2017年09月25日
居心地のよい場を自分たちでつくる。
会社をカスタマイズする「アプリ」
「会社の環境や制度が、もっとこうだったらな…」
会社勤めをしていたら、大なり小なり、ふと思うことは誰でもあるのではないでしょうか?
会社では仕事をすることがもちろん第一ではありますが、会社での過ごし方や会社の持つ制度も重要な要素です。モノサスでは、この春から会社で過ごす、もしくは社内メンバーと過ごす時間や社内制度を充実させる活動を「アプリ」と定義することにしました。
モノサスの「アプリ」って何?
アプリは普通、パソコンやスマートフォンのOSにインストールして、OS上で動いてさまざまな作業を行うソフトのことを呼びますが、モノサスの「アプリ」とは、会社が制定する基本的なルールをOSと考え、社内での活動を便利に、楽しくしていく活動のことを言います。
現在、アプリは「公式アプリ」、「公認アプリ」、「勝手アプリ」の大きく3種類に区分されます。
運営 | 工数・費用 | 起動中のもの | |
公式アプリ |
会社が用意するアプリ。 基本的に役員会や本部が運営。 内容によっては委員をアサイン。 社内全員が利用可能なものであること。 |
委員は業務として行う。 費用は会社負担。 |
・おかん ・おとん ・バディランチ ・パンの日 ・社員旅行 |
公認アプリ |
会社が公認するアプリ。 提案者が内容を代表に提案して、 承認をもらえれば 委員会が発足して制度を作る。 基本的には社内メンバー 全員が利用可能なものであること。 |
委員の主体的な活動。 費用は内容によって 会社の負担割合を決定。 |
・図書委員 ・お花見 ・梅酒部 ・忘年会 ・Bar Monosus |
勝手アプリ |
社内メンバーが勝手に 立ち上げることのできるアプリ。 |
委員の主体的な活動。 継続的に実施する アプリの場合、 内容を届け出て、 5つ以上の部から 1名以上のメンバーが 参加していれば補助金がでる。 |
・コーヒー部 ・ネコ部 |
「公式アプリ」は、会社が用意するアプリ。運営は役員や本部メンバーが基本的に行いますが、場合によっては社内メンバーがアサインされます。委員は業務の一つとして行い、費用は会社が負担。アプリを社内全員のメンバーが利用できることが原則です。
「公認アプリ」は会社が公認するアプリで、アプリを立ち上げたいと思ったメンバーが内容を代表に提案し、提案したメンバーが中心になって運営します。社内メンバー全員が利用可能なものであれば、内容によって会社が負担する割合が決まります。
「勝手アプリ」は名前の通り、自発的にはじまった活動をメンバーが管理、運営します。
条件が揃えば、補助金が会社からでます。
アプリは「状況は変えられる」という感覚をもつ実験?
一般的な会社であれば「福利厚生」と言われる制度と重なる部分が「アプリ」となった今回の新しい仕組み。どうしてアプリという仕組みにしたのかを代表の林にあらためて聞いてみました。アプリ化には、これまでの社内制度全般への林の「違和感」がはじまりだったようです。
「会社の規模も変化して、僕自身が『こうあったら楽しい』と思ってはじめたことに社員のメンバーを巻き込むには人数が多くなってきたし、会社の主体も変わってきた。
ここで一度、制度を見直して整理したい。というのが一番の理由だったんだよね。
例えば、会社が、ハードウェアとOSの部分を準備するとして、ハードウェアとOSですべての人が居心地よくできるか、使い勝手がよくできるかと言ったら、難しい。
例えばある時、『ブランコで遊びたい』という思いを自分が持ったとする。
全額自分が出してブランコを買って、自分の家のなかにブランコをつくって遊んだら、全くのプライベートで終わる。
だけど、公園を管理する団体と話をして、自分がつくったブランコを近くの公園に置かしてもらって、自分も楽しむけど使っていない時は他の人にも楽しんでもらうようにする。
これをブランコだけじゃなくて、いろんな人がいろんな遊具を置いていったら、自分たちの力で楽しい公園をつくっていくことができる…。
「うちの近所の公園、なんにもないんだ」って不平を言うよりも、自分たちで公園をカスタマイズできたら、楽しくなるんじゃないかと思うんだよね。
『他人のために自分が犠牲になる』と思ってすると、無理がでて苦しくなるけど、自分も楽しんで、ついでにみんなも楽しかったり、便利になったりする。そうやって全体の居心地がよくなるような仕組みが会社にあったらいいと思うし、その後のメンテナンスも作った本人だからこそ、愛着をもってつづけていけるのかなとも思うんです。
会社の根幹の部分など、カスタマイズできない部分ももちろんあるけれど、会社のカスタマイズを自分でもできるという『自由』を実感してもらいたいんだと思います。
『自分が主体になって状況を変えられる』ということをこのアプリを通して実験してみてほしいし、その感覚を会社だけじゃなくて、自分の所属する他のコミュニティにいても持っておく感覚にしてもらえたらな、という思いもあるのかもしれない。その方がきっと楽しくなると思うし」
確かに、不便だな、とかもっとこうしたらいいのに。という状況に出会った時、受け身でしかいられない(と思い込んでいる)場合、状況に不満を持って終わってしまうことって多いかもしれません。それは、自分には状況を変える力がない。とはじめから思ってしまっているから。
でも、自分の抱いた疑問や思いを順序立てて実現する道をつくっていけば、自分も周りも居心地の良い場を作っていける。自分の抱いた思いに蓋をしないで、実現する実験をしてみる。それが今回のアプリなのかもしれません。
次章では、実際にどんなアプリが稼働中なのかをご紹介したいと思います。
稼働中のアプリをご紹介!
はじまって約半年の「アプリ」。まだまだアプリって何だろう?と思っているメンバーもいますが、実際に活用しているメンバーもでてきています。
「公式アプリ」「公認アプリ」「勝手アプリ」のなかから、それぞれ現在稼働しているものをご紹介します。
1. 公式アプリ
会社が用意するアプリである、公式アプリには「食」に関するアプリがいくつか動いています。
おかん&おとん
「おかん」は「オフィスおかん」という配食サービス。「おとん」は淡水研究室の大将が月に何度か仕込んでもってきてくれる、お惣菜やご飯のこと。「おとん」は他ではなかなか食べられない本格的なお惣菜(たまにつまみの要素あり)がお手軽な値段で食べられるので大人気です。基本、社員の負担は100円で、一食につき200円を会社が負担しています。ときどき「出張おとん」と題して大将がモノサスで特製のラーメンを作ってくださることも。
ものさすパンの日
毎週木曜日、徳島県神山町の Food Hub Project の「かまパン」からのパンの宅配がはじまりました。パン委員の2人が注文や集計を行い、代金は給与天引きされる仕組み。パンの送料、税を会社が負担します。夕方頃にパンが届くと、忙しい手を止めてパンタイムになります。
バディランチ
アプリ制度がはじまって、特徴的な取り組みのひとつ。一ヶ月に一度発表される、社内メンバーの二人一組の組み合わせの相手を一ヶ月間の「バディ=相棒」として、2人でランチに行くというもの。強制ではありませんが、回数に制限はなく、一緒に食事をしながらお互いのことを知る時間を持つというものです。
2. 公認アプリ
アプリを立ち上げたいと思ったメンバーの主体的な活動で運営される「公認アプリ」は、「みんなで何かを楽しむ」ものが多く動いています。
図書委員
社内の本棚の管理のほか、本好きのメンバーを中心にした月に一度のテーマを決めた読書会も実施しています。会社で購読している雑誌の新刊の案内などもしています。
お花見
昨年までは、委員に決められたメンバーが何度もミーティングを重ね、モノサスの三大イベントの一つとも言えるくらい、趣向を凝らしたお花見でした。
今年は自主的に集まった委員で実施。公園にブルーシートを敷いて、お惣菜やお酒を委員が中心になって準備し、自由参加というゆるやかなものでした。肩肘を張らない和やかなお花見になりました。
Bar Monosus
これまでにも何度か実施してきたイベントをアプリ化。委員が中心に準備をして、バーテン経験のあるメンバーがカクテルをお得な価格でふるまいます。委員以外のメンバーも料理を持ち寄ったりと、にぎやかな夜になりました。
梅酒部
こちらも、これまでも自主的に行っていた梅酒づくりをアプリ化。委員が中心になって材料を揃え、業務後に漬け込む作業を行いました。年末頃に解禁してみんなで飲むのを楽しみに、現在も熟成中です。
3. 勝手アプリ
勝手アプリのコーヒー部は、みんなで購入したコーヒーメーカーで、飲みたい人が飲みたいときにコーヒーを淹れて飲むというもの。社内全員が飲めるので、コーヒー豆などは会社が負担しています。季節によっては当番制で社内メンバーが管理。「コーヒー淹れました」の連絡が社員共通のチャットに流れると、ちょっとほっこりします。
そのほか、会社に訪れるネコにエサを自分たちで用意したりと、個々で自発的に行っている活動です。
まだまだはじまったばかりの実験
アプリ制度がはじまってもうすぐ半年。変化してきた部分も少しずつありますが、現在のアプリはこれまでの活動を引き継いだものも多く、自分の思いから「会社をカスタマイズ」する試みはまだ少ないのが現状。まだまだこれから育てていく仕組みでもあります。これからどんな新しい「実験=アプリ」がはじまるのか楽しみです。
次回の「ものさす式DIY」では、公式アプリのなかでも新しい試みである「バディランチ」についてお伝えしたいと思います。