き継いでなんとか納品することが出来た。
伊藤が引き継いだときに、菅野自身も後輩の失態に責任を感じていたのだろう。彼自身も別の仕事を持っていたにもかかわらず、引き継ぎを申し出て、初めての失敗にどうすることもできず影を潜ませ逃げ出そうとしていた私を「責任感を持って仕事をしなさい」と説きながら叱ってくれた。
当時は怒ると怖い先輩だと思い、しばらくはビクビクしていたが、あのとき叱ってくれたからこそ今の自分がいるので本当に感謝している。
また、案件が終わったあとに、
「やりたいと思って挑戦したことは評価するよ。でも、(技術的な)確証もないのに引き受けちゃダメ」
と挑戦したことを評価しつつアドバイスをしてくれた。
当たり前な言葉かも知れないが、この言葉が私の仕事の、そしてエンジニア人生のベースとなっている。
だからこそ、彼のテクニックや仕事のスタイルを出来るだけ真似したり、技術的なことを貪欲に取り入れたりするようになった。
優しいだけでなく、後輩の挑戦を認めつつ悪い部分はしっかりと叱る。そして、後輩が困っていたら手を差し伸べてくれる... 本当に彼が私の師匠で良かったと心から思う。
菅野の流儀
シンプルに、コンパクトに
彼がコーディングを行うときに常に心がけている考えだ。
この考えこそが、精確で無駄のないソースコードを生む。
具体的には、出来る限りソースコードが複雑にならないようにして、パーツを使いまわせるように全体把握をしながらコーディングをする。当たり前のことのようではあるが、これが意外と難しい。
だからこそ、菅野の納品したWebサイトのソースコードが使いやすいとお客さんが喜んで感謝したり、コーディングに悩んでいるコーダーが菅野のソースコードを見て悩みを解決し、前進出来るようになるのだろう。
そして、シンプルさやコンパクトさはコーディングのみでなく、仕事環境にも反映されている。
まず、デスクに無駄なものが置かれていないし、PC自体はWindowsにもかかわらず、愛用のキーボードは無駄なキーのないシンプルなMacのキーボードである。
また、出勤スタイルもシンプルだ。
お客さんとの打ち合わせのときを除き、ほぼ、カバンを持って出社している姿を見たことがない。スティーブ・ジョブズ並みのシンプルなスタイルである。
やるからには、手を抜かない
先月、菅野が社内MVPを受賞した。
普段は社内行事にあまり積極的なほうではない彼だが、社内のお花見委員に決まった際には「委員になったからには、手を抜かず徹底的にやります」と言ったそうだ。
今回の社内行事もそうだが、仕事やコーディングも決して手を抜かない。徹底的にこだわる。
中川の下で教育を受けていたときも、自身のコーディングスタイルを確立するため、まず中川の一挙手一投足を徹底的に真似したそうだ。
コーディングスニペットやクラス名のつけ方からはじまり、キー入力の指の動かし方まで観察して、中川から「気持ち悪ッ」と言われるくらいまで徹底的に真似した。
癒しの存在 こてつ君
徹底した仕事ぶりの彼だが、プライベートでは癒しの存在がいる。
それが愛犬のこてつ君。
元々は彼女の連れ犬とのことだが、普段の姿からは想像できないくらい溺愛し、可愛がっているそうだ。
確かに思い返すと、こてつ君の元気がないときは彼もなんとなく元気がなく、こてつ君が元気になるとご機嫌で仕事をしているような...気がする。
お洋服などは着せているのかと尋ねたところ、着せていないという答えが返ってきた。
「やはり、シンプルな姿が一番」とのことだ。
どこまでもシンプルさを徹底していてすごい!
これからの菅野
菅野にどんな人物になりたいかインタビューを行ったところ、
「有名にはなりたいという気持ちはなく、どちらかというと自身が自分の出来栄えに満足できればそれで良い」
という言葉が返ってきた。
「有名になりたくない」と聞くと、人によっては向上心がないのかと勘繰る人もいるだろう。
しかし、彼は違う。
「できないことを減らしたい」「自分の力不足でできないことがあると悔しい」という気持ちがあり、どんな要望が来ても「余裕だよ!」と言えるコーダーになりたいと日々努力している。
最近また「第2次コーディングブーム」が彼の中でキテいて、コーディングが楽しくてしょうがないらしい。実際、傍で見ていて彼のコーディング力がまたどんどんビルドアップしているのを肌で感じる。
うん...、師匠の背中に追いつくのはまだまだ時間がかかりそうだ。