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リニューアルの始め方

選定方法を決める

リニューアルを依頼する制作会社の選び方を決めます。会社によっては、発注金額などを基準とした社内ルールを基に、選定方法が決まることもあります。その場合は、ルールに沿う形になりますが、そうじゃない場合は、なんとなくの流れで決めず、「自社にとってどの方法がいいのか?」を考えて欲しいと思います。

なぜ、選定方法を検討するべきか?

Webサイトは、24時間365日公開されています。運用や更新など、定期的に手も加えていきます。そして、数年間、そのサイトが会社の顔となります。
制作会社を選ぶということは、その重要なサイトをつくり、育てていく、パートナーを選ぶということ。「リニューアルの成否は、パートナー選びで80%決まる」と言っても過言ではありません。それだけ、制作会社選びは大事です。
その出発点であり、成否を分ける道筋をつけるのが、制作会社の選定方法を決めることです。なんとなくで、重要な選定方法を決めてしまわずに、自社の現状に照らし合わせて、「自社に合っている方法はどれか?」「やりたいことが実現できるのはどの方法か?」をしっかりと検討することが必要です。

選定方法のパターンを知る

様々な特性を持った選定方法があります。ここでは、実際に行なわれている手法で、選択肢になり得るものを紹介していきます。

コンペ形式

まずは、コンペ形式です。コンペティション(Compeition:競争)の略です。複数の制作会社から、RFP(Request For Proposal:提案依頼書)を基にした具体的な提案を受けて、その中から制作会社を選ぶ方法です。

提案書の内容は、以下のような項目になるでしょう。

  • サイト構造(サイトマップ)
  • トップページのデザイン
  • 課題解決や実現したいことのための施策
  • スケジュール
  • 制作体制
  • 御見積

そして、プレゼンテーションと質疑応答(所要時間は、1社当たり30分~1時間)が行なわれ、提案内容から制作会社を選ぶ。恐らく、制作会社を選ぶうえで、最も多く用いられている方法ではないでしょうか?
ポピュラーな方法ではあるので、自然とコンペを選ぶ会社も多いようですが、メリット・デメリットがあるので、ざっと挙げてみます。

メリット

  • 複数の具体的な提案から、選ぶことができる
  • 提案内容から、制作会社の力量を把握することができる
  • 複数の選考メンバーで、提案内容を確認し、判断ができる

デメリット

  • プレゼンまでの短期間でまとめられた提案から選ぶことになる
  • 制作会社とのコミュニケーションの量が少ない
  • 提案書やデザインの作成工数の高さから、参加できない制作会社がある

リニューアル前は、サイトの形はありません。だからこそ、少しでも見える形から制作会社を選びたいという考えから、コンペを選ぶ会社が多いと思います。
しかし、コンペ形式で、制作会社を選ぶのは、決して簡単ではありません。上で挙げたメリットをメリットたらしめるためには、選考体制をつくる評価基準を決めるといった選考のための準備が欠かせません。更に、RFPをつくるという要件策定も重要です。これらの準備を怠ると、メリットがデメリットに変わってしてしまうことになります。

コンペが不向きな条件もありますので、説明しておきます。
入念な事前準備の必要性から、短期間で制作会社を決めて、早くサイトを公開したい場合は、向きません。また、制作会社は予算内で出来ることを提案するため、適正な予算を確保されていない場合も、コンペのメリットが享受できないため、向いていないと言えます。

面談形式

コンペ形式とは違って、デザインや施策といった具体的な提案はなく、複数回の面談を通して、お互いのことを知りながら、制作会社を絞り込んでいく方法です。

制作会社が準備をして、面談に使用するものは、以下のようなものがあります。

  • 会社案内
  • 制作実績
  • Webサイトやプロジェクト進行に対する考え方
  • 見積書
  • 制作体制
  • スケジュール

面談形式のポイントは、その会社や担当メンバーの「Webや制作に対する考え方」や「スキル・実力」「人柄・相性」を判断材料として、制作会社を選ぶことです。
上記の中から、少し解説をします。

Webサイトやプロジェクト進行に対する考え方

一定のスキルや実績を持つ制作会社は、サイト設計を進めるための独自のフレームワークを持っていたり、プロジェクト進行方法に工夫をしていたりするものです。それらをまとめた資料を基に話をしたり、自社のサイトリニューアルをどのように進めようと考えているかの提案を受けて、話をしていきます。

制作実績

実績の羅列を見て、実績の豊富さを見るのではなく、「どのような考えで、このサイトが制作されたか?」という観点から、関連する実績を深堀りして話をしていきます。

メリット

  • 短期間でまとめた提案ではなく、制作会社や担当メンバーの本来の姿や実力をじっくりと見れる
  • コミュニケーション時間を確保しやすく、双方のことを知ることができる
  • プロジェクトの質が高まったり、進行がスムーズになったりする

デメリット

  • 提案という具体的な形が見えない中で、制作会社を判断することになる
  • 少人数で制作会社を選んでいくことになる

コンペ形式に課題を感じている担当者が、この方法を選ぶことが多いのが実情です。制作会社がプレゼンまでの短期間でまとめた企画・設計の工程を、プロジェクトの中で一緒に進めたいという要望もあります。双方のことを知れるというのも大きなメリットです。「どのようなことを聞かれるか?」から、スキルや経験値を図ることもできると思います。
しかし、「リニューアルをすることで自社サイトがどうなるか?」という目に見える形がない中で、判断をする難しさを感じる担当者も多いと思います。少人数で制作会社を選ぶことに負担がある場合もあるでしょう。自社の現状や、やりたいことを考えながら、選定方法を検討してください。

相見積もり形式

見積書を比較して、制作会社を選ぶ方法です。

制作会社から提出するものは、以下です。

  • 会社案内
  • 制作実績
  • 見積書
  • 制作体制

提出物は、面談形式と似ていますが、コミュニケーションの材料とする面談形式とは違い、確認のために使われる提出物になります。

金額をベースに判断をして、スピーディにプロジェクトを始めたい時に向いているやり方です。やることが決まっていたり、発注会社が考えて、制作会社に制作指示を出して進める形にも合っているでしょう。

注意点としては、見積積算前提をしっかりと定義したうえで、見積提出依頼をすることです。それがないと、各社が提出する見積書のブレが大きく判断ができなかったり、「対応範囲だと思っていたら違った」というトラブルが起こる可能性もあります。

特定の会社と積み上げ形式

制作会社を選定するという意味では、少し番外編になるかもしれませんが、リニューアルの話が出始めた時から、相談をしている制作会社とプロジェクトを進めるのも有効な方法だと思います。
他の会社との比較検討をしないことで、選択肢が狭まると感じるかもしれません。しかし、コミュニケーション量が多いことで、双方のことが知れるというのは大きなメリットです。深い情報は、企画・設計の材料にもなりますし、信頼関係を築くためにも必要です。
よいサイトをつくることが、リニューアルの目的で、制作会社を選定するのは手段なわけですから、目的が達成できそうなら、制作会社選定は省いても問題ありません。
信頼できる会社とのお付き合いが既にあったり、リニューアルをきっかけにお付き合いが始まったなら、その会社とタッグを組んで進めるのもいいでしょう。

まとめ

多くの会社にとって、制作会社を比較検討するプロセスは必要になると思います。しかし、比較検討の手段はコンペだけではありません。コンペに課題を感じている会社では他の方法を取り始めています。自社に合う選定方法を選ぶこと、事前準備や選考の体制づくりをきっちりと行なう必要があります。

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